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最後のインターハイ② (葵ver)
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最後のインターハイ。
私たちは順調に勝ち進んで決勝戦まで来た。
全国規模の大会で決勝まで行くのは数十年ぶりだとかで監督の機嫌がすこぶる良い。
「葵先輩!頑張ってください!」
試合前に美咲が話しかけてくる。
こんな感じで後輩ぶる美咲ももうすぐ見納めかと思うと少し寂しくなる。
そんな事を考えるくらいに心に余裕があった。
「うん!ありがと!頑張るね。」
「はい!」
応援席には私のお母さんが見えた。
美咲のお母さんもいる。
先程2人で楽しそうに会話をしていたから今は良い関係性を築けているのだと思う。
後から聞いた話だけど私のお母さんはイブの日、私たちが帰った後美咲のお母さんと話をしたらしい。
次の日美咲のお母さんが怒らずに向き合ってくれたのはそのことがあったからかと思うと本当に頭が上がらない。
集合の合図がかかった。
みんなで円陣を組んでコートに入る。
試合開始のブザーが鳴り響いた。
体が軽い。何をしても上手くいく。
そんな風に感じる。
何も怖くない。
バスケが楽しい。
いつからだろうそんな風に思えるようになったのは。
美咲と付き合うようになって色々わかったことがある。
その一つがバスケが好きだと言う事だ。
今まではやらなければ、勝たなければ、上手くならないといけないと思っていた。
今は違う。
しんどいことも多いけどすごく楽しいと思う。
それから勉強はすごく嫌いだとわかった。
これもすることが当たり前でやらなくちゃって思っていたからわからなかったけど、今は苦痛でしかない。
そんな私を見て美咲が「私がその分頑張ります!」とか言ってめちゃくちゃ頑張っていた。なぜかすごく楽しそうで私はそれが信じられなかった。
こんな嫌いなものを無理してでも頑張ってた昔の自分は普通にやばい。
それで色んな人傷つけたんだからホントに最悪のクズでバカだと思う。
試合が着々と進んでいく。
取ったり取られたりの繰り返しであまり点差が開かない。
苦しい試合展開が繰り広げられる。
それでもなぜか焦る気持ちはない。
今日はみんなの表情がよく見える。
時間がいつもよりゆっくり流れるようなそんな感覚がする。
試合終了のブザーがなった。
2点差で私達の勝利が決定した。
その瞬間悲鳴のような歓声が一気に聞こえてきた。
チームのみんなが一斉に抱きついてきてしばらくその状態だった。
その後、表彰式を終えてキャプテンを引き継いで帰ることになる。
香澄はやっぱり今年も号泣していた。
副キャプはしっかり者のまどかちゃんがすることになった。
それともう1人1年生があいさつをして解散した。
私はお母さんが来てきたのでそのまま車で家まで帰る。
「おっつかれさまー!!!すごいじゃーーん!」
すごいテンションで話しかけてくる。
でも、私は疲れすぎてそれどころではなかった。
「うん…。」
「なーに?もっと喜びなよー!」
「喜んでるよ。疲れただけ。」
「あっはは!ホントお疲れ様ー!もー寝ていーよ!」
「うん。そーする。」
「お母さんありがとね。」
「なに?改まって。変なの。」
「うるさいな。素直に感謝されときなよ。」
「あはは!ありがとね!さっさと寝なさい!」
「うん。おやすみ。」
そのまますぐに眠りについた。
家に着くまで一度も目を覚さなかった。
私たちは順調に勝ち進んで決勝戦まで来た。
全国規模の大会で決勝まで行くのは数十年ぶりだとかで監督の機嫌がすこぶる良い。
「葵先輩!頑張ってください!」
試合前に美咲が話しかけてくる。
こんな感じで後輩ぶる美咲ももうすぐ見納めかと思うと少し寂しくなる。
そんな事を考えるくらいに心に余裕があった。
「うん!ありがと!頑張るね。」
「はい!」
応援席には私のお母さんが見えた。
美咲のお母さんもいる。
先程2人で楽しそうに会話をしていたから今は良い関係性を築けているのだと思う。
後から聞いた話だけど私のお母さんはイブの日、私たちが帰った後美咲のお母さんと話をしたらしい。
次の日美咲のお母さんが怒らずに向き合ってくれたのはそのことがあったからかと思うと本当に頭が上がらない。
集合の合図がかかった。
みんなで円陣を組んでコートに入る。
試合開始のブザーが鳴り響いた。
体が軽い。何をしても上手くいく。
そんな風に感じる。
何も怖くない。
バスケが楽しい。
いつからだろうそんな風に思えるようになったのは。
美咲と付き合うようになって色々わかったことがある。
その一つがバスケが好きだと言う事だ。
今まではやらなければ、勝たなければ、上手くならないといけないと思っていた。
今は違う。
しんどいことも多いけどすごく楽しいと思う。
それから勉強はすごく嫌いだとわかった。
これもすることが当たり前でやらなくちゃって思っていたからわからなかったけど、今は苦痛でしかない。
そんな私を見て美咲が「私がその分頑張ります!」とか言ってめちゃくちゃ頑張っていた。なぜかすごく楽しそうで私はそれが信じられなかった。
こんな嫌いなものを無理してでも頑張ってた昔の自分は普通にやばい。
それで色んな人傷つけたんだからホントに最悪のクズでバカだと思う。
試合が着々と進んでいく。
取ったり取られたりの繰り返しであまり点差が開かない。
苦しい試合展開が繰り広げられる。
それでもなぜか焦る気持ちはない。
今日はみんなの表情がよく見える。
時間がいつもよりゆっくり流れるようなそんな感覚がする。
試合終了のブザーがなった。
2点差で私達の勝利が決定した。
その瞬間悲鳴のような歓声が一気に聞こえてきた。
チームのみんなが一斉に抱きついてきてしばらくその状態だった。
その後、表彰式を終えてキャプテンを引き継いで帰ることになる。
香澄はやっぱり今年も号泣していた。
副キャプはしっかり者のまどかちゃんがすることになった。
それともう1人1年生があいさつをして解散した。
私はお母さんが来てきたのでそのまま車で家まで帰る。
「おっつかれさまー!!!すごいじゃーーん!」
すごいテンションで話しかけてくる。
でも、私は疲れすぎてそれどころではなかった。
「うん…。」
「なーに?もっと喜びなよー!」
「喜んでるよ。疲れただけ。」
「あっはは!ホントお疲れ様ー!もー寝ていーよ!」
「うん。そーする。」
「お母さんありがとね。」
「なに?改まって。変なの。」
「うるさいな。素直に感謝されときなよ。」
「あはは!ありがとね!さっさと寝なさい!」
「うん。おやすみ。」
そのまますぐに眠りについた。
家に着くまで一度も目を覚さなかった。
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