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着せ替え!
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「えっ? この部屋? ボクに?」
案内された部屋を驚いたように見ているヴァーロに、琴葉は中に入りカーテンを開ける。
「はい。一応ベッドと、横にちょっとした棚を置いてます。こっちにもクローゼット、簡易のテーブルと椅子です。大事なものというか何かしまう時には、このベッドの下にも引き出しありますよ」
「えぇぇ! 本当にこんなにいい部屋使っていいの?」
「いい部屋? えっと逆にシンプルですみません。絨毯というにはお粗末かもです。マットレスと毛布も……」
ベッドや棚はお古で悪いなぁと恐縮する琴葉に、首を振る。
「ううん、そういう意味じゃないよ! ボク基本、もっと古いベッドと狭い部屋だけだよ? ほら一応王宮にいることになってるけど、旅をして生活してるから。昔の実家は備え付けの2段ベッドだったし」
【えっ? 昔の王族でしょ? 親は】
「あぁ、育ての両親は後で王になったけど、ほら、ボクは両親が戦乱の時代に各地転戦してる時に生まれてて、父の背中に背負われて育ったからさ~。地面にそのまま座ってとか、よくて幅広の布を枝やロープにテントみたいにかけて雨風除けにしたりして過ごしてたし、瓦礫の中で身を潜めてとか普通だったし。それに、ニーリィードの奥の王族の生活空間は、最初、この家と同じくらいの大きさの寄せ集めの材料を使った粗末な家だったよ。弟と2段ベッドで。弟が王位を継いでその後……つまり姪の子供が王になった後に建て替えられたから、現在のはボクはすんでない」
興味津々にベッドの下の引き出しを開け閉めしたり、クローゼットを覗いている。
「……えっ? この服は?」
「あ、私の部屋着にするつもりだった、長袖シャツと下は紐で結ぶ長い丈のパンツです。他は、丈夫な生地のパンツに上着とかですね。あ、これはユニセックス……性別関係ないタイプですので、着れると思います」
【靴下と下着はそっちの引き出しの中よ。一応説明しておくと、上の服はリボン紐が縫い付けられているのが、首の後ろにくるように着てちょうだい。下の服は、お尻側が布が多い方……もしくは結ぶ紐がある方は前ってことでわかると思うわ】
「あ、この服なら、このタグ……帯紐が首の後ろ側です」
琴葉が一枚を手にして説明する。
「へぇ……えっ? 軽いし縫い目綺麗だし、こんなにいい服いいの?」
「いえ、部屋着ですが……あ、その上にこの上着をどうぞ」
上下と上着、そしてインナーを選び、ベッドの上に並べる。
するとワクワクしたヴァーロは手を伸ばした。
「ちょっと着てみる!」
「部屋出てますね。また後で、続きを案内します」
部屋を出ていく。
そして数分後に姿を見せたヴァーロは、ちょっと大きめのパーカーを羽織った少年になっていた。
濃いめのグレイの無地だが着心地が良く、内側に薄手のTシャツ、パンツはパーカーと同系色の柔らかい生地のもので、前世なら外に出ても違和感はない。
「似合ってますよ!」
「本当? マントがないのは不思議だなぁ……」
薄い服が気になるのか、後ろを確認したり服をポンポンと叩いたり落ち着かない様子。
「マントがわりにポンチョはどうでしょう?」
「ポンチョ?」
部屋に戻り、クローゼットの中のものを取り出す。
ちょっとくすんだグレーと紺の混ざったような色の布……。
「これは、ポンチョって私のすんでいたところで言っていた上着の一種です。頭から被るのですが、結構肩とか腕も覆えるし、大きいものだとお尻や膝まで隠れるので防寒着にぴったりなんですよ。首元が気になる時はボタンをとめるんです」
「おぉぉ! この横のボタンは?」
「あ、これは横が邪魔な時に止めると、手を動かせるでしょう? それに、旅をする時ならあのショルダーバッグを服の上につけて、これを被ったら、盗まれませんよね」
「すごい! コトハ、天才! ありがとう! これすっごく気に入ったよ!」
着せてもらったポンチョが気に入ったらしいヴァーロは、にっこり笑う。
「コトハたちにお礼、なにしたらいいんだろう……。バッグも進化させてもらったし、こんないい部屋や服ももらったでしょ? それにお菓子も……」
「えっと……服は私の着てなかったものだし、家具も前使ってたもので……」
「……うーん、よし! ボク、コトハの護衛になる! その仕事する代わりにおやつ食べさせて! 毎月3ルード引いてね!」
「えぇぇ! こっちが得ばかりですよ!」
「大丈夫大丈夫! ボク、時間も暇もあるからね!」
一人追加された生活は思ったより居心地がいい感じだった。
案内された部屋を驚いたように見ているヴァーロに、琴葉は中に入りカーテンを開ける。
「はい。一応ベッドと、横にちょっとした棚を置いてます。こっちにもクローゼット、簡易のテーブルと椅子です。大事なものというか何かしまう時には、このベッドの下にも引き出しありますよ」
「えぇぇ! 本当にこんなにいい部屋使っていいの?」
「いい部屋? えっと逆にシンプルですみません。絨毯というにはお粗末かもです。マットレスと毛布も……」
ベッドや棚はお古で悪いなぁと恐縮する琴葉に、首を振る。
「ううん、そういう意味じゃないよ! ボク基本、もっと古いベッドと狭い部屋だけだよ? ほら一応王宮にいることになってるけど、旅をして生活してるから。昔の実家は備え付けの2段ベッドだったし」
【えっ? 昔の王族でしょ? 親は】
「あぁ、育ての両親は後で王になったけど、ほら、ボクは両親が戦乱の時代に各地転戦してる時に生まれてて、父の背中に背負われて育ったからさ~。地面にそのまま座ってとか、よくて幅広の布を枝やロープにテントみたいにかけて雨風除けにしたりして過ごしてたし、瓦礫の中で身を潜めてとか普通だったし。それに、ニーリィードの奥の王族の生活空間は、最初、この家と同じくらいの大きさの寄せ集めの材料を使った粗末な家だったよ。弟と2段ベッドで。弟が王位を継いでその後……つまり姪の子供が王になった後に建て替えられたから、現在のはボクはすんでない」
興味津々にベッドの下の引き出しを開け閉めしたり、クローゼットを覗いている。
「……えっ? この服は?」
「あ、私の部屋着にするつもりだった、長袖シャツと下は紐で結ぶ長い丈のパンツです。他は、丈夫な生地のパンツに上着とかですね。あ、これはユニセックス……性別関係ないタイプですので、着れると思います」
【靴下と下着はそっちの引き出しの中よ。一応説明しておくと、上の服はリボン紐が縫い付けられているのが、首の後ろにくるように着てちょうだい。下の服は、お尻側が布が多い方……もしくは結ぶ紐がある方は前ってことでわかると思うわ】
「あ、この服なら、このタグ……帯紐が首の後ろ側です」
琴葉が一枚を手にして説明する。
「へぇ……えっ? 軽いし縫い目綺麗だし、こんなにいい服いいの?」
「いえ、部屋着ですが……あ、その上にこの上着をどうぞ」
上下と上着、そしてインナーを選び、ベッドの上に並べる。
するとワクワクしたヴァーロは手を伸ばした。
「ちょっと着てみる!」
「部屋出てますね。また後で、続きを案内します」
部屋を出ていく。
そして数分後に姿を見せたヴァーロは、ちょっと大きめのパーカーを羽織った少年になっていた。
濃いめのグレイの無地だが着心地が良く、内側に薄手のTシャツ、パンツはパーカーと同系色の柔らかい生地のもので、前世なら外に出ても違和感はない。
「似合ってますよ!」
「本当? マントがないのは不思議だなぁ……」
薄い服が気になるのか、後ろを確認したり服をポンポンと叩いたり落ち着かない様子。
「マントがわりにポンチョはどうでしょう?」
「ポンチョ?」
部屋に戻り、クローゼットの中のものを取り出す。
ちょっとくすんだグレーと紺の混ざったような色の布……。
「これは、ポンチョって私のすんでいたところで言っていた上着の一種です。頭から被るのですが、結構肩とか腕も覆えるし、大きいものだとお尻や膝まで隠れるので防寒着にぴったりなんですよ。首元が気になる時はボタンをとめるんです」
「おぉぉ! この横のボタンは?」
「あ、これは横が邪魔な時に止めると、手を動かせるでしょう? それに、旅をする時ならあのショルダーバッグを服の上につけて、これを被ったら、盗まれませんよね」
「すごい! コトハ、天才! ありがとう! これすっごく気に入ったよ!」
着せてもらったポンチョが気に入ったらしいヴァーロは、にっこり笑う。
「コトハたちにお礼、なにしたらいいんだろう……。バッグも進化させてもらったし、こんないい部屋や服ももらったでしょ? それにお菓子も……」
「えっと……服は私の着てなかったものだし、家具も前使ってたもので……」
「……うーん、よし! ボク、コトハの護衛になる! その仕事する代わりにおやつ食べさせて! 毎月3ルード引いてね!」
「えぇぇ! こっちが得ばかりですよ!」
「大丈夫大丈夫! ボク、時間も暇もあるからね!」
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