9 / 9
成長した子供達のそれぞれの日々(*´-`)
所で、ここではなんですが。
しおりを挟む
孔明が旅立つ前の話である。
弟達3人は恋人などがいるのだが、長男の金剛は全く恋愛体質ではなく、珍しい容姿をしている為、引かれていることが多い。
しかし、所用もあり伺った屋敷に、
「お兄様!」
てててっと姿を見せる、梅花。
糜子仲(諱は竺)の娘の一人である。
子仲があきれる程、母親に瓜二つである。
にこぉ……
と嬉しそうに笑う少女の笑顔が余りにも可愛すぎて、金剛は頬を赤くして照れ笑う。
「久しぶり、梅花。元気だったかい?」
「は、はいっ! 梅花は元気です!」
えへへっと笑う少女に、ふと思い出したように、懐に入れていたものを取り出す。
「梅花? これ。向こうの親父が送ってきたのを作ったんだけど……」
「作る?」
「そう」
金剛は手の中に入れていた、小さなものを差し出す。
キョトン……とする梅花は、金剛と手のひらのものを見比べる。
「これは何ですか?」
「ん? 宝飾だよ。実家から時折、色々な石を送ってくるんだ。で、均叔父さんがとても器用でね。色々教えて貰っているんだよ。作ってみたんだけど、梅花に似合うかなって。えっと、こことここ……」
示された二つの所に五つの深紅の丸い玉と、ピンクの五つの丸い玉が形を作っている。
「これは、おばあさまの名前の珊瑚。そして、この石は実母の雲母の別名であり、俺の父の叔母の水晶の名前の石だよ。ちょっとほんのり梅花の頬の色してる。それと、これは花の形。梅花の形なんだ。俺が作ったから、上手くないかもしれないけれど、梅花の為に作ったんだ。どうかな?」
「わ、私にですか? あの、あの、月季さまとか玉蘭とか……」
「? 月季姉さんは友達で、玉蘭は妹だな。向こうの弟の承と幼い妹もいるけど、あげようと思ったのは梅花だし……貰ってくれる?」
首を傾げてにっこり笑われると、梅花は気が遠くなる。
梅花は、7年前に初めて会った金剛の姿に頬が赤くなった。
銀色の髪と青い瞳の優しい笑顔のお兄ちゃん……その美しさに一目惚れしたのだ。
好きで好きで……。
「おや? 金剛? 梅花が、また迷子になったのかな?」
にっこりと笑う父に、あたふたする梅花の横で、金剛は、
「あの、子仲さま。こんにちは。お邪魔しています」
「おや、ここで話もなんだし、奥に行くかな?」
「えっと……ご迷惑をお掛けしては……」
「いいよいいよ。おいでおいで」
子仲は二人を案内していく。
歩きながら金剛は、梅花に飾りを手首や、髪飾りなどをニコニコしながら飾る姿に、微笑む。
子仲は子沢山だが、男児は成人までの間、生きていく道を叩き込む。
女児は身だしなみに、立ち居振舞いなどを教え込む。
それと、子供たちを、特に女の子を争いに巻き込みたくはない。
その為に色々な所に送り出すのだが、のんびりとしている梅花は、相手に恵まれず心配していた……。
「似合う! よかった、うまく作れて。梅花に身に付けて貰えるなんて嬉しいよ!」
「そ、そんな……私は」
「何言っているの? 梅花はこんなに可愛いのに」
遠い目になる……。
さすがは、あの孔明の息子。
タラシの言葉は、父のそれを聞いて覚えたのだろう。
まぁ、琉璃は、伯父の自分ですらはっきりいって美少女と思う。
自分の娘も可愛いが……。
「じゃぁ、ここにおいで。家の者に……」
「わ、私が、呼んできます!」
パタパタと出ていく。
その音が遠くなった時に、金剛が口を開く。
「子仲さま。梅花に聞かれたくないことでしょうか? それとも、私と梅花が会うのは止めて欲しいとか……」
「は?」
子仲はキョトンとする。
「何でかな? 私も美梅も全く気にしてないし、家の子供たちの方が過激だよ。君に酒を飲ませて、家に連れてきて『既成事実!』とか本気でしようとしていたからね? 公祐に『お仕置き』されていたよ」
「既成事実……お仕置き……」
ダラダラと汗をかきながら、どちらが怖いのか一瞬にして悟る。
しかし……、
「あのっ、そ、その……き、既成事実……って言うのは……」
「聞きたい?」
「違います!」
金剛は訴える!
「俺よりも、梅花はどうなるんですか? 梅花のことを考えるべきでしょう!」
「……まぁ、結婚適齢期ではあるのだけど、人見知りが激しくてね……」
「俺には普通ですよ? 循は緊張するみたいですが、喬とか統は仲良しですよ? あ、そうか。二人共、玉蘭と祐蘭がいるんだ。じゃぁ……何でですかね?」
首を傾げる少年に、子仲はつい、
「金剛。君は、好きな人はいるかな?」
「父さん、母さん、兄弟たちに向こうの母上! それに、あ、梅花! きたの?」
「あ、遅くなりました。お父様、兄様」
俯きがちに近づいてきた少女は、何もないところでスッ転ぶ。
その辺は母親の美梅に似ている。
慌てて助けようとしたのだが、その前に金剛が抱き止める。
「梅花? 大丈夫か? どうしたんだ?」
「えっと、だ、大丈夫です……」
「涙で潤んでる……俺は、母上や母さん、それに梅花が泣くのだけはどうしても辛いんだ。泣かないで? ね?」
涙をそっとぬぐう。
「梅花は笑うと可愛いよ。可愛い笑顔の方が絶対にいいよ。ね? 笑ってよ」
微笑む少年に頬が赤くなった娘に、ポンポンと手を叩いた。
「ハイハイ。二人とも座りなさい」
座らせる。
「はい、金剛のことは調べなくても解るけど、適齢期の娘を持つ父として色々聞いたよ。あ、循の話は話し半分削除! と、公祐のお仕置きがあったけど」
じっとり……と汗がにじむ。
バカ力の父の孔明よりも、循のもう一人の父である公祐は、年は上だが文官なのに文句なしに強い!
昔からよく手合わせをしていたが、一度も勝てたためしはない。
「君に頼みがある。梅花を嫁にしてくれないかな?」
「……は、はぁぁ? お、私ですか?」
「そうだよ。6年も見てきたんだから、君の優しい所や真面目で、視野も広い所、妻や子供たちもとても好意的だよ」
微笑む子仲に金剛は、
「……わ、私の容姿や生まれで、周囲を、梅花を辛い思いにさせたくないです」
「おや、私たちを、そんな風に思っているのかな?」
「違います! 子仲どのや憲和どの、益徳将軍方は全くそんなことはありません。でも、母……琉璃母さんが悲しい顔をしていて……」
子仲は、
「そうだね。でも、私は全く気にしないし、君も、孔明どのの息子だ。それに、孔明どのも髪が白くなったと言うけれど、艶のある銀色だね。君と同じ色だ。同じ色が嫌なのかな?」
「違います! それに独立しようにも、私はまだ出仕したばかりの若輩です」
「家から結納品を用意できるけど?」
「自分で用意するのがしきたりです!」
金剛は立ち上がり告げる。
「父さんが、私をここに連れてきてくれる時に向こうの父に言いました。『漢中でお会いしましょう』……その時に、向こうの両親にも紹介しようと思います。家に帰り父さん、母さんと兄弟たちと相談しようと思います。明日、お返事をさせて頂きますので、よろしくお願い致します」
礼儀正しく頭を下げる、青年になろうとする少年を頼もしく見上げながら微笑んだ。
「こちらこそよろしく頼むね。金剛」
家に帰った金剛は、家族に叔父の均の前で、
「父さん、母さん、叔父さん、皆。俺……私は糜子仲どののご令嬢、梅花どのと結婚したいのですが、お許し頂けますか?」
周囲は顔を見合わせ、どっと笑う。
「なっ、何で?」
「兄さん、今更? 今更言うの?」
循は大笑いをする。
その横で喬は、
「梅花どののこと、とても可愛いとか、よく何を贈ったら良いかなぁとか言っていたから、嬉しいよ。お兄ちゃん」
「うん。お兄ちゃんはかっこいいし優しいし強いから、絶対にお似合いだよ」
統の一言に、広は、
「兄ちゃんより早く、循兄ちゃんが嫁にいけばよかったのに」
「何だって?」
末弟を睨み付ける循に広は、
「金剛兄ちゃんは一人部屋だけど、循兄ちゃんと兄ちゃんが同じ部屋だよ? 可哀想じゃん」
「広!」
「僕は気にしていないけど?」
統は穏やかに微笑む。
「循兄ちゃんがキレる時には、策略が煮詰まった時だから、囲碁とか話を聞いたりすれば大人しくなるから。むしろ厄介なのは広だし、喬お兄ちゃんごめんね?」
「えっ? 広は厄介じゃないよ? それに、僕は皆が大好きだから、良いんだ!」
えへへ……
と照れ笑う喬に、両親は涙目で、
「喬がこんなに良い子なのは、琉璃のお陰だよ~。可愛い!」
「旦那さまの優しい性格と、穏やかな笑顔にそっくりですわ。喬ちゃんのお母さんでよかった!」
二人の親バカぶりに、均はため息をつき、
「二人はほっておいて、金剛。どうするの?」
「一応、新しい屋敷を準備すると、子仲さまに言われましたが、この時代……梅花どのを一人屋敷にというのはダメだと思います。なので、この屋敷に……」
「あぁ、前に一時期、令明どのと瑪瑙どのが住んでいた離れだね?」
「はい。どうでしょうか? 父さん? 母さん?」
二人を見ると微笑む。
「良いよ。金剛のしたいようにしなさい。あ、その前に、向こうのご両親にも連絡をしておくんだよ?」
「……あのバカ親父! あの先祖代々の守ってきた土地を、おばあさまや母上がいうことも聞かずに、兵を動かすから潰れるんだよ! 本当に苦しむのは、一族よりも一般の人々なのに!」
孔明達が目を見開く。
それに気がついた金剛は、
「どうしたの? 父さんたち」
「……成長したなぁ……と感動したんだよ」
孔明たちは、子供たちの成長に目を細めたのだった。
弟達3人は恋人などがいるのだが、長男の金剛は全く恋愛体質ではなく、珍しい容姿をしている為、引かれていることが多い。
しかし、所用もあり伺った屋敷に、
「お兄様!」
てててっと姿を見せる、梅花。
糜子仲(諱は竺)の娘の一人である。
子仲があきれる程、母親に瓜二つである。
にこぉ……
と嬉しそうに笑う少女の笑顔が余りにも可愛すぎて、金剛は頬を赤くして照れ笑う。
「久しぶり、梅花。元気だったかい?」
「は、はいっ! 梅花は元気です!」
えへへっと笑う少女に、ふと思い出したように、懐に入れていたものを取り出す。
「梅花? これ。向こうの親父が送ってきたのを作ったんだけど……」
「作る?」
「そう」
金剛は手の中に入れていた、小さなものを差し出す。
キョトン……とする梅花は、金剛と手のひらのものを見比べる。
「これは何ですか?」
「ん? 宝飾だよ。実家から時折、色々な石を送ってくるんだ。で、均叔父さんがとても器用でね。色々教えて貰っているんだよ。作ってみたんだけど、梅花に似合うかなって。えっと、こことここ……」
示された二つの所に五つの深紅の丸い玉と、ピンクの五つの丸い玉が形を作っている。
「これは、おばあさまの名前の珊瑚。そして、この石は実母の雲母の別名であり、俺の父の叔母の水晶の名前の石だよ。ちょっとほんのり梅花の頬の色してる。それと、これは花の形。梅花の形なんだ。俺が作ったから、上手くないかもしれないけれど、梅花の為に作ったんだ。どうかな?」
「わ、私にですか? あの、あの、月季さまとか玉蘭とか……」
「? 月季姉さんは友達で、玉蘭は妹だな。向こうの弟の承と幼い妹もいるけど、あげようと思ったのは梅花だし……貰ってくれる?」
首を傾げてにっこり笑われると、梅花は気が遠くなる。
梅花は、7年前に初めて会った金剛の姿に頬が赤くなった。
銀色の髪と青い瞳の優しい笑顔のお兄ちゃん……その美しさに一目惚れしたのだ。
好きで好きで……。
「おや? 金剛? 梅花が、また迷子になったのかな?」
にっこりと笑う父に、あたふたする梅花の横で、金剛は、
「あの、子仲さま。こんにちは。お邪魔しています」
「おや、ここで話もなんだし、奥に行くかな?」
「えっと……ご迷惑をお掛けしては……」
「いいよいいよ。おいでおいで」
子仲は二人を案内していく。
歩きながら金剛は、梅花に飾りを手首や、髪飾りなどをニコニコしながら飾る姿に、微笑む。
子仲は子沢山だが、男児は成人までの間、生きていく道を叩き込む。
女児は身だしなみに、立ち居振舞いなどを教え込む。
それと、子供たちを、特に女の子を争いに巻き込みたくはない。
その為に色々な所に送り出すのだが、のんびりとしている梅花は、相手に恵まれず心配していた……。
「似合う! よかった、うまく作れて。梅花に身に付けて貰えるなんて嬉しいよ!」
「そ、そんな……私は」
「何言っているの? 梅花はこんなに可愛いのに」
遠い目になる……。
さすがは、あの孔明の息子。
タラシの言葉は、父のそれを聞いて覚えたのだろう。
まぁ、琉璃は、伯父の自分ですらはっきりいって美少女と思う。
自分の娘も可愛いが……。
「じゃぁ、ここにおいで。家の者に……」
「わ、私が、呼んできます!」
パタパタと出ていく。
その音が遠くなった時に、金剛が口を開く。
「子仲さま。梅花に聞かれたくないことでしょうか? それとも、私と梅花が会うのは止めて欲しいとか……」
「は?」
子仲はキョトンとする。
「何でかな? 私も美梅も全く気にしてないし、家の子供たちの方が過激だよ。君に酒を飲ませて、家に連れてきて『既成事実!』とか本気でしようとしていたからね? 公祐に『お仕置き』されていたよ」
「既成事実……お仕置き……」
ダラダラと汗をかきながら、どちらが怖いのか一瞬にして悟る。
しかし……、
「あのっ、そ、その……き、既成事実……って言うのは……」
「聞きたい?」
「違います!」
金剛は訴える!
「俺よりも、梅花はどうなるんですか? 梅花のことを考えるべきでしょう!」
「……まぁ、結婚適齢期ではあるのだけど、人見知りが激しくてね……」
「俺には普通ですよ? 循は緊張するみたいですが、喬とか統は仲良しですよ? あ、そうか。二人共、玉蘭と祐蘭がいるんだ。じゃぁ……何でですかね?」
首を傾げる少年に、子仲はつい、
「金剛。君は、好きな人はいるかな?」
「父さん、母さん、兄弟たちに向こうの母上! それに、あ、梅花! きたの?」
「あ、遅くなりました。お父様、兄様」
俯きがちに近づいてきた少女は、何もないところでスッ転ぶ。
その辺は母親の美梅に似ている。
慌てて助けようとしたのだが、その前に金剛が抱き止める。
「梅花? 大丈夫か? どうしたんだ?」
「えっと、だ、大丈夫です……」
「涙で潤んでる……俺は、母上や母さん、それに梅花が泣くのだけはどうしても辛いんだ。泣かないで? ね?」
涙をそっとぬぐう。
「梅花は笑うと可愛いよ。可愛い笑顔の方が絶対にいいよ。ね? 笑ってよ」
微笑む少年に頬が赤くなった娘に、ポンポンと手を叩いた。
「ハイハイ。二人とも座りなさい」
座らせる。
「はい、金剛のことは調べなくても解るけど、適齢期の娘を持つ父として色々聞いたよ。あ、循の話は話し半分削除! と、公祐のお仕置きがあったけど」
じっとり……と汗がにじむ。
バカ力の父の孔明よりも、循のもう一人の父である公祐は、年は上だが文官なのに文句なしに強い!
昔からよく手合わせをしていたが、一度も勝てたためしはない。
「君に頼みがある。梅花を嫁にしてくれないかな?」
「……は、はぁぁ? お、私ですか?」
「そうだよ。6年も見てきたんだから、君の優しい所や真面目で、視野も広い所、妻や子供たちもとても好意的だよ」
微笑む子仲に金剛は、
「……わ、私の容姿や生まれで、周囲を、梅花を辛い思いにさせたくないです」
「おや、私たちを、そんな風に思っているのかな?」
「違います! 子仲どのや憲和どの、益徳将軍方は全くそんなことはありません。でも、母……琉璃母さんが悲しい顔をしていて……」
子仲は、
「そうだね。でも、私は全く気にしないし、君も、孔明どのの息子だ。それに、孔明どのも髪が白くなったと言うけれど、艶のある銀色だね。君と同じ色だ。同じ色が嫌なのかな?」
「違います! それに独立しようにも、私はまだ出仕したばかりの若輩です」
「家から結納品を用意できるけど?」
「自分で用意するのがしきたりです!」
金剛は立ち上がり告げる。
「父さんが、私をここに連れてきてくれる時に向こうの父に言いました。『漢中でお会いしましょう』……その時に、向こうの両親にも紹介しようと思います。家に帰り父さん、母さんと兄弟たちと相談しようと思います。明日、お返事をさせて頂きますので、よろしくお願い致します」
礼儀正しく頭を下げる、青年になろうとする少年を頼もしく見上げながら微笑んだ。
「こちらこそよろしく頼むね。金剛」
家に帰った金剛は、家族に叔父の均の前で、
「父さん、母さん、叔父さん、皆。俺……私は糜子仲どののご令嬢、梅花どのと結婚したいのですが、お許し頂けますか?」
周囲は顔を見合わせ、どっと笑う。
「なっ、何で?」
「兄さん、今更? 今更言うの?」
循は大笑いをする。
その横で喬は、
「梅花どののこと、とても可愛いとか、よく何を贈ったら良いかなぁとか言っていたから、嬉しいよ。お兄ちゃん」
「うん。お兄ちゃんはかっこいいし優しいし強いから、絶対にお似合いだよ」
統の一言に、広は、
「兄ちゃんより早く、循兄ちゃんが嫁にいけばよかったのに」
「何だって?」
末弟を睨み付ける循に広は、
「金剛兄ちゃんは一人部屋だけど、循兄ちゃんと兄ちゃんが同じ部屋だよ? 可哀想じゃん」
「広!」
「僕は気にしていないけど?」
統は穏やかに微笑む。
「循兄ちゃんがキレる時には、策略が煮詰まった時だから、囲碁とか話を聞いたりすれば大人しくなるから。むしろ厄介なのは広だし、喬お兄ちゃんごめんね?」
「えっ? 広は厄介じゃないよ? それに、僕は皆が大好きだから、良いんだ!」
えへへ……
と照れ笑う喬に、両親は涙目で、
「喬がこんなに良い子なのは、琉璃のお陰だよ~。可愛い!」
「旦那さまの優しい性格と、穏やかな笑顔にそっくりですわ。喬ちゃんのお母さんでよかった!」
二人の親バカぶりに、均はため息をつき、
「二人はほっておいて、金剛。どうするの?」
「一応、新しい屋敷を準備すると、子仲さまに言われましたが、この時代……梅花どのを一人屋敷にというのはダメだと思います。なので、この屋敷に……」
「あぁ、前に一時期、令明どのと瑪瑙どのが住んでいた離れだね?」
「はい。どうでしょうか? 父さん? 母さん?」
二人を見ると微笑む。
「良いよ。金剛のしたいようにしなさい。あ、その前に、向こうのご両親にも連絡をしておくんだよ?」
「……あのバカ親父! あの先祖代々の守ってきた土地を、おばあさまや母上がいうことも聞かずに、兵を動かすから潰れるんだよ! 本当に苦しむのは、一族よりも一般の人々なのに!」
孔明達が目を見開く。
それに気がついた金剛は、
「どうしたの? 父さんたち」
「……成長したなぁ……と感動したんだよ」
孔明たちは、子供たちの成長に目を細めたのだった。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
総統戦記~転生!?アドルフ・ヒトラー~
俊也
歴史・時代
21世紀の日本に生きる平凡な郵便局員、黒田泰年は配達中に突然の事故に見舞われる。
目覚めるとなんとそこは1942年のドイツ。自身の魂はあのアドルフ・ヒトラーに転生していた!?
黒田は持ち前の歴史知識を活かし、ドイツ総統として戦争指導に臨むが…。
果たして黒田=ヒトラーは崩壊の途上にあるドイツ帝国を救い、自らの運命を切り拓くことが出来るのか!?
更にはナチス、親衛隊の狂気の中ユダヤ人救済と言う使命も…。
第6回大賞エントリー中。
「織田信長2030」
共々お気に入り登録と投票宜しくお願い致します
お後姉妹作「零戦戦記」も。
魔斬
夢酔藤山
歴史・時代
深淵なる江戸の闇には、怨霊や妖魔の類が巣食い、昼と対なす穢土があった。
その魔を斬り払う闇の稼業、魔斬。
坊主や神主の手に負えぬ退魔を金銭で請け負う江戸の元締は関東長吏頭・浅草弾左衛門。忌むべき身分を統べる弾左衛門が最後に頼るのが、武家で唯一の魔斬人・山田浅右衛門である。昼は罪人の首を斬り、夜は怨霊を斬る因果の男。
幕末。
深い闇の奥に、今日もあやかしを斬る男がいる。
2023年オール讀物中間発表止まりの作品。その先の連作を含めて、いよいよ御開帳。
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
皇国の栄光
ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。
日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。
激動の昭和時代。
皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか?
それとも47の星が照らす夜だろうか?
趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。
こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる