先輩は私のお姉ちゃんだけどそれを先輩は知らない

和解① (美咲ver)

朝、目を覚ますと葵先輩がキレイな顔で眠っていた。
それがなんだかとても幸せな気持ちになった。

「んー、おはよ。」

先輩が私につられて目を覚ました。

「おはようございます。」

リビングに行くともう葵先輩のお母さんと葵の弟の翼くんは出かけたようだった。
2人分の朝ごはんが置いてあった。

スマホを見ると母から連絡が来ていた。

今日、葵先輩の都合がつくなら一緒に家に呼んで欲しいとのことだった。

「あの、これどうしますか？」

「会わせてくれる？」

「でも、先輩が嫌ならもう少し時間を置いてからでも…。」

「大丈夫だから。」

そう言って優しく私の頭を触る。
こういう時の先輩は本当に素敵だ。
何があっても大丈夫だと思える。

「ありがとうございます。」

そして、私の家に向かった。

「そっかー。今日クリスマスかー。クリスマス美咲の家はどんな感じなの？」

「私は毎年、母と必ずクリスマスケーキを手作りするんです。」

「え！すご！私料理とか全然ダメなんだよねー。」

母との楽しかった思い出が蘇る。
母はすごく厳しい人だったけどその分私にたくさん愛情を注いでくれた。
それがわかるから母に逆らえなかった。

「そうなんですか？じゃあ、今度何か作らせてください！」

「えー、今度と言わずに一生作ってよー。」

そう言って先輩が後ろから抱きついてくる。

「いいんですか？一生私のご飯で。」

「うん。美咲がいい。」

先輩と目があった。
少し恥ずかしそうな顔をしていた。
きっと私の顔はもっとひどい。

緊張して会話どころじゃ無かったのにいつの間にか心が軽くなっていた。
改めて先輩の大きさに気付く。

正直母に何を話せば良いのかまだわからない。
それでも先輩がいてくれるならきっと大丈夫だ。