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孔明さん新婚ですが、レッドカードスレスレですよ。
孔明さんは、敵に回さなくて良かったと思ってます。
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アワアワと慌てふためく使用人達を尻目に、孔明はのんびりとお茶を飲みながら、
「済みません。義父上に月英。ちょっとやり過ぎました。もし……」
「言うなよ。孔明。お前が間違ってないのはオレが解ってる。でもな、あの馬鹿が限度を超えた馬鹿だから、お前に迷惑をかけたらと……」
月英がガリガリと髪をかき回すのを、慌てて止める。
琉璃も義父も月英も怪我人である。
「家族なので大丈夫ですよ。月英」
「……それもそうだな」
にっと二人で笑う義兄弟の横ではらはらしているのは、
「だ、大丈夫かね? 婿殿」
黄承彦が示すのは、孔明の膝の上で黙々と干し杏を食べている琉璃である。
「あんなに酷い怪我だったんだ、熱を出したりしてないか? もしくはさっきの、琮のせいで参ったり……」
「少し、酷いことを言われてショックを受けてますが、今のところ大丈夫そうです。化膿止めの薬を飲ませてますし」
「それなら良いけれどね」
ほっとする義父に孔明は、
「義父上こそ、私の行いを責める資格はあるんですよ? 私が……」
「いつかはわしや月英が、解決しなければならなかった事だよ」
穏やかに微笑んではいるが、先程孔明が琮を叩き出してすぐ、屋敷の使用人達を次々使いとして送り出し、あれこれ策略を練り始めた。
「まぁ、そろそろ、かねぇ」
と、呟いた黄承彦の言葉に被さるように、次々現れる使者が、
「申し上げます。水鏡老師より、お弟子の方々の一斉出仕取り止めの件、ご了承戴きました」
「申し上げます。龐家の徳公様より、了承されたとの由」
「申し上げます。襄陽の街の市場、一斉に売買停止となりました」
「申し上げます。襄陽の井戸を一斉に使えないように操作しました」
「申し上げます。城内の道を全て封鎖、移動を制限しました」
「申し上げます。川を塞き止め、物流を完全に停止しました」
「申し上げます。南西東の門を封鎖しました」
「申し上げます。住民達が混乱し、一斉に荊州牧の元に殺到しております」
聞こえてくる内容に、孔明は義父の影響力の凄まじさを思いしる。
「あぁ、良くやったね。本来ならもう少し早く出来るんだけどねぇ……」
苦笑しながら黄承彦は、息子を見る。
「月英。又侵入者が来たら、思い切りやるが良い。お前はわしの息子であり、この黄家の跡継ぎだ。黄家の力を見せつけろ。手加減無用だ」
老獪な商人の目を見返した月英は、
「解ってらぁ! 黄家の跡取りとして目にものを見せてやる」
「それでこそ、わしの息子」
ニヤリっと笑い合う親子を止める術はなく、まぁ終息するまで見守ろうと心に決めた孔明である。
「済みません。義父上に月英。ちょっとやり過ぎました。もし……」
「言うなよ。孔明。お前が間違ってないのはオレが解ってる。でもな、あの馬鹿が限度を超えた馬鹿だから、お前に迷惑をかけたらと……」
月英がガリガリと髪をかき回すのを、慌てて止める。
琉璃も義父も月英も怪我人である。
「家族なので大丈夫ですよ。月英」
「……それもそうだな」
にっと二人で笑う義兄弟の横ではらはらしているのは、
「だ、大丈夫かね? 婿殿」
黄承彦が示すのは、孔明の膝の上で黙々と干し杏を食べている琉璃である。
「あんなに酷い怪我だったんだ、熱を出したりしてないか? もしくはさっきの、琮のせいで参ったり……」
「少し、酷いことを言われてショックを受けてますが、今のところ大丈夫そうです。化膿止めの薬を飲ませてますし」
「それなら良いけれどね」
ほっとする義父に孔明は、
「義父上こそ、私の行いを責める資格はあるんですよ? 私が……」
「いつかはわしや月英が、解決しなければならなかった事だよ」
穏やかに微笑んではいるが、先程孔明が琮を叩き出してすぐ、屋敷の使用人達を次々使いとして送り出し、あれこれ策略を練り始めた。
「まぁ、そろそろ、かねぇ」
と、呟いた黄承彦の言葉に被さるように、次々現れる使者が、
「申し上げます。水鏡老師より、お弟子の方々の一斉出仕取り止めの件、ご了承戴きました」
「申し上げます。龐家の徳公様より、了承されたとの由」
「申し上げます。襄陽の街の市場、一斉に売買停止となりました」
「申し上げます。襄陽の井戸を一斉に使えないように操作しました」
「申し上げます。城内の道を全て封鎖、移動を制限しました」
「申し上げます。川を塞き止め、物流を完全に停止しました」
「申し上げます。南西東の門を封鎖しました」
「申し上げます。住民達が混乱し、一斉に荊州牧の元に殺到しております」
聞こえてくる内容に、孔明は義父の影響力の凄まじさを思いしる。
「あぁ、良くやったね。本来ならもう少し早く出来るんだけどねぇ……」
苦笑しながら黄承彦は、息子を見る。
「月英。又侵入者が来たら、思い切りやるが良い。お前はわしの息子であり、この黄家の跡継ぎだ。黄家の力を見せつけろ。手加減無用だ」
老獪な商人の目を見返した月英は、
「解ってらぁ! 黄家の跡取りとして目にものを見せてやる」
「それでこそ、わしの息子」
ニヤリっと笑い合う親子を止める術はなく、まぁ終息するまで見守ろうと心に決めた孔明である。
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