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惰眠をむさぼっていた竜さんがお目覚めのお時間のようです。
この間、仁侠ブラザーズは新谷でふて腐れていたようです。
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琉璃が来て5年……。
昨年、均も玉音を嫁に迎え、月英も父親に泣きつかれ渋々嫁を貰った。
その嫁は、龐家の士元の妹の碧樹である。
どういう訳か士元の両親は士元を勘当同然にしており、士元も実家に寄り付かないが、士元の弟妹は兄を慕っており、伯父の家に滞在する兄に会いに来ていた。
時々琉璃と孔明、月英と会ううちに……碧樹の方が月英に好意を持ち、士元に頼み込み押していった……らしい。
「だって、こんなに綺麗な男性っていないわ! それに研究家で賢い方だし、優しいもの。こんな素敵な人他にいないわ! 兄様変人だし、それに比べたら女装なんてまともよ!」
兄に問われた時に碧樹は、そう言い放ったのだと言う。
龐家の人間らしく、裁縫や楽器演奏等々は苦手らしいのだが、学問はそこそこ修めており、月英の研究にも話についていくことも出来る。
孔明達の家で生活することも全く抵抗もなく、むしろ喜んでいた。
「何で旦那様と一緒にいて悪いの? それに、玉音殿に琉璃ちゃんとお友達になりたいもの。それにいいわぁ……琉璃ちゃんは可愛いんですもの。お人形さんみたい」
月英は亡き母親に似た……黄承彦の弁による……かなり整った美貌なのだが、琉璃は来た当初は痩せ細り頬も痩け、手足やあばら骨等は浮き上がる程だったのだが、成長期もあったのか、今でも痩せてはいるものの大きなたれ目をした、柔和で愛らしい美少女になっていた。
ちなみに背は余り伸びなかったので、孔明の姉達や玉音、碧樹の着せ替え遊びの対象者になっている。
今日は、玉音の趣味である可愛らしい少女趣味の衣と髪飾りを身に付けている。
「あれ? 琉璃、今日は可愛らしい髪型だね。結って貰ったの?」
孔明は13才になった琉璃の、派手すぎない柔らかい印象の髪型を誉める。
「あ、髪飾りはもう少しこっちの方がいいかなぁ?」
少し場所を移して、琉璃の顔がはっきり見えるようにする。
「うん、これでいい。琉璃の顔が見えないと悲しいからね」
「だ、旦那様は衣、新調していないのに、琉璃ばかり戴いて良いのでしょうか……」
不安げな琉璃に孔明は、
「何を言っているの。先月、琉璃が仕立ててくれたでしょう? もう、嬉しくて大事にしてるんだよ?」
「でも、まだまだです。琉璃は旦那様の衣仕立てたいです。もっと上手に……」
「十分だよ。琉璃の裁縫の腕は満点。刺繍も綺麗に出来てる。5年でここまで……凄いよ。ありがとう」
琉璃を抱き締め、こめかみや額に口付ける。
「無理はしないでね? 琉璃が無理をしたら困るよ? 私じゃなくて皆が」
その一言に、琉璃はクスクス笑う。
夫である孔明は、琉璃にだけは特に心配性でちょっと包丁で手を切った、畑仕事で雑草の葉で傷だらけになったと聞くたびに顔色を変え、薬草で作った塗り薬や張り薬を取ってきては塗っていく。
その大騒ぎぶりに周囲、特に琉璃の兄月英は、
「うるさい!……ちょっと切った位で大騒ぎするな! このボケ! こっちは不眠不休で、お前の希望に沿った道具作るのに寝てないんだよ! おらっ、アホ義弟!」
「何するんですか! 普通に殴りかかるなら兎も角、その角材は止めて下さい! 死にます!」
「一回頭の中を、覗いてやる」
「止めて下さい! 一応言っておきますが、頭の中の大半は琉璃のことだけで、一部が日々の生活に、生活費その他です」
「ボケー!」
月英は手で頭を叩く。
「一応『臥龍』だろうが! その有能と言われてる頭の大半を嫁につぎ込むな! 他に回せ!」
「無理です。他に持っていけません!」
断言する義弟を、今度は腕を回し首を締め上げながら、
「持っていけ! 結婚して5年。いつまで新婚のつもりでいるんだ!」
という喧嘩というよりじゃれあいに発展する。
が、今日は月英の言葉に、孔明は真顔になり、
「ねぇ、月英? この間、季常と幼常が仕官したでしょう?」
その言葉に月英は渋い顔になる。
「オレ達は季常と幼常を、何とか別に引き離してたはずなんだよな? 何で監視の士元と元直の目をすり抜けて、あぁなったんだ?」
「そうなんですよね。士元はへましないと思うので、多分元直兄だと思います。あの人は優しいから……」
「優しさと甘さは違う。アイツ、今にその事に後悔するぞ……本気で。何度も言ってやってるのに!」
月英は苦々しげに呟く。
季常に散々利用された過去が、心に突き刺さっているらしい。
「今度元直には説教。で、お前は何か気になるのか?」
「はい、ちょっと気になって……こもりたいなと」
「……まぁなぁ……アイツが、どこのつてを使ったのか出仕だろ? しかも、一応『皇叔』とは言え新谷の一城主。その参謀とはな……」
「いえ、違いますよ。士元に聞きましたが、季常は参謀の素質より裏方……つまり政務、内政が強いんですよ。そっちで出仕したと思うのですが……。で、紹介したのは州牧に仕えている伊機伯殿(伊籍)だそうです」
「伊機伯殿ねぇ……劉皇叔をお気に入りの、あの幕客な?」
皮肉げに呟く。
「そうなんですよね……少し嫌な予感がするのと……星もざわめいてます」
「そうなのか……」
眉をひそめる月英に、黙って聞いていた琉璃はおずおず問いかける。
「旦那様、兄様……劉皇叔と言われる方は、どのような方ですか?」
「あぁ、そうだね……噂によると、北の曹孟徳に『天下を争うのは私と君だ』と言わしめた人物だよ。『皇叔』と言うのは、現皇帝が彼を叔父と呼ぶから皇帝の叔父で『皇叔』。前に歴史を教えたよね? 漢王朝前期に、中山靖王に封じられた劉勝の末裔と言われている人だ。でも、劉勝は正妻妾に分かっているだけで120人余りの子供を生ませている……劉皇叔は、一応正確な家系図を持っていたらしい。が、それが正確か疑わしいとも言われているね。しかし、また噂になるけれど、親分肌で人に好かれる雰囲気の人らしいね」
「でも、親父に聞いたが、余り柄の良くない小ずるそうな策略家って雰囲気らしいぞ。まぁ、悪どさを隠すのが上手い、で、回りにデカイオッサンとか髭もじゃの仁侠……だったのか? やんちゃしてた士元をオッサン化したような奴らを従えてたそうだ。ほら、前に琉璃は大ケガ、親父とオレは捻挫に打ち身の時に夜中に来たって、親父腹立ててたからな」
「そ、そうなのですか……」
珍しく表情を強ばらせる琉璃に、孔明は気づく。
「どうしたの? 」
「い、いえ、怖いのかなと……思って……あの、む、昔……」
過去の話をしなくなった為、幼かったこともあり忘れてしまったと思っていた孔明と月英は、心の中で舌打ちをする。
そして、月英がはっとしたように顔をあげた。
「あ、そうだ! 忘れてた」
「どうしたんですか?」
「親父に、仕事で江東に行けって。一応オレが後継ぎだから、それに、あちらにも茶が浸透しつつあるらしい。広めて売ってこいだと。で、均と玉音に聞いたら一緒に行くって言うんだな、これが……で、碧樹も江東に行きたいって言うし、孔明も琉璃も行かないか? お前達、母上や子瑜兄上達に会いたいだろう?」
孔明と琉璃は顔を見合わせる。
「は?そんな大人数で、どうやって旅をするんです?」
「船に決まってるだろうが。ウチ所有の船に乗る。行こうぜ! ここにいたら何かあるんだろ? じゃぁ、江東に行って目新しいものとか見たり、家族とのんびりしたり……そういえば、去年子瑜兄上に次男坊生まれたんだろ? お祝いかねて行こうぜ!」
月英は目を輝かせる。
仕事とは言え、一人と言うのが嫌だったらしい。
「仕事はどうするんです? 一応というか解ってるでしょうが、兄上は公私はかなり厳しい人ですよ。あれでも」
「そんなこと解ってるさ。だから、商売と私は別にする。で、お前は仮にも商家の末娘の琉璃を嫁に迎えたんだ。嫁の実家の手伝い位して当然だよなぁ? 義理の兄の頼みを聞いてくれるよなぁ?」
にっこり……と言うには少々、小憎らしい笑みで孔明を見る。
「えっと、月英……」
「琉璃はどうだ? 琉璃は可愛い甥っ子に会って、だっこしたいよな~? あの子瑜兄上の子供だ。同じ血を引いてるから、孔明にも似てるかもしれないな。子供に慣れておけば、琉璃に赤ちゃんが生まれても、孔明も対処できるだろう?」
兄の言葉に、目を丸くする琉璃。
「あ、赤ちゃん?」
「そうそう。と言う訳で、商談を兼ねた江東の家族に会いに行く! と言うことで、孔明支度しろ。善は急げだ」
珍しい月英の言葉に2人は、頷くしかなかった。
昨年、均も玉音を嫁に迎え、月英も父親に泣きつかれ渋々嫁を貰った。
その嫁は、龐家の士元の妹の碧樹である。
どういう訳か士元の両親は士元を勘当同然にしており、士元も実家に寄り付かないが、士元の弟妹は兄を慕っており、伯父の家に滞在する兄に会いに来ていた。
時々琉璃と孔明、月英と会ううちに……碧樹の方が月英に好意を持ち、士元に頼み込み押していった……らしい。
「だって、こんなに綺麗な男性っていないわ! それに研究家で賢い方だし、優しいもの。こんな素敵な人他にいないわ! 兄様変人だし、それに比べたら女装なんてまともよ!」
兄に問われた時に碧樹は、そう言い放ったのだと言う。
龐家の人間らしく、裁縫や楽器演奏等々は苦手らしいのだが、学問はそこそこ修めており、月英の研究にも話についていくことも出来る。
孔明達の家で生活することも全く抵抗もなく、むしろ喜んでいた。
「何で旦那様と一緒にいて悪いの? それに、玉音殿に琉璃ちゃんとお友達になりたいもの。それにいいわぁ……琉璃ちゃんは可愛いんですもの。お人形さんみたい」
月英は亡き母親に似た……黄承彦の弁による……かなり整った美貌なのだが、琉璃は来た当初は痩せ細り頬も痩け、手足やあばら骨等は浮き上がる程だったのだが、成長期もあったのか、今でも痩せてはいるものの大きなたれ目をした、柔和で愛らしい美少女になっていた。
ちなみに背は余り伸びなかったので、孔明の姉達や玉音、碧樹の着せ替え遊びの対象者になっている。
今日は、玉音の趣味である可愛らしい少女趣味の衣と髪飾りを身に付けている。
「あれ? 琉璃、今日は可愛らしい髪型だね。結って貰ったの?」
孔明は13才になった琉璃の、派手すぎない柔らかい印象の髪型を誉める。
「あ、髪飾りはもう少しこっちの方がいいかなぁ?」
少し場所を移して、琉璃の顔がはっきり見えるようにする。
「うん、これでいい。琉璃の顔が見えないと悲しいからね」
「だ、旦那様は衣、新調していないのに、琉璃ばかり戴いて良いのでしょうか……」
不安げな琉璃に孔明は、
「何を言っているの。先月、琉璃が仕立ててくれたでしょう? もう、嬉しくて大事にしてるんだよ?」
「でも、まだまだです。琉璃は旦那様の衣仕立てたいです。もっと上手に……」
「十分だよ。琉璃の裁縫の腕は満点。刺繍も綺麗に出来てる。5年でここまで……凄いよ。ありがとう」
琉璃を抱き締め、こめかみや額に口付ける。
「無理はしないでね? 琉璃が無理をしたら困るよ? 私じゃなくて皆が」
その一言に、琉璃はクスクス笑う。
夫である孔明は、琉璃にだけは特に心配性でちょっと包丁で手を切った、畑仕事で雑草の葉で傷だらけになったと聞くたびに顔色を変え、薬草で作った塗り薬や張り薬を取ってきては塗っていく。
その大騒ぎぶりに周囲、特に琉璃の兄月英は、
「うるさい!……ちょっと切った位で大騒ぎするな! このボケ! こっちは不眠不休で、お前の希望に沿った道具作るのに寝てないんだよ! おらっ、アホ義弟!」
「何するんですか! 普通に殴りかかるなら兎も角、その角材は止めて下さい! 死にます!」
「一回頭の中を、覗いてやる」
「止めて下さい! 一応言っておきますが、頭の中の大半は琉璃のことだけで、一部が日々の生活に、生活費その他です」
「ボケー!」
月英は手で頭を叩く。
「一応『臥龍』だろうが! その有能と言われてる頭の大半を嫁につぎ込むな! 他に回せ!」
「無理です。他に持っていけません!」
断言する義弟を、今度は腕を回し首を締め上げながら、
「持っていけ! 結婚して5年。いつまで新婚のつもりでいるんだ!」
という喧嘩というよりじゃれあいに発展する。
が、今日は月英の言葉に、孔明は真顔になり、
「ねぇ、月英? この間、季常と幼常が仕官したでしょう?」
その言葉に月英は渋い顔になる。
「オレ達は季常と幼常を、何とか別に引き離してたはずなんだよな? 何で監視の士元と元直の目をすり抜けて、あぁなったんだ?」
「そうなんですよね。士元はへましないと思うので、多分元直兄だと思います。あの人は優しいから……」
「優しさと甘さは違う。アイツ、今にその事に後悔するぞ……本気で。何度も言ってやってるのに!」
月英は苦々しげに呟く。
季常に散々利用された過去が、心に突き刺さっているらしい。
「今度元直には説教。で、お前は何か気になるのか?」
「はい、ちょっと気になって……こもりたいなと」
「……まぁなぁ……アイツが、どこのつてを使ったのか出仕だろ? しかも、一応『皇叔』とは言え新谷の一城主。その参謀とはな……」
「いえ、違いますよ。士元に聞きましたが、季常は参謀の素質より裏方……つまり政務、内政が強いんですよ。そっちで出仕したと思うのですが……。で、紹介したのは州牧に仕えている伊機伯殿(伊籍)だそうです」
「伊機伯殿ねぇ……劉皇叔をお気に入りの、あの幕客な?」
皮肉げに呟く。
「そうなんですよね……少し嫌な予感がするのと……星もざわめいてます」
「そうなのか……」
眉をひそめる月英に、黙って聞いていた琉璃はおずおず問いかける。
「旦那様、兄様……劉皇叔と言われる方は、どのような方ですか?」
「あぁ、そうだね……噂によると、北の曹孟徳に『天下を争うのは私と君だ』と言わしめた人物だよ。『皇叔』と言うのは、現皇帝が彼を叔父と呼ぶから皇帝の叔父で『皇叔』。前に歴史を教えたよね? 漢王朝前期に、中山靖王に封じられた劉勝の末裔と言われている人だ。でも、劉勝は正妻妾に分かっているだけで120人余りの子供を生ませている……劉皇叔は、一応正確な家系図を持っていたらしい。が、それが正確か疑わしいとも言われているね。しかし、また噂になるけれど、親分肌で人に好かれる雰囲気の人らしいね」
「でも、親父に聞いたが、余り柄の良くない小ずるそうな策略家って雰囲気らしいぞ。まぁ、悪どさを隠すのが上手い、で、回りにデカイオッサンとか髭もじゃの仁侠……だったのか? やんちゃしてた士元をオッサン化したような奴らを従えてたそうだ。ほら、前に琉璃は大ケガ、親父とオレは捻挫に打ち身の時に夜中に来たって、親父腹立ててたからな」
「そ、そうなのですか……」
珍しく表情を強ばらせる琉璃に、孔明は気づく。
「どうしたの? 」
「い、いえ、怖いのかなと……思って……あの、む、昔……」
過去の話をしなくなった為、幼かったこともあり忘れてしまったと思っていた孔明と月英は、心の中で舌打ちをする。
そして、月英がはっとしたように顔をあげた。
「あ、そうだ! 忘れてた」
「どうしたんですか?」
「親父に、仕事で江東に行けって。一応オレが後継ぎだから、それに、あちらにも茶が浸透しつつあるらしい。広めて売ってこいだと。で、均と玉音に聞いたら一緒に行くって言うんだな、これが……で、碧樹も江東に行きたいって言うし、孔明も琉璃も行かないか? お前達、母上や子瑜兄上達に会いたいだろう?」
孔明と琉璃は顔を見合わせる。
「は?そんな大人数で、どうやって旅をするんです?」
「船に決まってるだろうが。ウチ所有の船に乗る。行こうぜ! ここにいたら何かあるんだろ? じゃぁ、江東に行って目新しいものとか見たり、家族とのんびりしたり……そういえば、去年子瑜兄上に次男坊生まれたんだろ? お祝いかねて行こうぜ!」
月英は目を輝かせる。
仕事とは言え、一人と言うのが嫌だったらしい。
「仕事はどうするんです? 一応というか解ってるでしょうが、兄上は公私はかなり厳しい人ですよ。あれでも」
「そんなこと解ってるさ。だから、商売と私は別にする。で、お前は仮にも商家の末娘の琉璃を嫁に迎えたんだ。嫁の実家の手伝い位して当然だよなぁ? 義理の兄の頼みを聞いてくれるよなぁ?」
にっこり……と言うには少々、小憎らしい笑みで孔明を見る。
「えっと、月英……」
「琉璃はどうだ? 琉璃は可愛い甥っ子に会って、だっこしたいよな~? あの子瑜兄上の子供だ。同じ血を引いてるから、孔明にも似てるかもしれないな。子供に慣れておけば、琉璃に赤ちゃんが生まれても、孔明も対処できるだろう?」
兄の言葉に、目を丸くする琉璃。
「あ、赤ちゃん?」
「そうそう。と言う訳で、商談を兼ねた江東の家族に会いに行く! と言うことで、孔明支度しろ。善は急げだ」
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