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第2章
閑話……『Remember Me』
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僕は粟飯原遼一。
年は10歳。
両親の名前を一文字ずつ貰った。
今は、ママは側にいない。
なぜかと言うとママは、海外にいる理央お兄ちゃんと祐実お姉ちゃんのところにいるから。
父さんは、昔はダメだって言ってたけど、最近お家に一人の僕をお店に連れて行ってくれる。
父さんのお店は、お酒をお客様に出すお店。
「パパとママはここで出会ったのよ」
と、いつもママは頬を赤くして照れ笑う。
ママは父さんが大好きだ。
「遼一? 眠くはないかな?」
「大丈夫だよ。僕は子供じゃないよ!」
「眠くなったら言うんだよ? いいね?」
「はーい」
慌てん坊のママは良く忘れ物とか、おろおろするけど、父さんは穏やかそうに見えてどっしりしてる感じ。
「うーん。今日は、どんな曲にしようかな?」
「『リメンバー・ミー』がいい!」
「えぇぇ!」
父さんは振り返る。
「遼一は、あの映画を見たんだっけ?」
「うん! ママと見た。ママがずっと泣いてた。父さん。いつも映画見に行ったら、ママ、周りがジロジロ見るくらい、ワンワン泣くんだよ。『聞こえないからママ寝てて、僕一人で見るから』って言おうかと思ってるんだけど、父さん、代わりに言ってくれない?」
彰一は息子の一言に、がはっと胸を押さえる。
小さい頃は周囲に笑顔と愛想を振りまいて、可愛い可愛いと言われていた末息子が、最近大人びたと言うか全て……いや、特に自分に対して塩対応である。
しかし一回、母の遼にその言葉遣いで対応したら号泣され、もう一人の母代わりの優子に正座で三時間お説教された。
それ以降、遼には塩対応……反抗はしないようにしているらしい。
「ねえ、父さん。この『糸瓜忌』って何?『いとうり?』」
「違うよ。『糸瓜忌』と言って、近代俳句の祖と言われている正岡子規が35歳で亡くなった日だよ。1902年(明治35年)9月19日。亡くなる前に苦しい中で『絶筆糸瓜三句』と言われる三句を書き遺し、亡くなったんだ」
彰一は、小学生だが頑固で、大人扱いを希望する息子に、丁寧に教える。
「『糸瓜咲て痰のつまりし仏かな』
『をととひの糸瓜の水も取らざりき』
『痰一斗糸瓜の水も間にあはず』
だったかな。正岡子規は、当時は治らない病気と言われていた肺結核になって、悪化してカリエスになり、寝たり起きたりしつつ、その場所から見える風景や、昔を思い出して十七文字の世界を作り上げたんだよ」
「すごい! 十七文字……うーんと、『ママは良く泣くからパパに預けよう』」
「……えっと、それになると川柳になる。俳句の十七文字は季語がいるんだよ。ほら、同じ正岡子規が詠んだ『柿食へば鐘がなるなり法隆寺』があるだろう? 柿が季語……季節を示す言葉だよ。季語がないと俳句じゃないんだよ」
「うーん、うーん……」
持ってきていた鉛筆でノートに落書きをしている息子に、苦笑する。
すると、扉が開き、雄洋と大輔が顔を覗かせる。
「こんばんは」
「ようこそ」
「あれ? 遼一も来てたんだ。何してるんだ?」
大輔は、ノートに何かを書いていた遼一に声をかける。
「あ、大輔お兄ちゃん、雄洋お兄ちゃん、ようこそ!」
立ち上がると、おしぼりを渡す。
遼一のいる場所は、父の横。
カウンターの内側に、プラスチックの空いた酒瓶入れをひっくり返して、座布団を敷き、その上に座っていたのだ。
表はお客様と、彰一の移動スペースである。
邪魔をしてはいけないと、小学生ながら理解している。
「『泣き顔を隠して忘れな草おくる』……は? 遼一。これ、誰かに教わったの?」
雄洋はノートの文字を読み、驚く。
「えっ? 違うよ? 僕が考えたの。『リメンバー・ミー』は英語で『僕を忘れないで』って言う意味なんだって。だからね、ママと理央お兄ちゃんたちが、早く帰って欲しいなぁって」
実は、遼は子宮を失った祐実の代わりに代理母出産の為、日本を出国している。
祐実は、過去の恋人のDVで子宮を失ったものの、家族の希望で卵巣を残していた。
10年、夫の理央と2人で過ごしてきたが、周囲には子供のいる夫婦もいて、養子を迎えるか、代理母出産をと一度帰国した時に相談した二人に、遼が、
「じゃぁ、私が代理母になるわ。歳はおばさんで高齢出産だけど、それでも何とかなると思うの」
と言い出したのだ。
そして、外国の病院に行き、自分の身体が出産ができないかと確認検査を受けた。
すると、
「日本人の身体は小柄ですし、年齢的にも難産の可能性があります」
「でも、まだ産めるでしょう? お願いします! どうか私の息子と娘に、二人の子を抱かせてあげて下さい! 私も頑張ります。ですからどうか!」
「お母さん! 私達は……」
「嫌よ! 私は理央くんと祐実さんのお母さんだもの。どうしても二人の孫を抱きたいの! 私のわがままを聞いて欲しいの」
遼の気迫に、彰一は反対をやめた。
妻が生むのは息子夫婦の子供と言う複雑な関係になるが、日本で出産するのではなくなるべく両親になる理央たちの側で、二人と子供たちが一緒に過ごせるようにと、妊娠してすぐ二人の元に出向いて行った。
今は、8ヶ月になると言う赤ん坊は双子らしく、
『ほら~、りょうちゃーん。お腹ぽんぽこよ~。今はお母さんと二人が大変だけど、これからは祐実ちゃんと理央くんが大変だわ~』
『お母さん……』
『まずは、祐実ちゃんと一緒に出産なのよ。ね?』
と、テレビ電話の向こうで笑っている。
『彰一さん、孫が増えるわよ~? あ、男の子か女の子かは内緒』
『お母さん。後ろのぬいぐるみで分かっちゃうよ~?』
笑いながら、理央はカップを持ってくる。
『はい、お母さんと祐実のホットドリンクと、僕は紅茶。それと父さんと遼一。僕たち子供たちが生まれて、落ち着いたら、日本に帰国するから』
「帰国? 一時的かな?」
『ううん。ほら、前に相談して靫原の会社一つ買ったでしょ? 昨日も工場買ったんだ。もうあの会社の殆どの主だったものは、僕と巴(ともえ)が相談して、大輔と雄洋さんで買い取った訳。会社で働きながら、別の会社運営って難しいでしょう? それに、今までは祐実と巴が手伝ってくれていたけど、子供たちの子育ても大変だし。だから、僕達は家族で戻って、父さんたちに面倒かけるかもしれないけど、子育てしつつ、会社を色々運営しなくちゃだし』
「戻るの?」
『うん。10年も自由にしてごめんね』
苦笑する息子に、微笑む。
「何を言ってるんだい。嬉しいよ。あ、そう言えば、病院は……」
『あ、病院は父さんと僕たちの名義だよ。父さんが理事長でしょう? 僕たちは理事として運営するからね』
「私は、賢い息子達と可愛い娘達が自慢だよ……」
『遼一も自慢の弟だからね? あ、今度会う時には、遼一の大好きなゲームしようね』
「うん! 理央お兄ちゃん! お姉ちゃんもえっと『Remember Me』」
弟の言葉に目を見開く。
『遼一、英語分かるの?』
「うん。でも、『Remember Me』だと『忘れるな』になっちゃうんだって。お兄ちゃんとお姉ちゃん、ママに、僕と父さんのこと忘れないでねって言いたかったんだ」
遼と祐実はテレビの向こうで涙ぐみ、理央はその二人を抱きしめる。
「遼一、それに父さんのことは忘れてないよ。赤ちゃんが生まれて落ち着いたら、戻るからね? 遼一は優しくて強いから、赤ちゃんと仲良くしてね?」
「うん! 僕可愛がるね!」
いつのまにか寝入ってしまった息子を、抱き上げ奥に寝かせると戻ってくる。
「最近は、本当に子供だ子供だと言っても、もう私には塩対応なんですよ」
「あはは……でも、理央や祐実さんとか、巴にはそんなことないですよね?」
「母や宣子にもね。一回、うちの母に説教されたらしいから」
雄洋は苦笑する。
「『うちの旦那みたいに馬鹿になりたいの? りょうちゃんは先輩……りょうちゃんのパパと、遼ちゃんの子供なんだから、二人みたいに賢くてかっこ良くて優しい人になるのよ!』ってね」
「あはは……あれ? マスター。今日のお酒は?」
「えとですね……『Remember Me』に意味の近いカクテルがありましたから、作ってみたのです」
「へぇ……」
音楽は流れる。
差し出したカクテルを受け取る二人に、
「ヴァイオレットフィズです。私を覚えていてと言う意味だそうです」
そして三人のスマホが鳴った。
取ると、理央からのメールで、
『生まれました!
生まれたのは三つ子です。女の子が二人、男の子が一人です。小さいけれど本当に本当に可愛い……母さんに感謝します。こんな僕を父親にしてくれて、祐実がずっと諦めていた夢を叶えてくれて……それに、僕たちの夢に背中を押してくれた父さんと遼一、親友の大輔と雄洋兄さん、宜子さんたちにお礼を……まずは連絡です。写真は落ち着いてからにするね。
理央、祐実』
「生まれた! やったぁぁ!」
「良かった……良かった……」
親友二人は涙ぐむ。
ゆったりとした音楽を聴きながら、自分用のヴァイオレットフィズを作った彰一は、
「おめでとう……そして、遼。お疲れ様」
と呟き、涙を隠したのだった。
…………………………………
Remember Me……僕を忘れないで。日本語訳は優しい。僕を忘れるな!が近い意味。
バイオレットフィズ
カクテル言葉……私を覚えていて
バイオレットリキュール ― 45ml
レモンジュース ― 20ml
砂糖 ― 1tsp
炭酸水 ― 適量
ショートシェイク
炭酸水以外のものをシェイクしてグラスに注ぎ、そこに炭酸水を加えて軽く混ぜる。
年は10歳。
両親の名前を一文字ずつ貰った。
今は、ママは側にいない。
なぜかと言うとママは、海外にいる理央お兄ちゃんと祐実お姉ちゃんのところにいるから。
父さんは、昔はダメだって言ってたけど、最近お家に一人の僕をお店に連れて行ってくれる。
父さんのお店は、お酒をお客様に出すお店。
「パパとママはここで出会ったのよ」
と、いつもママは頬を赤くして照れ笑う。
ママは父さんが大好きだ。
「遼一? 眠くはないかな?」
「大丈夫だよ。僕は子供じゃないよ!」
「眠くなったら言うんだよ? いいね?」
「はーい」
慌てん坊のママは良く忘れ物とか、おろおろするけど、父さんは穏やかそうに見えてどっしりしてる感じ。
「うーん。今日は、どんな曲にしようかな?」
「『リメンバー・ミー』がいい!」
「えぇぇ!」
父さんは振り返る。
「遼一は、あの映画を見たんだっけ?」
「うん! ママと見た。ママがずっと泣いてた。父さん。いつも映画見に行ったら、ママ、周りがジロジロ見るくらい、ワンワン泣くんだよ。『聞こえないからママ寝てて、僕一人で見るから』って言おうかと思ってるんだけど、父さん、代わりに言ってくれない?」
彰一は息子の一言に、がはっと胸を押さえる。
小さい頃は周囲に笑顔と愛想を振りまいて、可愛い可愛いと言われていた末息子が、最近大人びたと言うか全て……いや、特に自分に対して塩対応である。
しかし一回、母の遼にその言葉遣いで対応したら号泣され、もう一人の母代わりの優子に正座で三時間お説教された。
それ以降、遼には塩対応……反抗はしないようにしているらしい。
「ねえ、父さん。この『糸瓜忌』って何?『いとうり?』」
「違うよ。『糸瓜忌』と言って、近代俳句の祖と言われている正岡子規が35歳で亡くなった日だよ。1902年(明治35年)9月19日。亡くなる前に苦しい中で『絶筆糸瓜三句』と言われる三句を書き遺し、亡くなったんだ」
彰一は、小学生だが頑固で、大人扱いを希望する息子に、丁寧に教える。
「『糸瓜咲て痰のつまりし仏かな』
『をととひの糸瓜の水も取らざりき』
『痰一斗糸瓜の水も間にあはず』
だったかな。正岡子規は、当時は治らない病気と言われていた肺結核になって、悪化してカリエスになり、寝たり起きたりしつつ、その場所から見える風景や、昔を思い出して十七文字の世界を作り上げたんだよ」
「すごい! 十七文字……うーんと、『ママは良く泣くからパパに預けよう』」
「……えっと、それになると川柳になる。俳句の十七文字は季語がいるんだよ。ほら、同じ正岡子規が詠んだ『柿食へば鐘がなるなり法隆寺』があるだろう? 柿が季語……季節を示す言葉だよ。季語がないと俳句じゃないんだよ」
「うーん、うーん……」
持ってきていた鉛筆でノートに落書きをしている息子に、苦笑する。
すると、扉が開き、雄洋と大輔が顔を覗かせる。
「こんばんは」
「ようこそ」
「あれ? 遼一も来てたんだ。何してるんだ?」
大輔は、ノートに何かを書いていた遼一に声をかける。
「あ、大輔お兄ちゃん、雄洋お兄ちゃん、ようこそ!」
立ち上がると、おしぼりを渡す。
遼一のいる場所は、父の横。
カウンターの内側に、プラスチックの空いた酒瓶入れをひっくり返して、座布団を敷き、その上に座っていたのだ。
表はお客様と、彰一の移動スペースである。
邪魔をしてはいけないと、小学生ながら理解している。
「『泣き顔を隠して忘れな草おくる』……は? 遼一。これ、誰かに教わったの?」
雄洋はノートの文字を読み、驚く。
「えっ? 違うよ? 僕が考えたの。『リメンバー・ミー』は英語で『僕を忘れないで』って言う意味なんだって。だからね、ママと理央お兄ちゃんたちが、早く帰って欲しいなぁって」
実は、遼は子宮を失った祐実の代わりに代理母出産の為、日本を出国している。
祐実は、過去の恋人のDVで子宮を失ったものの、家族の希望で卵巣を残していた。
10年、夫の理央と2人で過ごしてきたが、周囲には子供のいる夫婦もいて、養子を迎えるか、代理母出産をと一度帰国した時に相談した二人に、遼が、
「じゃぁ、私が代理母になるわ。歳はおばさんで高齢出産だけど、それでも何とかなると思うの」
と言い出したのだ。
そして、外国の病院に行き、自分の身体が出産ができないかと確認検査を受けた。
すると、
「日本人の身体は小柄ですし、年齢的にも難産の可能性があります」
「でも、まだ産めるでしょう? お願いします! どうか私の息子と娘に、二人の子を抱かせてあげて下さい! 私も頑張ります。ですからどうか!」
「お母さん! 私達は……」
「嫌よ! 私は理央くんと祐実さんのお母さんだもの。どうしても二人の孫を抱きたいの! 私のわがままを聞いて欲しいの」
遼の気迫に、彰一は反対をやめた。
妻が生むのは息子夫婦の子供と言う複雑な関係になるが、日本で出産するのではなくなるべく両親になる理央たちの側で、二人と子供たちが一緒に過ごせるようにと、妊娠してすぐ二人の元に出向いて行った。
今は、8ヶ月になると言う赤ん坊は双子らしく、
『ほら~、りょうちゃーん。お腹ぽんぽこよ~。今はお母さんと二人が大変だけど、これからは祐実ちゃんと理央くんが大変だわ~』
『お母さん……』
『まずは、祐実ちゃんと一緒に出産なのよ。ね?』
と、テレビ電話の向こうで笑っている。
『彰一さん、孫が増えるわよ~? あ、男の子か女の子かは内緒』
『お母さん。後ろのぬいぐるみで分かっちゃうよ~?』
笑いながら、理央はカップを持ってくる。
『はい、お母さんと祐実のホットドリンクと、僕は紅茶。それと父さんと遼一。僕たち子供たちが生まれて、落ち着いたら、日本に帰国するから』
「帰国? 一時的かな?」
『ううん。ほら、前に相談して靫原の会社一つ買ったでしょ? 昨日も工場買ったんだ。もうあの会社の殆どの主だったものは、僕と巴(ともえ)が相談して、大輔と雄洋さんで買い取った訳。会社で働きながら、別の会社運営って難しいでしょう? それに、今までは祐実と巴が手伝ってくれていたけど、子供たちの子育ても大変だし。だから、僕達は家族で戻って、父さんたちに面倒かけるかもしれないけど、子育てしつつ、会社を色々運営しなくちゃだし』
「戻るの?」
『うん。10年も自由にしてごめんね』
苦笑する息子に、微笑む。
「何を言ってるんだい。嬉しいよ。あ、そう言えば、病院は……」
『あ、病院は父さんと僕たちの名義だよ。父さんが理事長でしょう? 僕たちは理事として運営するからね』
「私は、賢い息子達と可愛い娘達が自慢だよ……」
『遼一も自慢の弟だからね? あ、今度会う時には、遼一の大好きなゲームしようね』
「うん! 理央お兄ちゃん! お姉ちゃんもえっと『Remember Me』」
弟の言葉に目を見開く。
『遼一、英語分かるの?』
「うん。でも、『Remember Me』だと『忘れるな』になっちゃうんだって。お兄ちゃんとお姉ちゃん、ママに、僕と父さんのこと忘れないでねって言いたかったんだ」
遼と祐実はテレビの向こうで涙ぐみ、理央はその二人を抱きしめる。
「遼一、それに父さんのことは忘れてないよ。赤ちゃんが生まれて落ち着いたら、戻るからね? 遼一は優しくて強いから、赤ちゃんと仲良くしてね?」
「うん! 僕可愛がるね!」
いつのまにか寝入ってしまった息子を、抱き上げ奥に寝かせると戻ってくる。
「最近は、本当に子供だ子供だと言っても、もう私には塩対応なんですよ」
「あはは……でも、理央や祐実さんとか、巴にはそんなことないですよね?」
「母や宣子にもね。一回、うちの母に説教されたらしいから」
雄洋は苦笑する。
「『うちの旦那みたいに馬鹿になりたいの? りょうちゃんは先輩……りょうちゃんのパパと、遼ちゃんの子供なんだから、二人みたいに賢くてかっこ良くて優しい人になるのよ!』ってね」
「あはは……あれ? マスター。今日のお酒は?」
「えとですね……『Remember Me』に意味の近いカクテルがありましたから、作ってみたのです」
「へぇ……」
音楽は流れる。
差し出したカクテルを受け取る二人に、
「ヴァイオレットフィズです。私を覚えていてと言う意味だそうです」
そして三人のスマホが鳴った。
取ると、理央からのメールで、
『生まれました!
生まれたのは三つ子です。女の子が二人、男の子が一人です。小さいけれど本当に本当に可愛い……母さんに感謝します。こんな僕を父親にしてくれて、祐実がずっと諦めていた夢を叶えてくれて……それに、僕たちの夢に背中を押してくれた父さんと遼一、親友の大輔と雄洋兄さん、宜子さんたちにお礼を……まずは連絡です。写真は落ち着いてからにするね。
理央、祐実』
「生まれた! やったぁぁ!」
「良かった……良かった……」
親友二人は涙ぐむ。
ゆったりとした音楽を聴きながら、自分用のヴァイオレットフィズを作った彰一は、
「おめでとう……そして、遼。お疲れ様」
と呟き、涙を隠したのだった。
…………………………………
Remember Me……僕を忘れないで。日本語訳は優しい。僕を忘れるな!が近い意味。
バイオレットフィズ
カクテル言葉……私を覚えていて
バイオレットリキュール ― 45ml
レモンジュース ― 20ml
砂糖 ― 1tsp
炭酸水 ― 適量
ショートシェイク
炭酸水以外のものをシェイクしてグラスに注ぎ、そこに炭酸水を加えて軽く混ぜる。
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