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和解② (美咲ver)
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家に着いた。
緊張していた私の手を先輩がそっと握って微笑んでくれる。
「ありがとうございます。入りますね…。」
「うん!」
少し深く息を吐いて玄関の扉を開ける。
それを聞いて母が出迎える。
「ただいま…。」
目は見れない。
「おかえり。葵ちゃんも来てくれてありがとう。」
「いえ、お邪魔します。」
そして、母にリビングへ案内される。
母と向かい合って座る。
すごく重い空気が流れる。
「えっと、ご飯は食べた?お腹空いてない?何か作った方がいい?」
いつものしっかりした母ではない。
なんだかすごくぎこちない。
「お母さん…?ご飯は大丈夫だよ。」
「そ、そう?じゃあ…お菓子でも…。」
そう言って手作りのクッキーと飲み物が出される。
もっと怒っている母を想像していたから少しびっくりした。
「わ、これ手作りですか?」
葵先輩が昨日のことは無かったかのように普通に話し始める。
「そ、そうなの。昨日作りすぎちゃって…。」
「そうなんですか!美咲から聞いてたんですけどお料理上手なんですね!すっごく美味しいです!」
「そんな大げさな…、普通よ普通…。」
そんな風に普通に会話をしている2人を見て私は段々モヤモヤしてくる。
昨日の母との喧嘩かフラッシュバックして沸々と怒りが沸いてきた。
「お母さん。早く先輩に謝って。」
私はたまらず口走ってしまう。
「こらっ」と先輩に頭を小突かれる。
「だって…。」
ふと母の方を見ると今にも壊れてしまいそうな顔でコチラを見ている。
今日初めて母の顔を見た。
こんな顔の母は初めて見た。
先輩はちゃんと見ていたのだろう。
ちゃんとみて私の母と向き合おうとしてくれていたんだ。
「葵ちゃん。昨日はひどい事言ってしまってごめんなさい。」
母が弱々しい声で話し出す。
「私の方こそ遅くまで美咲のこと連れ回してしまってすみませんでした。」
「葵ちゃんは悪くないわ。全部私が悪いの。あんなのただの八つ当たり。本当にごめんなさい。自分が情けない…。」
先輩と目が合う。
私もちゃんとしなくてはいけない。
「お母さん。昨日私もひどいこと言ってごめん。でも、お母さんにちゃんと先輩のことわかって欲しい。」
「うん…。」
「お母さんが先輩のせいで成績落ちたって言ったけど私が1番とれたの先輩のおかげなんだよ。それからね落ち込んだときも慰めてもらって……。」
お母さんにわかって欲しくて先輩のことをたくさん話した。
先輩は少し恥ずかしそうにしてたけど何も言ってこなかった。
お母さんもうんうんと相槌を打ちながらじっと聞いていた。
「葵ちゃんありがとう美咲と仲良くしてくれて。それなのにひどい事してしまってごめんね。美咲のこんな楽しそうな顔しばらく見てないな。ホント母親失格ね。」
「そんなことないですよ。美咲お母さんの話とても楽しそうにしてました。だよね?美咲。」
葵先輩が優しい顔でこちらを見る。
「そうかもです…。」
「美咲。ごめんね。ずっとしんどい想いさせて。」
「ずっとじゃないよ。」
「そっか。ごめん。ありがと。」
それから3人でたくさん話をした。
お母さんも先輩もすごく楽しそうでそれがすごく嬉しかった。
「葵ちゃんご飯食べていく?あ!でもクリスマスだし家族で食べた方がいいか!」
「いや、うちの家族のことは心配無いんですけど…。お父さん帰って来ますよね?」
「あー、そうねー。」
「流石にお父さんと会うの気まずいんで帰ります。」
と笑いながら先輩が言った。
「あの人葵ちゃんにこんな事言われたなんて知ったら泣いちゃうんじゃないかしら。」
「お父さんがですか?」
「うん。あの人子供のこと大好きだから…。」
「え!意外!お父さんそんな感じなんだー。」
「うん、酔っ払うと結構そんな感じなの!」
そんな会話をしているとお父さんからもうすぐ帰ると連絡が入った。
「葵ちゃん今日はわざわざ来てくれてありがとう。」
「いえ、こちらこそすごく楽しかったです!」
「お母さん、先輩送ってくるー!」
「はーい。気をつけて。」
と先輩を駅まで送る。
「はぁーーー。緊張したー!」
先輩が家から出てすぐに話す。
「え!そうだったんですか!?全然そんな風に見えませんでした。」
「するでしょ!そりゃ。美咲のお母さんだもん。一生近付くなとか言われたら生きてけないよ私。」
「そ、そんなこと言われたら私殴ります!」
「あはは!みさきって案外凶暴なんだねー。」
「あれは、もう忘れて下さい……。」
「それはやだー。」
と言って先輩が抱きしめてくる。
「ありがとう、美咲。」
「そんな…。私の方こそ。」
「ずっとそばにいて。」
「はい。ずっとそばにいます。」
緊張していた私の手を先輩がそっと握って微笑んでくれる。
「ありがとうございます。入りますね…。」
「うん!」
少し深く息を吐いて玄関の扉を開ける。
それを聞いて母が出迎える。
「ただいま…。」
目は見れない。
「おかえり。葵ちゃんも来てくれてありがとう。」
「いえ、お邪魔します。」
そして、母にリビングへ案内される。
母と向かい合って座る。
すごく重い空気が流れる。
「えっと、ご飯は食べた?お腹空いてない?何か作った方がいい?」
いつものしっかりした母ではない。
なんだかすごくぎこちない。
「お母さん…?ご飯は大丈夫だよ。」
「そ、そう?じゃあ…お菓子でも…。」
そう言って手作りのクッキーと飲み物が出される。
もっと怒っている母を想像していたから少しびっくりした。
「わ、これ手作りですか?」
葵先輩が昨日のことは無かったかのように普通に話し始める。
「そ、そうなの。昨日作りすぎちゃって…。」
「そうなんですか!美咲から聞いてたんですけどお料理上手なんですね!すっごく美味しいです!」
「そんな大げさな…、普通よ普通…。」
そんな風に普通に会話をしている2人を見て私は段々モヤモヤしてくる。
昨日の母との喧嘩かフラッシュバックして沸々と怒りが沸いてきた。
「お母さん。早く先輩に謝って。」
私はたまらず口走ってしまう。
「こらっ」と先輩に頭を小突かれる。
「だって…。」
ふと母の方を見ると今にも壊れてしまいそうな顔でコチラを見ている。
今日初めて母の顔を見た。
こんな顔の母は初めて見た。
先輩はちゃんと見ていたのだろう。
ちゃんとみて私の母と向き合おうとしてくれていたんだ。
「葵ちゃん。昨日はひどい事言ってしまってごめんなさい。」
母が弱々しい声で話し出す。
「私の方こそ遅くまで美咲のこと連れ回してしまってすみませんでした。」
「葵ちゃんは悪くないわ。全部私が悪いの。あんなのただの八つ当たり。本当にごめんなさい。自分が情けない…。」
先輩と目が合う。
私もちゃんとしなくてはいけない。
「お母さん。昨日私もひどいこと言ってごめん。でも、お母さんにちゃんと先輩のことわかって欲しい。」
「うん…。」
「お母さんが先輩のせいで成績落ちたって言ったけど私が1番とれたの先輩のおかげなんだよ。それからね落ち込んだときも慰めてもらって……。」
お母さんにわかって欲しくて先輩のことをたくさん話した。
先輩は少し恥ずかしそうにしてたけど何も言ってこなかった。
お母さんもうんうんと相槌を打ちながらじっと聞いていた。
「葵ちゃんありがとう美咲と仲良くしてくれて。それなのにひどい事してしまってごめんね。美咲のこんな楽しそうな顔しばらく見てないな。ホント母親失格ね。」
「そんなことないですよ。美咲お母さんの話とても楽しそうにしてました。だよね?美咲。」
葵先輩が優しい顔でこちらを見る。
「そうかもです…。」
「美咲。ごめんね。ずっとしんどい想いさせて。」
「ずっとじゃないよ。」
「そっか。ごめん。ありがと。」
それから3人でたくさん話をした。
お母さんも先輩もすごく楽しそうでそれがすごく嬉しかった。
「葵ちゃんご飯食べていく?あ!でもクリスマスだし家族で食べた方がいいか!」
「いや、うちの家族のことは心配無いんですけど…。お父さん帰って来ますよね?」
「あー、そうねー。」
「流石にお父さんと会うの気まずいんで帰ります。」
と笑いながら先輩が言った。
「あの人葵ちゃんにこんな事言われたなんて知ったら泣いちゃうんじゃないかしら。」
「お父さんがですか?」
「うん。あの人子供のこと大好きだから…。」
「え!意外!お父さんそんな感じなんだー。」
「うん、酔っ払うと結構そんな感じなの!」
そんな会話をしているとお父さんからもうすぐ帰ると連絡が入った。
「葵ちゃん今日はわざわざ来てくれてありがとう。」
「いえ、こちらこそすごく楽しかったです!」
「お母さん、先輩送ってくるー!」
「はーい。気をつけて。」
と先輩を駅まで送る。
「はぁーーー。緊張したー!」
先輩が家から出てすぐに話す。
「え!そうだったんですか!?全然そんな風に見えませんでした。」
「するでしょ!そりゃ。美咲のお母さんだもん。一生近付くなとか言われたら生きてけないよ私。」
「そ、そんなこと言われたら私殴ります!」
「あはは!みさきって案外凶暴なんだねー。」
「あれは、もう忘れて下さい……。」
「それはやだー。」
と言って先輩が抱きしめてくる。
「ありがとう、美咲。」
「そんな…。私の方こそ。」
「ずっとそばにいて。」
「はい。ずっとそばにいます。」
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