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決断① (葵ver)
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全部終わった。
私が終わらした。
たくさんの人を傷つけた。
向き合いたい人がいる。好きな子がいる。
それは本当だ。
だけど、あれだけの人を傷つけておいて私だけ幸せになるなんて虫の良い話があるだろうか。
そう思うと私はなかなか美咲に話せないでいた。
あの気まずいお別れをしてからずっと話せないでいる。
「あおいー!」
休み時間に考え事をして廊下の窓の外を眺めていたら京子先輩に話しかけられた。
「え!あ!お久しぶりです!」
本当にびっくりしたあの感じで終わったのに普通に話しかけてくる先輩に。
「久しぶりって私が葵にフラれて以来だからそんなに経ってないよー!」
「あ、その、すみません。」
「あっはは!ごめんごめん!どしたの?難しい顔して。」
「いやー…。」
「香ちゃんとはちゃんと終わりにしたっぽいね。」
「はい…。」
「そっかぁー。はぁー。なーんだー。」
「なんですか?」
「私さ、葵は香ちゃんのこと好きになると思ってたんだよね。」
「それは、多分好きでした。」
「うわ、やっぱり?めちゃくちゃかわいー、かわいーってうるさかったもんね。」
「え、そんなにですか…。」
「そんなにだよー!私のことは全然言ってくれないのにさー。」
「そ、そんなことないです!すごくかわいいって思ってました!」
「えへへ。どーも。」
先輩はそうやって可愛らしく笑った。
「香は優しいんです。すごく優しいから私と一緒にどこまでもダメになってくれる。だからダメなんです。香は私といたら。」
「うん。そっか。」
「だから…。」
「だから、みさきちゃんだったんだね!」
「はい…。」
だから美咲なんだ。
なのに、私はその人を傷付けたまま何もできないでいる。
「私達のこと気にしてる?」
「……。」
「あはは。気にされたら私達何にも報われないじゃん。ただのフラれ損だよー。」
「でも…。」
「大丈夫。だからちゃんとしろ!」
京子先輩はそう言って優しく私の頭を優しく小突く。
「京子先輩…。本当にありがとうございます。」
「はいはい。頑張ってね!」
先輩が私の頭を撫でてくれる。
それがとても温かく感じて落ち着いた。
「なにから何まですみません。」
「あはは!良かったね!私と出会えて!」
「はい、ホントによかったです!」
「ちょっと、そんなに真っ直ぐキラキラした目で言わないでよー。」
「え、うそ!すみません!」
私は思わず両目を手で隠した。
すると先輩の唇がほっぺたに触れた。
私が手をどけて先輩を見ると優しい顔でこちらを見つめていた。
「がんばれ、葵。」
「はい。ありがとうございます。」
京子先輩のおかげでやっと決心がついた。
ちゃんとしよう。ちゃんと向き合おう。
「美咲。話がしたい。」
ちゃんと全部伝えるんだ。
私が終わらした。
たくさんの人を傷つけた。
向き合いたい人がいる。好きな子がいる。
それは本当だ。
だけど、あれだけの人を傷つけておいて私だけ幸せになるなんて虫の良い話があるだろうか。
そう思うと私はなかなか美咲に話せないでいた。
あの気まずいお別れをしてからずっと話せないでいる。
「あおいー!」
休み時間に考え事をして廊下の窓の外を眺めていたら京子先輩に話しかけられた。
「え!あ!お久しぶりです!」
本当にびっくりしたあの感じで終わったのに普通に話しかけてくる先輩に。
「久しぶりって私が葵にフラれて以来だからそんなに経ってないよー!」
「あ、その、すみません。」
「あっはは!ごめんごめん!どしたの?難しい顔して。」
「いやー…。」
「香ちゃんとはちゃんと終わりにしたっぽいね。」
「はい…。」
「そっかぁー。はぁー。なーんだー。」
「なんですか?」
「私さ、葵は香ちゃんのこと好きになると思ってたんだよね。」
「それは、多分好きでした。」
「うわ、やっぱり?めちゃくちゃかわいー、かわいーってうるさかったもんね。」
「え、そんなにですか…。」
「そんなにだよー!私のことは全然言ってくれないのにさー。」
「そ、そんなことないです!すごくかわいいって思ってました!」
「えへへ。どーも。」
先輩はそうやって可愛らしく笑った。
「香は優しいんです。すごく優しいから私と一緒にどこまでもダメになってくれる。だからダメなんです。香は私といたら。」
「うん。そっか。」
「だから…。」
「だから、みさきちゃんだったんだね!」
「はい…。」
だから美咲なんだ。
なのに、私はその人を傷付けたまま何もできないでいる。
「私達のこと気にしてる?」
「……。」
「あはは。気にされたら私達何にも報われないじゃん。ただのフラれ損だよー。」
「でも…。」
「大丈夫。だからちゃんとしろ!」
京子先輩はそう言って優しく私の頭を優しく小突く。
「京子先輩…。本当にありがとうございます。」
「はいはい。頑張ってね!」
先輩が私の頭を撫でてくれる。
それがとても温かく感じて落ち着いた。
「なにから何まですみません。」
「あはは!良かったね!私と出会えて!」
「はい、ホントによかったです!」
「ちょっと、そんなに真っ直ぐキラキラした目で言わないでよー。」
「え、うそ!すみません!」
私は思わず両目を手で隠した。
すると先輩の唇がほっぺたに触れた。
私が手をどけて先輩を見ると優しい顔でこちらを見つめていた。
「がんばれ、葵。」
「はい。ありがとうございます。」
京子先輩のおかげでやっと決心がついた。
ちゃんとしよう。ちゃんと向き合おう。
「美咲。話がしたい。」
ちゃんと全部伝えるんだ。
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