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第1章
『Get Wild』
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今日のマスターは何故か『バレンタインデー』と言うのが凄まじいなぁと思ったのだった。
節分が終わり、少し趣向を変えた曲をと思い、選んだのはTMN(TM NETWORK)のアルバムである。
色々なアニメや映画などに曲を提供されており、今でもファンが多い。
すると、二人の女性がやって来た。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
「どうぞ」
バーには一つだけテーブルがある。
そちらに着いたお客は余りなく最近は、相棒を手当てした遼位である。
二人は席につく。
「だからね? まゆちゃん、頑張って告白しようかと思って! 今までは黙っていたけど、頑張る! 化粧も頑張って、服も選んで!」
「やめときなよ。みさちゃんは今のままが本心で可愛いし、そのままがいいんだって! あいつの言葉に惑わされない! ほっときなさい!」
「えっ? だって……和也くんは沢山チョコレート貰う筈だし……。もし駄目なら諦める。迷惑だと思うし……」
まゆと言うのは、バッチリメイクの女性。
みさと言うのがシンプルメイクと言うか、時間も時間で落ちていると言った印象の女性である。
しかし顔立ちが童顔な所は、二人とも大学生らしい。
「迷惑どころか! どうせ、あいつは絶対昔からもてると思い上がってるんだから、来るもの拒まず取っちゃ食いしてるわよ。あのくず、女の敵!」
「そんなこと言うから、喧嘩するんでしょ? 幼馴染みなんだし悪口言わないの。それに好きだったんでしょ?」
「ヤーメーテ! もうすでに抹消した過去よ! それに比べて弟の方は、出来が良い上に医学生よ! あぁ、ヤダヤダ! 弟くんの方がイケメンな上に、優しいわよ」
両手で耳を押さえ嫌そうな顔になると、はっと思い出したように、
「じゃぁ、私はそっちゲット! チャレンジするわ!」
「駄目でしょ。医大だよ? 大変でしょ?」
「それより、みさちゃんはどうするのよ?」
「だ、だから……和也くんに玉砕覚悟で……」
「そんな悲惨な顔でやるなら、酒でも飲ませてでも、うんって言わせれば良いのよ! 私が……」
こそこそと話すみさに、テーブル席からカウンター席にいたマスターにはしっかり聞こえていた。
口を挟むのを諦めたマスターは二つのカクテルを作り、席に近づいた。
「お待たせいたしました。どうぞ」
「あ、すみません! 話に夢中で……」
「あ、すみません!」
「いいえ。今日のカクテルはお客様に……」
テーブルに乗せる。
みさはカクテルグラスとマスターを見る。
「このお酒は?」
マスターは天井を指す。
「ご存じではないかもしれませんが、この曲はある漫画が原作のアニメの主題歌なんですよ」
「そう言えば、お父さんが言ってたなぁ……聞いたことがあります」
まゆはアニメの名前を告げる。
「よくご存じですね。で、このカクテルは『ハンター』と言います」
「……エェェ!」
二人は顔を見合わせる。
と、まゆが、
「ほら! マスターが応援しているわよ! みさちゃん。頑張れ!」
「う、うん! バレンタインデーに告白する! ありがとうございます!」
二人は、手に取ったのだった。
節分が終わり、少し趣向を変えた曲をと思い、選んだのはTMN(TM NETWORK)のアルバムである。
色々なアニメや映画などに曲を提供されており、今でもファンが多い。
すると、二人の女性がやって来た。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
「どうぞ」
バーには一つだけテーブルがある。
そちらに着いたお客は余りなく最近は、相棒を手当てした遼位である。
二人は席につく。
「だからね? まゆちゃん、頑張って告白しようかと思って! 今までは黙っていたけど、頑張る! 化粧も頑張って、服も選んで!」
「やめときなよ。みさちゃんは今のままが本心で可愛いし、そのままがいいんだって! あいつの言葉に惑わされない! ほっときなさい!」
「えっ? だって……和也くんは沢山チョコレート貰う筈だし……。もし駄目なら諦める。迷惑だと思うし……」
まゆと言うのは、バッチリメイクの女性。
みさと言うのがシンプルメイクと言うか、時間も時間で落ちていると言った印象の女性である。
しかし顔立ちが童顔な所は、二人とも大学生らしい。
「迷惑どころか! どうせ、あいつは絶対昔からもてると思い上がってるんだから、来るもの拒まず取っちゃ食いしてるわよ。あのくず、女の敵!」
「そんなこと言うから、喧嘩するんでしょ? 幼馴染みなんだし悪口言わないの。それに好きだったんでしょ?」
「ヤーメーテ! もうすでに抹消した過去よ! それに比べて弟の方は、出来が良い上に医学生よ! あぁ、ヤダヤダ! 弟くんの方がイケメンな上に、優しいわよ」
両手で耳を押さえ嫌そうな顔になると、はっと思い出したように、
「じゃぁ、私はそっちゲット! チャレンジするわ!」
「駄目でしょ。医大だよ? 大変でしょ?」
「それより、みさちゃんはどうするのよ?」
「だ、だから……和也くんに玉砕覚悟で……」
「そんな悲惨な顔でやるなら、酒でも飲ませてでも、うんって言わせれば良いのよ! 私が……」
こそこそと話すみさに、テーブル席からカウンター席にいたマスターにはしっかり聞こえていた。
口を挟むのを諦めたマスターは二つのカクテルを作り、席に近づいた。
「お待たせいたしました。どうぞ」
「あ、すみません! 話に夢中で……」
「あ、すみません!」
「いいえ。今日のカクテルはお客様に……」
テーブルに乗せる。
みさはカクテルグラスとマスターを見る。
「このお酒は?」
マスターは天井を指す。
「ご存じではないかもしれませんが、この曲はある漫画が原作のアニメの主題歌なんですよ」
「そう言えば、お父さんが言ってたなぁ……聞いたことがあります」
まゆはアニメの名前を告げる。
「よくご存じですね。で、このカクテルは『ハンター』と言います」
「……エェェ!」
二人は顔を見合わせる。
と、まゆが、
「ほら! マスターが応援しているわよ! みさちゃん。頑張れ!」
「う、うん! バレンタインデーに告白する! ありがとうございます!」
二人は、手に取ったのだった。
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