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雨宮京子①
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私が葵と初めて話したのは1年前の10月の中旬頃。そして、初めて葵と関係を持った日でもある。
葵の存在は前から知っていた。葵は色々有名だからみんな噂をしていたから。
ただ、葵のその行為を知ったのはその頃あたりだった。
ある日友達に相談をされた。葵との関係ことで。絶対誰にも言わないでと言われて。
私は正直に言うと多分人より冷めた人間だから友達の気持ちがわかってあげられなかった。
むしろ、そういうことだと同意の上でやっているのに被害者づらしているその子に少し違和感を覚えた。
だからもう終わりにした方がいいんじゃないかとアドバイスをした。
それと同時に葵という人物にすごく興味が湧いた。
私も勉強や生徒会やらでストレスが無かったわけじゃ無かったから利害の一致で上手くいきそうだなと思い葵に近づいた。
「柏木さん!はじめまして!」
「え、あ、はじめまして。」
葵は少しびっくりしたけどすぐに笑顔に切り替わった。
「私、雨宮京子って言うの。」
「知ってますよ!」
「あ、そうなんだ!」
「雨宮先輩のことこの学校で知らない方が珍しいですよ!」
「あはは。そんなの柏木さんも一緒じゃない?」
「そうですかね…。」
「そうだよ!あ、でね、少しお話がしたくてさ!」
「はい、なんですか?」
「単刀直入に言うと、柏木さん最近セフレ的な人と別れたでしょ?だから、私なんてどうかなって!」
葵の顔が少しだけ険しくなった。
「聞いたんですね。」
「あ、でも誰にも言ってないし、あの子も他の子には言ってないから安心していいよ!」
「あの、なんて言ってました?私のこと。大嫌いとか言ってましたか?」
「そんなこと言ってないけど…。意外とそんなこと気にするんだね。」
「はい。毎回みんな泣くんです。だからいつも申し訳ないなーって。」
「なら、やめればいいのに。」
「ですよねー。」
少し呆れたように笑っていた。
「まあ、でもやめれたらやめてるよね。」
そう言いながら葵に抱きついた。
「ねえ、だから私にしない?私もさ、結構疲れてるんだ。」
葵が私の腰に手を回して抱き寄せた。
「明日の放課後は空いてますか?」
「うん。空いてるよ。」
「少しだけ待ってもらってもいいですか?私の家来てください。」
「うん。わかった。待ってるね。」
それから約束の日に葵の家に行った。
部屋に行ってもすぐにそんな雰囲気にはならなくて少し話をした。
「先輩も疲れるんですね。そんな風にはあんまり見えないです。」
「でしょ?結構頑張ってるのよねー!葵なんてもっと頑張り屋さんだよね!すごいなー。」
「頑張ってますよー、まあ、でもこんなことやってるから全然すごくないですよ。だから先輩の方がすごいと思います。」
「じゃあ、今からすごくなくなっちゃうのかな。」
「嫌ならやらないです。」
「嫌ならこんなとこまでこないよ。」
「なら、よかったです。」
ふと葵の部屋の机に目をやると勉強した後が広がっていた。
「勉強してたの?」
「あー、片付けるの忘れてました。」
「大変だよね、勉強。私は天才らしいからちゃんと勉強しないとがっかりされちゃうのよねー。」
「天才なんて都市伝説か何かじゃないですか?頑張ってる天才は天才って言うんですかね。」
「あはは。そうだよね…。」
そこで葵の唇が私に触れた。
私が葵に近づいたのは自分のストレスを逃すためにちょうどいいと思ったから。
同じような気持ちの人と話してみたかった。
ただ、それだけだった。
なのに、私はこの時確信した。
この先この人を好きになる。
私のことをただ頑張ってるからすごいねと言ってくれるその目がとても優しく見えた。
普通のことなんだ。
頑張ってるから褒められる。
なのにいつの間にか頑張ることが当たり前になってみんなそこを褒めてくれなくなっていた。いつの間にか「いいな、頭が良くて」と言われるようになっていた。
だから、葵の普通の目が世界一優しく見えた。
私のことを唯一理解してくれる人だと思った。
だから、私も葵のことを理解したい。
葵がしてくれたように。
そう思いながら私達はその日そのまま初めて体を重ねた。
葵の存在は前から知っていた。葵は色々有名だからみんな噂をしていたから。
ただ、葵のその行為を知ったのはその頃あたりだった。
ある日友達に相談をされた。葵との関係ことで。絶対誰にも言わないでと言われて。
私は正直に言うと多分人より冷めた人間だから友達の気持ちがわかってあげられなかった。
むしろ、そういうことだと同意の上でやっているのに被害者づらしているその子に少し違和感を覚えた。
だからもう終わりにした方がいいんじゃないかとアドバイスをした。
それと同時に葵という人物にすごく興味が湧いた。
私も勉強や生徒会やらでストレスが無かったわけじゃ無かったから利害の一致で上手くいきそうだなと思い葵に近づいた。
「柏木さん!はじめまして!」
「え、あ、はじめまして。」
葵は少しびっくりしたけどすぐに笑顔に切り替わった。
「私、雨宮京子って言うの。」
「知ってますよ!」
「あ、そうなんだ!」
「雨宮先輩のことこの学校で知らない方が珍しいですよ!」
「あはは。そんなの柏木さんも一緒じゃない?」
「そうですかね…。」
「そうだよ!あ、でね、少しお話がしたくてさ!」
「はい、なんですか?」
「単刀直入に言うと、柏木さん最近セフレ的な人と別れたでしょ?だから、私なんてどうかなって!」
葵の顔が少しだけ険しくなった。
「聞いたんですね。」
「あ、でも誰にも言ってないし、あの子も他の子には言ってないから安心していいよ!」
「あの、なんて言ってました?私のこと。大嫌いとか言ってましたか?」
「そんなこと言ってないけど…。意外とそんなこと気にするんだね。」
「はい。毎回みんな泣くんです。だからいつも申し訳ないなーって。」
「なら、やめればいいのに。」
「ですよねー。」
少し呆れたように笑っていた。
「まあ、でもやめれたらやめてるよね。」
そう言いながら葵に抱きついた。
「ねえ、だから私にしない?私もさ、結構疲れてるんだ。」
葵が私の腰に手を回して抱き寄せた。
「明日の放課後は空いてますか?」
「うん。空いてるよ。」
「少しだけ待ってもらってもいいですか?私の家来てください。」
「うん。わかった。待ってるね。」
それから約束の日に葵の家に行った。
部屋に行ってもすぐにそんな雰囲気にはならなくて少し話をした。
「先輩も疲れるんですね。そんな風にはあんまり見えないです。」
「でしょ?結構頑張ってるのよねー!葵なんてもっと頑張り屋さんだよね!すごいなー。」
「頑張ってますよー、まあ、でもこんなことやってるから全然すごくないですよ。だから先輩の方がすごいと思います。」
「じゃあ、今からすごくなくなっちゃうのかな。」
「嫌ならやらないです。」
「嫌ならこんなとこまでこないよ。」
「なら、よかったです。」
ふと葵の部屋の机に目をやると勉強した後が広がっていた。
「勉強してたの?」
「あー、片付けるの忘れてました。」
「大変だよね、勉強。私は天才らしいからちゃんと勉強しないとがっかりされちゃうのよねー。」
「天才なんて都市伝説か何かじゃないですか?頑張ってる天才は天才って言うんですかね。」
「あはは。そうだよね…。」
そこで葵の唇が私に触れた。
私が葵に近づいたのは自分のストレスを逃すためにちょうどいいと思ったから。
同じような気持ちの人と話してみたかった。
ただ、それだけだった。
なのに、私はこの時確信した。
この先この人を好きになる。
私のことをただ頑張ってるからすごいねと言ってくれるその目がとても優しく見えた。
普通のことなんだ。
頑張ってるから褒められる。
なのにいつの間にか頑張ることが当たり前になってみんなそこを褒めてくれなくなっていた。いつの間にか「いいな、頭が良くて」と言われるようになっていた。
だから、葵の普通の目が世界一優しく見えた。
私のことを唯一理解してくれる人だと思った。
だから、私も葵のことを理解したい。
葵がしてくれたように。
そう思いながら私達はその日そのまま初めて体を重ねた。
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