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2人の未来 (最終話)

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数年後

私たちは空港にいる。
今から海外へ飛び立とうとしている。
来季から海外のプロのバスケットチームでプレーすることになったからだ。
もちろん美咲も一緒に海外へ行く。

大学卒業後日本のプロバスケットチームへ所属しプレーをしていたが、その数年後海外でプレーできる事が決まったのだ。

美咲は高校卒業後地元の大学へ進学して外国語を学んだ。
なぜ、私の大学の近くを選んでくれないのかと少し喧嘩にはなったが、こっちの大学の方が外国語の勉強になると言って近くには来てくれなかった。

きっと美咲は、私がゆくゆくは海外でやれればいいなと軽く言っていたのを覚えていたのだろう。
私のサポートができるようにちゃんと勉強したいと言ってくれたのだから私もその気持ちに応えなければと精一杯努力をした。

海外でプレーをするなんて、大変な事がたくさんあると思うけれど、美咲がいてくれる。
それだけで大丈夫だと思える。

「あんた忘れ物ないのー?」
とお母さんが新学期の始まりの時のように呑気に言う。

「だいじょーぶだよ!なんかあったら送ってよ!」

「えー、やだよ送料バカ高いしー」

私たちがそんな呑気な会話をする中、
隣の美咲家は…

「大丈夫?パスポートもった?時間は大丈夫?ちゃんと席取れてるの?向こう着いたらまずは…」

「お母さん。心配しすぎだよ。そんな今生のお別れでもないんだから…。」

「そ、それもそうね。心配しすぎね。葵ちゃんも一緒に居てくれるし!」

「え、ごめん!うちの子はマジでダメだよ!」

「え!そんなことなんわよ!葵ちゃんはしっかりしてて!この間のテレビでもすごいしっかりしたコメントしてて、話題になってたじゃない!」

「あー、すみません。それ、美咲が考えました。」

「え!!そうなの!!あら!やだ!あれ、ウチの子が考えたの!」

そんな事を言ってる間に時間が迫る。

「そろそろ時間だからいくね。」
私が呟くとお母さんが

「おーい、あんた可愛い娘2人になんか言わなくて言いわけ?」
と後ろを向いて呆れながら話す。

「あ、ああ。元気でな。気をつけていけ。」

お父さんが必死に言葉を搾り出す。
目も合わせない。

「あははっ。ありがとね。お父さん。」

「たく。ほんと不器用な人だね。」

「じゃあね、美咲も葵ちゃんも気をつけていってらっしゃい。」

「美咲ちゃん葵のことよろしくね!」

そうやってお別れの言葉を言いながら飛行機に乗った。

「いやぁ、それにしてもお父さんカッコ悪かったなあ」
美咲が呟いた。

「まあ、気まずくなる気持ちはわかるけどさあ。」
と私が返す。


「でも、私たちが付き合ってること打ち明けた日のお父さんそんなにびっくりしてなかったね。」

そして、少し前の出来事を美咲が思い出したかのように話し出す。


「てゆうか、あの親父ちょっと嬉しそうだったの腹立つわ。」

「あはは!確かにね!」

「美咲のお母さんはその場でびっくりして倒れ込んでたけどね」

「ほんとに、ウチの母親はどうしていつも大袈裟なんだろ。」

「ほんとにねえ、美咲と一緒だねえ」

「え!私そんな事ないよ!」

「あはは!そんなことあるじゃん!」

前まで美咲はお母さんと似てると言われるととても嫌そうだったが、今はそんな事はない。
なんだかんだあって美咲の家族とも仲良くやってる。

元々ウチのお母さんに憧れがあった美咲のお母さんは最初はぎこちなかったものの、今はすごく仲良しだ。
むしろ、ウチのお母さんをとてもリスペクトしすぎていて、それはそれで問題がありそうだ。

「んー、、じゃあ、ちょっと、寝るから着いたら起こしてー!」

「はいはい。」

「おやすみ…。」 

「おやすみ!」

………………。





「おはよう葵。朝だよ!」

「んー。眠い。もうちょい。」

「だめでしょ!今日は試合の日なんだから!」

「えー、そうだっけえ?」

「もー。毎朝同じこと言ってるよ!ほら!準備して!朝ごはん、食べて!」

いつもの朝だ。
海外へ来てからもう1年ぐらい経過した頃だろうか。
なんだか、懐かしい夢を見た気がする。


「あのさあ。美咲。」

「ん?」

「ありがとね。」

「あはは。なに?いきなり!いつものことじゃん。」

「そうだねえ。なんだろ。昔の夢でも見たのかなあ。」

「なに?良い夢?悪い夢?」

「覚えてないけど良い夢だよ。」

「あはっ。なにそれ。」

「美咲が出てきたら全部良い夢だから!」

「そっかそっか。」

美咲が優しく私を抱き寄せる。

「ありがとね。葵。大好きだよ。」

「うん。私も。大好き。」

「よし!じゃあ早く!準備しよー!!」

「うっ…。はあい。」

こんな会話を毎日しながら続いていく。
この先何があるかわからないけど、美咲と一緒なら必ず大丈夫。

ありがとう。美咲。
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