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It's late at night ~夜は更けて
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「あたしはどうせならなくちゃいけないなら、あたしでもリュウセイでも後継者がどっちでもそれはいいのよ。 ……どうせ……夫婦になるんだから……どっちがどっちでも同じ事だし」
ユキナは少し恥ずかしそうにもじもじしながら、最後の方は消え入りそうな小さな声で言った。
「なんであたしの家が分家として東京にいたのかっていうと、そういうゴタゴタから距離を取って、こっちはあたしが成長するまでお祖母ちゃんがまとめようって言ってくれたからなの」
彼女は少し真面目な顔になって続けた。
「なるほど……」
リュウセイは唸るように言って、困った顔になった。
「まぁ、それであたしも十六になった事だし、本家筋のコハクと結婚させて血筋を一本化して血族をまとめよう、なんて話が出てきたのよ」
ユキナは唇をきゅっと噛んだ。
「正直、血族の為にはそれも仕方ないのかなって諦めかけたの。 イヤだったけどね。 ……でもそこでお祖母ちゃんが、東京にまだ血族のはぐれがいるって教えてくれたの」
「それが……俺か」
リュウセイが訊くとユキナは少し笑って頷いた。
「まぁ、あなたがまさかここまで強い能力を持ってるとは思ってなかったけどね」
「ユキナ……」
ユキナは哀しそうな顔になって項垂れた。
「ごめんね……。 あたしのせいで、こんな事に巻き込む事になっちゃって……」
そのまま彼女はリュウセイの腕を掴んで頭を下げた。
「これからきっと……大変な事とかイヤな事とかいっぱいあると思う。 本当にごめん……」
リュウセイはそれを聞いて、飄々とした態度で少し笑った。
「大丈夫だ、ユキナ」
「え?」
リュウセイはニヤリと歯を見せて笑った。
「俺はできる事なら、ユキナの側で並び立って支えてやれるようになろうって決めてた。 だからいっそ願ったり叶ったりさ」
「リュウセイ……」
ユキナが驚いたように顔を上げた。
「そんなゴタゴタした血族のこんな状況の中でさ。 ユキナはずっと一人で色んな事に耐えて戦ってきたんだなって思うからな。 だったら、むしろ俺が矢面に立ってユキナを守れるなら……俺は嬉しい」
ユキナの彼の腕を掴む力が強くなった。
「そんな事思ってたの? ……何も知らない癖にカッコつけちゃって……」
彼女はそう言って、ぽかぽかとリュウセイの腕を軽く殴った。
「ああ、ユキナと一緒に生きるって腹を括ったその時からな」
ユキナはリュウセイの腕をぽかぽかと殴り続けながらいつしかその目に涙を溜めていた。
リュウセイはユキナの柔らかい髪の毛を撫でてから、凛に向き直った。
「俺の覚悟は今行った通り、相違ありません。 ……俺はまだ知らない事が多すぎます。 大叔母様、俺はどうしたらいいのか、教えてください」
そう言ってリュウセイは凛に頭を下げた。
それを聞いて凛はまた口元に手を当てて、くすくすとおかしそうに笑った。
リュウセイは肩透かしを食らったような気になって、呆気に取られて彼女を見つめた。
「ほんに! な~んも心配する事はなかっただが! あんたら、こんな短い間にえらい仲良くなりよりましたなぁ」
凛は面白そうに言って、笑い続けた。
リュウセイとユキナは照れ臭くなって、二人とも真っ赤な顔になって横目で見つめ合った。
「ユキナ。 あんたは我儘娘っちう事で、自分の好いた男連れてきて何の文句があるんかって顔をしてればいいだけぇ」
「お祖母ちゃん!」
ユキナはさらに顔を真っ赤にした。
「それで結婚するまで押し通すくらいの覚悟でやりんさい」
そして凛はリュウセイを見た。
「リュウセイ、あんたもこっち来ていきなり私らのゴタゴタに巻き込んで申し訳ないだけど、しばらくは我慢してくれよらんね?」
「はい、それは全然構いません、大叔母様」
リュウセイは力強く応えた。
凛はまた少しおかしそうに笑った。
「ほんに、あんたはあの貴生さんの息子だわ! あんたげのお父さんも繭と結婚させてくれって言いに来た時に同じような事を言っとったけぇね」
「父が?」
リュウセイが意外そうな顔で聞くと凛は頷いた。
「毎度、毎度……本家の娘の結婚話となるとゴタゴタしてしまうけんね……。 あの子らにも苦労かけさせてしまっただが」
凛の話を聞いて、リュウセイは何か胸の中が温かくなるような気持ちになった。
幼い頃数年過ごした記憶しかない両親との接点ができて、身近に感じるような気がして少し嬉しくなったのだ。
「そらあんたは間違いなく両親揃って本家の血筋だけぇ。 貴生さんも珍しい猫属性のお人だっただし、繭も私以外で唯一の師範級の格持ちだっただけぇ。 あんたがその血を引いてるなら、私はな~んも驚く事はなかっただけんど」
凛はまたおかしそうに声を上げて笑った。
リュウセイとユキナも笑顔で顔を見合わせた。
そして凛はふと真面目な顔に戻ると静かな声で言った。
「リュウセイ、ユキナ。 リュウセイの能力の事はしばらく秘密にしとくけ。 あんたらはすっとぼけて、今まで通りユキナが後継者って事にしときんさい。 ……いや、血族をまとめるにはそのままの方がいいかもしれんけぇ。 リュウセイ、あんたはしっかりユキナを支えておくんなさい。 お頼もうします」
凛はそう言って頭を下げた。
リュウセイは驚いて慌てて手を振る。
「と、とんでもない! 大叔母様、顔をお上げください。 でも確かにポッと出の俺が後継者になるよりもユキナのままの方がいいと思います。 言われるまでもなく、俺はただ必死に彼女を支える、ただそれだけです。 ……俺はこの身に代えてもユキナだけはどんな事をしても守ってみせます!」
リュウセイがきっぱりとそう言うと、彼の隣のユキナは真っ赤な顔になって両頬を手で抑えた。
凛は、ふと両手を打ち鳴らした。
下女らしい嫋やかな女性が入り口の襖を開けて姿を見せ、すぐにそこに正座して頭を下げた。
「お呼びでございますか? ご当主様」
凛は、まさに凛とした口調で彼女に命じた。
「とりあえずリュウセイとユキナを部屋に案内してつかわさい」
女性はさらに頭を下げて立ち上がるとリュウセイとユキナを見てこちらにも頭を下げた。
「ではお部屋に案内いたします」
「ああ、お世話になります……」
リュウセイが落ち着かない感じで返事をすると凛がまたにっこりと笑った。
「今夜はあんたらが戻ってきためでたい夜だけぇ……パーティの用意をしてあるけん、それまでゆっくり休みなせ」
「パーティ? こんな夜遅くからですか?」
リュウセイが目を丸くすると凛は少し茶目っ気のある笑顔を見せた。
「何を言うとるだね。 私らは吸血鬼だけぇ。 夜の方が元気に決まっとるだが?」
「あ、あはは……そうだった」
リュウセイは情けない顔で笑いながら下女の後をついて部屋を出ていった。
「ユキナ様、リュウセイ様。 お二人は純日本式とヨーロピアンスタイルどちらのお部屋がよろしいですか?」
下女にそう訊ねられてリュウセイは目を瞬かせた。
「え? 和室か洋室かって事なのかな?」
するとユキナがくすくすと笑った。
「まぁ、間違ってはいないけれど……。 そうね、ヨーロピアンの部屋を二つ用意して頂戴」
ユキナがそう答えると、下女は頭を下げた。
「わかりました。 ではこちらへ」
中央の凛が居た広い和室から長い廊下を歩いて、ドアが並ぶホテルのような様相の一角へと二人は案内された。
「リュウセイ様はこちらの向かって左のお部屋を、ユキナ様は右側のお部屋をお使いください」
「ああ、ありがとう」
リュウセイが礼を述べると下女は頭を下げてしずしずと廊下を歩いて去っていった。
「じゃあ、また後でね! たぶん服が用意してあるからそれに着替えてね」
ユキナがウインクしながら隣の部屋のドアを開けると、リュウセイは笑顔を浮かべて手を上げた。
そして彼が部屋のドアを開けて、明かりを点けそのまま部屋を見回すと、中央に何やら大きな西洋風の棺桶が置いてあった。
「なんじゃこりゃぁ!! ……なるほど、ヨーロピアンってのはこういう事かよ」
リュウセイはため息をついて更に部屋を見回すと、壁際に設えられた棚にいくつかの酒瓶があるのが目に入った。
「ほう……気が利いてるな。 さすが名家って感じ……」
彼は棚からウイスキーのボトルとグラスを取り出すと、冷蔵庫をあけて氷をグラスのふたつみっつ放り込んでウイスキーを注いだ。
更に部屋の中に目を凝らすと、古めかしい大きなステレオがあるのが目に入ったので、電源を入れ、FMの周波数を合わせてみる。
どうやらジャズの番組をやっているらしく、ビル・エヴァンスのピアノの調べが流れてきた。
リュウセイはソファに座って、ウイスキーのグラスを傾けながらピアノの音に耳を傾け、そしてテーブルに灰皿があるのを見つけると胸ポケットから煙草を取り出して火を点けた。
彼は立ち上がってグラスと灰皿を持って窓際に行くと窓を開けて、その張り出した出窓の縁に腰かけて煙をくゆらせた。
ユキナは少し恥ずかしそうにもじもじしながら、最後の方は消え入りそうな小さな声で言った。
「なんであたしの家が分家として東京にいたのかっていうと、そういうゴタゴタから距離を取って、こっちはあたしが成長するまでお祖母ちゃんがまとめようって言ってくれたからなの」
彼女は少し真面目な顔になって続けた。
「なるほど……」
リュウセイは唸るように言って、困った顔になった。
「まぁ、それであたしも十六になった事だし、本家筋のコハクと結婚させて血筋を一本化して血族をまとめよう、なんて話が出てきたのよ」
ユキナは唇をきゅっと噛んだ。
「正直、血族の為にはそれも仕方ないのかなって諦めかけたの。 イヤだったけどね。 ……でもそこでお祖母ちゃんが、東京にまだ血族のはぐれがいるって教えてくれたの」
「それが……俺か」
リュウセイが訊くとユキナは少し笑って頷いた。
「まぁ、あなたがまさかここまで強い能力を持ってるとは思ってなかったけどね」
「ユキナ……」
ユキナは哀しそうな顔になって項垂れた。
「ごめんね……。 あたしのせいで、こんな事に巻き込む事になっちゃって……」
そのまま彼女はリュウセイの腕を掴んで頭を下げた。
「これからきっと……大変な事とかイヤな事とかいっぱいあると思う。 本当にごめん……」
リュウセイはそれを聞いて、飄々とした態度で少し笑った。
「大丈夫だ、ユキナ」
「え?」
リュウセイはニヤリと歯を見せて笑った。
「俺はできる事なら、ユキナの側で並び立って支えてやれるようになろうって決めてた。 だからいっそ願ったり叶ったりさ」
「リュウセイ……」
ユキナが驚いたように顔を上げた。
「そんなゴタゴタした血族のこんな状況の中でさ。 ユキナはずっと一人で色んな事に耐えて戦ってきたんだなって思うからな。 だったら、むしろ俺が矢面に立ってユキナを守れるなら……俺は嬉しい」
ユキナの彼の腕を掴む力が強くなった。
「そんな事思ってたの? ……何も知らない癖にカッコつけちゃって……」
彼女はそう言って、ぽかぽかとリュウセイの腕を軽く殴った。
「ああ、ユキナと一緒に生きるって腹を括ったその時からな」
ユキナはリュウセイの腕をぽかぽかと殴り続けながらいつしかその目に涙を溜めていた。
リュウセイはユキナの柔らかい髪の毛を撫でてから、凛に向き直った。
「俺の覚悟は今行った通り、相違ありません。 ……俺はまだ知らない事が多すぎます。 大叔母様、俺はどうしたらいいのか、教えてください」
そう言ってリュウセイは凛に頭を下げた。
それを聞いて凛はまた口元に手を当てて、くすくすとおかしそうに笑った。
リュウセイは肩透かしを食らったような気になって、呆気に取られて彼女を見つめた。
「ほんに! な~んも心配する事はなかっただが! あんたら、こんな短い間にえらい仲良くなりよりましたなぁ」
凛は面白そうに言って、笑い続けた。
リュウセイとユキナは照れ臭くなって、二人とも真っ赤な顔になって横目で見つめ合った。
「ユキナ。 あんたは我儘娘っちう事で、自分の好いた男連れてきて何の文句があるんかって顔をしてればいいだけぇ」
「お祖母ちゃん!」
ユキナはさらに顔を真っ赤にした。
「それで結婚するまで押し通すくらいの覚悟でやりんさい」
そして凛はリュウセイを見た。
「リュウセイ、あんたもこっち来ていきなり私らのゴタゴタに巻き込んで申し訳ないだけど、しばらくは我慢してくれよらんね?」
「はい、それは全然構いません、大叔母様」
リュウセイは力強く応えた。
凛はまた少しおかしそうに笑った。
「ほんに、あんたはあの貴生さんの息子だわ! あんたげのお父さんも繭と結婚させてくれって言いに来た時に同じような事を言っとったけぇね」
「父が?」
リュウセイが意外そうな顔で聞くと凛は頷いた。
「毎度、毎度……本家の娘の結婚話となるとゴタゴタしてしまうけんね……。 あの子らにも苦労かけさせてしまっただが」
凛の話を聞いて、リュウセイは何か胸の中が温かくなるような気持ちになった。
幼い頃数年過ごした記憶しかない両親との接点ができて、身近に感じるような気がして少し嬉しくなったのだ。
「そらあんたは間違いなく両親揃って本家の血筋だけぇ。 貴生さんも珍しい猫属性のお人だっただし、繭も私以外で唯一の師範級の格持ちだっただけぇ。 あんたがその血を引いてるなら、私はな~んも驚く事はなかっただけんど」
凛はまたおかしそうに声を上げて笑った。
リュウセイとユキナも笑顔で顔を見合わせた。
そして凛はふと真面目な顔に戻ると静かな声で言った。
「リュウセイ、ユキナ。 リュウセイの能力の事はしばらく秘密にしとくけ。 あんたらはすっとぼけて、今まで通りユキナが後継者って事にしときんさい。 ……いや、血族をまとめるにはそのままの方がいいかもしれんけぇ。 リュウセイ、あんたはしっかりユキナを支えておくんなさい。 お頼もうします」
凛はそう言って頭を下げた。
リュウセイは驚いて慌てて手を振る。
「と、とんでもない! 大叔母様、顔をお上げください。 でも確かにポッと出の俺が後継者になるよりもユキナのままの方がいいと思います。 言われるまでもなく、俺はただ必死に彼女を支える、ただそれだけです。 ……俺はこの身に代えてもユキナだけはどんな事をしても守ってみせます!」
リュウセイがきっぱりとそう言うと、彼の隣のユキナは真っ赤な顔になって両頬を手で抑えた。
凛は、ふと両手を打ち鳴らした。
下女らしい嫋やかな女性が入り口の襖を開けて姿を見せ、すぐにそこに正座して頭を下げた。
「お呼びでございますか? ご当主様」
凛は、まさに凛とした口調で彼女に命じた。
「とりあえずリュウセイとユキナを部屋に案内してつかわさい」
女性はさらに頭を下げて立ち上がるとリュウセイとユキナを見てこちらにも頭を下げた。
「ではお部屋に案内いたします」
「ああ、お世話になります……」
リュウセイが落ち着かない感じで返事をすると凛がまたにっこりと笑った。
「今夜はあんたらが戻ってきためでたい夜だけぇ……パーティの用意をしてあるけん、それまでゆっくり休みなせ」
「パーティ? こんな夜遅くからですか?」
リュウセイが目を丸くすると凛は少し茶目っ気のある笑顔を見せた。
「何を言うとるだね。 私らは吸血鬼だけぇ。 夜の方が元気に決まっとるだが?」
「あ、あはは……そうだった」
リュウセイは情けない顔で笑いながら下女の後をついて部屋を出ていった。
「ユキナ様、リュウセイ様。 お二人は純日本式とヨーロピアンスタイルどちらのお部屋がよろしいですか?」
下女にそう訊ねられてリュウセイは目を瞬かせた。
「え? 和室か洋室かって事なのかな?」
するとユキナがくすくすと笑った。
「まぁ、間違ってはいないけれど……。 そうね、ヨーロピアンの部屋を二つ用意して頂戴」
ユキナがそう答えると、下女は頭を下げた。
「わかりました。 ではこちらへ」
中央の凛が居た広い和室から長い廊下を歩いて、ドアが並ぶホテルのような様相の一角へと二人は案内された。
「リュウセイ様はこちらの向かって左のお部屋を、ユキナ様は右側のお部屋をお使いください」
「ああ、ありがとう」
リュウセイが礼を述べると下女は頭を下げてしずしずと廊下を歩いて去っていった。
「じゃあ、また後でね! たぶん服が用意してあるからそれに着替えてね」
ユキナがウインクしながら隣の部屋のドアを開けると、リュウセイは笑顔を浮かべて手を上げた。
そして彼が部屋のドアを開けて、明かりを点けそのまま部屋を見回すと、中央に何やら大きな西洋風の棺桶が置いてあった。
「なんじゃこりゃぁ!! ……なるほど、ヨーロピアンってのはこういう事かよ」
リュウセイはため息をついて更に部屋を見回すと、壁際に設えられた棚にいくつかの酒瓶があるのが目に入った。
「ほう……気が利いてるな。 さすが名家って感じ……」
彼は棚からウイスキーのボトルとグラスを取り出すと、冷蔵庫をあけて氷をグラスのふたつみっつ放り込んでウイスキーを注いだ。
更に部屋の中に目を凝らすと、古めかしい大きなステレオがあるのが目に入ったので、電源を入れ、FMの周波数を合わせてみる。
どうやらジャズの番組をやっているらしく、ビル・エヴァンスのピアノの調べが流れてきた。
リュウセイはソファに座って、ウイスキーのグラスを傾けながらピアノの音に耳を傾け、そしてテーブルに灰皿があるのを見つけると胸ポケットから煙草を取り出して火を点けた。
彼は立ち上がってグラスと灰皿を持って窓際に行くと窓を開けて、その張り出した出窓の縁に腰かけて煙をくゆらせた。
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