失恋旅館

沢木翔

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失恋旅館

朝風呂

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 部屋の明るさで目が覚めた。体が怠いのは、昨日三回もしたせいだろう。美佐子とした後、ティッシュで拭ったところまでは覚えている。その後、眠ってしまったようだ。パンツは履いていなかった。そんなことはお構いなし、というように肉棒は元気だった。時計を見ると6時になるところだった。頭の中で計算をする。温泉にゆっくり浸かって、その後朝ごはんを食べよう。その後はゆっくり過ごそうか。もしかしたら三人の中の誰かをまた抱けるかもしれない。連絡先を聞いておくべきだったと悔やんだが、後の祭りだった。
 風呂には先客がいた。シャトルバスにいた老夫婦の旦那の方だった。僕は会釈をして、距離を取って湯に浸かった。
「おはようございます」
旦那の方から話しかけてきた。僕も挨拶を返す。
「お若い方にしては、朝早いですね」
「そうですね。目が覚めてしまったもので」
「この旅館へは初めて、ですか?」
「ええ、今回が初めてです」
「楽しんでらっしゃいますか?」
楽しむという言葉で、僕は思わず昨日の三回戦のことを思い出した。小柄な南との情熱的なセックス、スタイルの良い志乃との愛情溢れるセックス、柔らかい体の美佐子との楽しむセックス。どれも魅力的だった。だが、ふと我に帰った。旦那は温泉の話をしているはずだ。
「ええ、温泉も料理も、どちらも最高です。体が休まりそうですよ」
旦那は満足そうに頷き、先に上がっていった。
「一人の時間を邪魔したね。ゆっくりどうぞ」
「いえいえ、とんでもありません。では、また」
旦那は60歳を超えたところだと言っていたが、意外に若々しい体軀をしていた。
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