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朔夜パパのと祐也のお説教タイムです。

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 せとかが迎え入れたのは、朔夜さくやと同年代の男。
 しかし、祐也ゆうやが先程会ったときよりも、一気に老け込んだ感じがした。

「申し訳ございません。夜分に……私は……」
「曽我部さんですね?如何されましたか?」
「かずきは……優希ゆうき竜樹たつきは……?」

 唇を震わせ、問いかける父親に、朔夜は、

「お子さんはこちらにはおりません。祐也?」
「知っていても、お伝えできません。かずきの傷の具合は、想像を遥かに越えていました。つい先程まで、父や病院のスタッフさんが入れ替わりで手術をしていました」
「……脳内出血、内臓破裂寸前。肋骨や頭蓋骨、足の骨も折れていました。今の法律で言えば、『器物破損』ですが、犬も、ひとつの命。その命をもてあそぶような人間に対して、私は獣医師として……」
「私が、きちんとしておりませんでした。仕事にかまけて……家族を二人を守れませんでした‼私が一番……」
「何でですか?」

祐也は優希の父親を見る。

「優希ちゃんを守るよりも、大事なことがあるんじゃないですか?」
「何が……」
誠一郎せいいちろう君でしたっけ?彼の再教育ですよ。二重人格。表向きは優しい好青年。裏では弱い立場の妹や犬をボコボコにして、それで鬱憤を下げている、くずじゃないですか。成績がいい?それがなんだって言うんですか?彼の本性が腐ってるんですよ」
「……っ!……」
「言い返さなくても、言い返せないでしょう?日常茶飯事じゃないですか?彼の家庭内暴力は。それに、奥さんのマインドコントロールってあれ、何ですか?自分は洗濯したから、それ以外は娘達の仕事ですって、じゃぁ、あの人は何をしてるんですか?優希ちゃん姉妹に何でもさせて、しかも、娘を妹や死んだ父親に言われたから進学させない?立派な人権侵害で、虐待でしょう⁉」

 朔夜も呆気に取られる。
 息子も息子なら母親も母親、歪んでいる。

「……あれは、一応育児放棄を受けたので……子供の養育は苦手で……息子は、死んだ義父に長男だからと溺愛され……何でも思い通りになると……」
「なるわけないでしょう‼」

 別の声が聞こえ一喝する。

「何ですか‼その時代錯誤の家は‼その家であの二人は身を寄せあって育ったんですか‼かずきも‼」

 立っているのは深夜だと言うのに、スーツをピッチリと着こなした青年である。

「失礼致しました。私は、大原嵯峨おおはらさがと申します。お父さんの言い分は、二人は歪んで育ったから、これからも優希ちゃんたちには我慢しろといっているように聞こえますが?」
「いや、そ、そうではなく……」
「今まで必死に努力してきた二人に、これからも我慢しろ?優希ちゃんには進学するなと言うのですか?お兄さんは進学させたのに?」
「いえ、私も進学させたいのです‼ですが嫁が……進学させるお金はないと……だから、あの土地を売って、借金を少しでも返して子供たちに……。それなのに義妹が……借金を増やし続ける店をやめる気はないと……その上、義父の弟が金を貸してくれと……義父の命令で保証人になって……そうしたら、自己破産して……全て借金がのし掛かって……」

 顔をおおう。

「私も、本当に辛いんです‼ここで言うのも何ですが、私の父と義父が幼馴染みで、私を心配した父は結婚の条件として、義妹の結婚を……そうしたら義母が『私の娘を追い出すのか‼』と日々食って掛かられ、私は心を……妻は妻で子育ての最中にいなくなり、数日後に『旅行にいってきた』。義父は義父で、家の金庫から飲み代を持ち出して……」

 肩を揺らせる姿は、朔夜も嵯峨も祐也も心底不憫としか言いようがない。
 嵯峨は、

「では、正式な書類は後で作成いたしますが、曽我部さん。一つお伺いいたします。お嬢さんお二人をお返しして、暴力や暴言、進学の自由を侵害されたりするのは無くなりますか?」
「……無くならないと、思います……」
「では、お返し出来ません。もし、曖昧なままお返しして、お嬢さんが命が危うくなったとなったなら……私は弁護士として、お嬢さんを守りきれなかったと恥じるでしょう」
「でも‼」
「……この地にいれば、お嬢さんはまず、今までのまま萎縮したまま暮らすこととなるでしょう。お兄さんの暴言、暴力、お母さんの育児放棄、それを見て成長した弟さんも同じことをしないとも限りません。それに、義理のお母さんと妹さんはただのヒモ。曽我部さんを財布にしか見ていない節があります。ひとつどうでしょう?私の提案を受け入れて戴けませんか?ご家族に相談しても無意味。するのならご自分の御母様、ご兄弟にご相談ください」



項垂れ、これから実家に向かい、話し合いをすることに決めたのだった。
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