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永久循環機関🟰ヴァーロ、ジョシュ。つまり人外
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『アルスのバカァ……』
ぷんぷん頬を膨らませつつ、そのまま……一応バッグは一旦部屋に戻り置いてきて、脱いだ服は洗濯カゴ、パジャマ代わりのジャージの上下を頭に乗せて風呂場にきたヴァーロは、着替えを脱衣カゴに入れて風呂場に入る。
そして、浴槽にドボンと浸かった。
水飛沫をあげすぎると次の人に迷惑だと先日遊びすぎて桜智に徹底的に制裁を受け、しっかりわかったので、外で遊ぶ時のみにしている。
もふもふの毛の間に空気が溜まるようで、少しふよふよ浮きながら犬かきをして遊んでみる。
そんなに大きくはない浴槽だが、ヴァーロが入れるのがありがたい。
でも次に入る琴葉のためにも、上から水滴が落ちてびっくりさせるのもどうかと思われるので、必要以上暴れず、ただただイライラを発散させるようにバシャバシャし、そして人の姿に戻り、上を向いて浮かんでボーッとする。
この世界にある家や建物とは違いすぎる、この成長する家……。
周囲は石を積み上げた家か、もしくはこの地域の大半を占める金の森は、樹木の伐採を完全に禁じているのでここより少し離れた人工林の丸太と板を利用した建物が多いのに、この家は不思議な素材でできた家……。
琴葉に聞いて教わった知識を深掘りすればするほどわからなくなるけれど、途中で内容よりもその声に酔っていく。
一応、この天井のライトは琴葉がいうには屋根の上の無骨な黒い板が日光を浴びて、浴びた太陽の熱を変化させて作った動力でつけたり消えたりするようだ。
他にも風見鶏のようなもので風を受け、その回転で動力を得てるとか。
【一種の魔法のようなものよ。アンタが言ってた術っていうのが体の内にある力を用いた……もしかしたら非効率、効率悪いものかもよ?】
「なんで?」
自分よりも桜智の方がこういうことは得意かもというので代わってもらい、簡単に……それでもヴァーロには難しかったのだが教わる。
【アンタはドラゴンだから内蔵量が多いのよ、きっと。攻撃なんかは筋肉、骨、筋がバランス良くついている状態で瞬発力と一時的な体の強化で大丈夫だけど、ファンタジー小説では、魔法や術は数パターンで生み出すのよ。一つは……】
桜智の説明は結構途中から参加したジョシュやバーバラにとっては興味深かったらしいが、ヴァーロにはそれ? というものが多かった。
簡単に言うと、術は体の内部に力を溜め込む部分があり、その部分の力を使い様々な術を構築する。
一種の魔石を内包しているようだ。
それは一人一人大きさが違い、ジョシュのように有能な術師はかなり巨大な魔石が身体の中にあると思えばいいのだという。
ジョシュのようなタイプだと、使っても使っても屋根の上の板から送られる動力のようにすぐ溜め込まれるため、ほぼ無限に使い続けられる。
永遠機関のようなものだと言う。
ジョシュの力は全身に満たされたその石の内部を循環しているらしく、常に滞らないので、その分身体にも負担が少なく老化も遅くなっているのではないかという。
そして、琴葉や桜智が読むファンタジー小説の魔法は、一人一人身体には魔法の数値が決められていて、そして一つ一つの魔法……術でいう詠唱には消耗する数値が決まっていて、使うほどにそれが減少する。
回復は一旦動きを止め睡眠状態になってしまうか、魔法の数値を回復する薬を飲むことでしか回復しない。
常に数値を確認しなければならず非効率だという。
でもこれはこの世界の一般的な術師もほぼ同様に思えるので、もしかしたらジョシュのような魔石を内包している人間の術師は少ないのかもと桜智は言っていた。
そして、ボクやドラゴン族はジョシュタイプ。
魔石を内包している状態で、強大な術を行使しているらしい。
ドラゴン族は後一つ、世界から力を分けてもらっているのかもしれないという。
桜智の小説では精霊魔法ともいうらしい。
世界にいる精霊に自分の力の一部を差し出すことで、その対価として精霊の所属する属性の力を借り使役する。
その少し変化したものは、琴葉たちの世界の伝承にある妖精精霊のお話だ。
全くそう言った力のない人間が、お菓子やミルクを分けることで掃除をしてもらったり、作業を頼むというものだ。
これは対価を渡すことで使役するものに似ている……。
「もしかしたら、ボクもドラゴンだから、うまくいけばそっちの方も知識を吸収して使えるようにできるかも……そうしたら人型でもドラゴンでも成長できるのかな」
最近自覚はある。
昔は、本当に赤ん坊サイズだったのだ。
それが少しずつ成長していたはずだった。
でも、この7歳児で成長が止まり、もふもふの方も乗獣の子供サイズでぴたりと止まった。
必死に成長してほしいからと無茶もした。
その無茶が現在のギルドの運営の一翼を担っているので後悔はないが……大きくなりたいものである。
「……いいなぁ、アルス。ボクもアルスぐらい大きかったらなぁ……」
良く、義弟には、
「デカイ! 暑苦しい!」
というが、はっきり言えば本心は、
「長身が羨ましい、ボクの頭撫でるなよ! 弟のくせに! ボクの方が兄なのに! なんで、癇癪を起こすボクを見てニコニコするんだ! 子供扱いするな~!」
と言いたい。
嫌いじゃないが、よく無意識に子供扱いするのが癪に触るのだ。
でも、暑苦しいと言うと、ないはずの頭の上の耳がペタッとして、上目遣いでこちらを見ているようで鬱陶しいというより、外見と内面が全くそぐわない弟だと思う。
アルスこそ、自分と外見を交換すべきである。
トントントン……
脱衣所の向こうからノックがする。
「ヴァーロくん……」
「あ、はーい!」
慌てて足を下ろすと、少しだけ開き琴葉の声を届けてくれる。
「あんまり長く入ってると湯疲れするから気をつけてね? あ、タオルだけ持ってきたから」
「はーい、ありがとう! すぐにでるね~」
声を返すとそっとドアが閉じた。
ぷんぷん頬を膨らませつつ、そのまま……一応バッグは一旦部屋に戻り置いてきて、脱いだ服は洗濯カゴ、パジャマ代わりのジャージの上下を頭に乗せて風呂場にきたヴァーロは、着替えを脱衣カゴに入れて風呂場に入る。
そして、浴槽にドボンと浸かった。
水飛沫をあげすぎると次の人に迷惑だと先日遊びすぎて桜智に徹底的に制裁を受け、しっかりわかったので、外で遊ぶ時のみにしている。
もふもふの毛の間に空気が溜まるようで、少しふよふよ浮きながら犬かきをして遊んでみる。
そんなに大きくはない浴槽だが、ヴァーロが入れるのがありがたい。
でも次に入る琴葉のためにも、上から水滴が落ちてびっくりさせるのもどうかと思われるので、必要以上暴れず、ただただイライラを発散させるようにバシャバシャし、そして人の姿に戻り、上を向いて浮かんでボーッとする。
この世界にある家や建物とは違いすぎる、この成長する家……。
周囲は石を積み上げた家か、もしくはこの地域の大半を占める金の森は、樹木の伐採を完全に禁じているのでここより少し離れた人工林の丸太と板を利用した建物が多いのに、この家は不思議な素材でできた家……。
琴葉に聞いて教わった知識を深掘りすればするほどわからなくなるけれど、途中で内容よりもその声に酔っていく。
一応、この天井のライトは琴葉がいうには屋根の上の無骨な黒い板が日光を浴びて、浴びた太陽の熱を変化させて作った動力でつけたり消えたりするようだ。
他にも風見鶏のようなもので風を受け、その回転で動力を得てるとか。
【一種の魔法のようなものよ。アンタが言ってた術っていうのが体の内にある力を用いた……もしかしたら非効率、効率悪いものかもよ?】
「なんで?」
自分よりも桜智の方がこういうことは得意かもというので代わってもらい、簡単に……それでもヴァーロには難しかったのだが教わる。
【アンタはドラゴンだから内蔵量が多いのよ、きっと。攻撃なんかは筋肉、骨、筋がバランス良くついている状態で瞬発力と一時的な体の強化で大丈夫だけど、ファンタジー小説では、魔法や術は数パターンで生み出すのよ。一つは……】
桜智の説明は結構途中から参加したジョシュやバーバラにとっては興味深かったらしいが、ヴァーロにはそれ? というものが多かった。
簡単に言うと、術は体の内部に力を溜め込む部分があり、その部分の力を使い様々な術を構築する。
一種の魔石を内包しているようだ。
それは一人一人大きさが違い、ジョシュのように有能な術師はかなり巨大な魔石が身体の中にあると思えばいいのだという。
ジョシュのようなタイプだと、使っても使っても屋根の上の板から送られる動力のようにすぐ溜め込まれるため、ほぼ無限に使い続けられる。
永遠機関のようなものだと言う。
ジョシュの力は全身に満たされたその石の内部を循環しているらしく、常に滞らないので、その分身体にも負担が少なく老化も遅くなっているのではないかという。
そして、琴葉や桜智が読むファンタジー小説の魔法は、一人一人身体には魔法の数値が決められていて、そして一つ一つの魔法……術でいう詠唱には消耗する数値が決まっていて、使うほどにそれが減少する。
回復は一旦動きを止め睡眠状態になってしまうか、魔法の数値を回復する薬を飲むことでしか回復しない。
常に数値を確認しなければならず非効率だという。
でもこれはこの世界の一般的な術師もほぼ同様に思えるので、もしかしたらジョシュのような魔石を内包している人間の術師は少ないのかもと桜智は言っていた。
そして、ボクやドラゴン族はジョシュタイプ。
魔石を内包している状態で、強大な術を行使しているらしい。
ドラゴン族は後一つ、世界から力を分けてもらっているのかもしれないという。
桜智の小説では精霊魔法ともいうらしい。
世界にいる精霊に自分の力の一部を差し出すことで、その対価として精霊の所属する属性の力を借り使役する。
その少し変化したものは、琴葉たちの世界の伝承にある妖精精霊のお話だ。
全くそう言った力のない人間が、お菓子やミルクを分けることで掃除をしてもらったり、作業を頼むというものだ。
これは対価を渡すことで使役するものに似ている……。
「もしかしたら、ボクもドラゴンだから、うまくいけばそっちの方も知識を吸収して使えるようにできるかも……そうしたら人型でもドラゴンでも成長できるのかな」
最近自覚はある。
昔は、本当に赤ん坊サイズだったのだ。
それが少しずつ成長していたはずだった。
でも、この7歳児で成長が止まり、もふもふの方も乗獣の子供サイズでぴたりと止まった。
必死に成長してほしいからと無茶もした。
その無茶が現在のギルドの運営の一翼を担っているので後悔はないが……大きくなりたいものである。
「……いいなぁ、アルス。ボクもアルスぐらい大きかったらなぁ……」
良く、義弟には、
「デカイ! 暑苦しい!」
というが、はっきり言えば本心は、
「長身が羨ましい、ボクの頭撫でるなよ! 弟のくせに! ボクの方が兄なのに! なんで、癇癪を起こすボクを見てニコニコするんだ! 子供扱いするな~!」
と言いたい。
嫌いじゃないが、よく無意識に子供扱いするのが癪に触るのだ。
でも、暑苦しいと言うと、ないはずの頭の上の耳がペタッとして、上目遣いでこちらを見ているようで鬱陶しいというより、外見と内面が全くそぐわない弟だと思う。
アルスこそ、自分と外見を交換すべきである。
トントントン……
脱衣所の向こうからノックがする。
「ヴァーロくん……」
「あ、はーい!」
慌てて足を下ろすと、少しだけ開き琴葉の声を届けてくれる。
「あんまり長く入ってると湯疲れするから気をつけてね? あ、タオルだけ持ってきたから」
「はーい、ありがとう! すぐにでるね~」
声を返すとそっとドアが閉じた。
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