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19話:物理部の本気(後編)
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要となる欅不在の中、部員らの好活躍により壊される前の状態へと戻った。爪楊枝タワーのルールでは組み立てる時間は無いので最初から組み立てた状態による始まりになる為、最後まで検討と研鑽を進めていた。
「やっとここまで来たか…。あとは柿渋に付けて乾かすだけ!でも乾燥期間考えると間に合わないな…。少し年代物で古いけど乾燥機を使おう。短縮して大会を控えるしかない。最後まで頼むぞ!みんな!」
進捗具合を確認した石角は満足そうだった。何かも緊急であったが、間に合うことができると確信した。左右田と鶴居は謎の元素記号を用いた暗号を解こうと必死になっていた。
「この学校で金が大量にあるのは事務、カルシウムは牛乳だから自販機の紙パック牛乳。リチウムはその電源でナトリウムはスポーツドリンクだから自販機のところになるよね…。いや、待てよ…もしかして!」
「左右田君、閃いたの?というか今の言葉で大体理解できたかもしれない。金は事務ではなく自販機に入ってるもの、そしてバリウムのような色の白い自販を探せば良いのよ!そして、ここにあるアルミニウムは合金、つまりジュラルミンのこと。この学校の自販機は剣道部が使ってる部室の横、だとしたら…」
謎の解明に辿り着いた2人は走り出した。そして、剣道部の部室付近にある自販機を見て一つ開いてるものがあった。
「一気に開けて!」
「まかせろ」
鶴居の指示に左右田は万力を込めて自販機のドアを開けた。そこには口と足、手を紐で縛られた欅の姿があった。
「欅!お前何してんだよ。女に弱い野郎だなと言いたいところだけど、保健室へ連れて行くぞ」
「まだ生きてるね、私の演舞練習の時に来てたパーカーだけど体温戻す意味で着てて」
左右田と鶴居の活躍により、欅の居場所と奪還に成功したが欅は寒かったのか風邪を引いていた。保健室へと2人は抱えるようにして連れて行った。
「先生!欅君が…」
「とりあえず、ベッドが空いてるから寝かせましょう。体が相当冷えてるようね。体を温めないといけないからそこにあるタオルケットを数枚お願い」
保健室の先生の指導に従い、欅の体を温めて目が覚めるまで待つことにした。学校が閉まる10分前に欅は目を覚ました。
「…?あれ僕は確か、質問に答えてたけど誰かに眠らされて寒い場所へ連れてかれたような覚えがあるがなぜ保健室?」
謎の言葉を発していたが、鶴居は喜んだ。すぐさま欅と同じクラスの富林に連絡した。その富林もホッと胸を撫で下ろした。
「川原ってやつにやられたみたいだね。物理部の爪楊枝タワーを作るための部品も全てやられた。お前の帰りを待ってると言いたいが、もう既に帰ってるな…。俺の方から伝えておくから家に帰って休みな?」
左右田の言葉に甘えて欅は帰宅した。その翌日、欅の復帰に部員が喜んだ。
「お帰り欅!無事で何よりだ。ハーレムしてたか?」
「してねぇよ。自販機に閉じ込められて風邪引きかけて死にかけたわ」
富林とのやり取りを見ていつもの狂喜乱舞へと戻った。欅が戻ってきたということで、勝鬨を上げる意味で好物を寺野が用意していた。
「おい欅!戻ってきたことだから、これでも食おうぜ!糖分は力になるだろ?」
「あ、ありがとう寺野!よく分かったね。僕の好物シュークリームって」
人数分用意されたシュークリームを1個ずつ手に取り、勝利を願って食べた。しかし、食べ終わった後寺野は爆弾を置いた。
「あ、領収書は下原に払ってもらうよ!理由は喬林の借金ある訳だからその借金増やしたぜ」
「余計なことするなよフットクラッシャー…。お前もそう思うだろ?USBクラッシャー」
「俺を巻き込むなよ…あと下原君に言うけど、そのあだ名やめてよぉ」
寺野と下原、湯田は良いトリオなのか何なのか分からないが寺野の考え方に物理部一同は爆笑した。
「じゃ下原先輩ごちになります!」
「私も~!」
「僕ももらった事だからね」
加賀木、鶴居、左右田は美味しそうにシュークリームを食べた。石角は食べながら下原の借金を計算した。
「下原君の借金はこれで120万円ってとこか?割高なところから借りてるし、頑張れよー」
苦笑いせざるを得ない下原だったが、欅が戻ってきてくれた事で少し落ち着いていた様子だった。しかし借金額を聞いた事によって喬林の返金利息が地獄のように感じていた。
「借金は仕方ないけど欅が喜んで食ってくれた事だから全て良しだわ」
「ちなみにこのシュークリームいくらなん?」
「ん?俺買ってないから分からんけどレジに行ったのは寺野だし寺野に聞いたら?」
寺野は、その言葉を待ってたかのようにレシートを取り出した。長いレシートを見てどよめきが収まらなかった。
「物理部の爪楊枝タワー出場者分買ったから、全員で10人なのでこのシュークリームは限定品で一個あたり1500円なので15,000円ですね!」
一体何を使ったらそんな値段になるのか分からなかったが、寺野は続けた。
「クリームはマジの純粋なやつで、前桜がいるところで作られてるのさ。それも伝統的なやつ。だから高い!」
欅は納得した分下原に対してお疲れ様、としか言えない瞬間だった。
「やっとここまで来たか…。あとは柿渋に付けて乾かすだけ!でも乾燥期間考えると間に合わないな…。少し年代物で古いけど乾燥機を使おう。短縮して大会を控えるしかない。最後まで頼むぞ!みんな!」
進捗具合を確認した石角は満足そうだった。何かも緊急であったが、間に合うことができると確信した。左右田と鶴居は謎の元素記号を用いた暗号を解こうと必死になっていた。
「この学校で金が大量にあるのは事務、カルシウムは牛乳だから自販機の紙パック牛乳。リチウムはその電源でナトリウムはスポーツドリンクだから自販機のところになるよね…。いや、待てよ…もしかして!」
「左右田君、閃いたの?というか今の言葉で大体理解できたかもしれない。金は事務ではなく自販機に入ってるもの、そしてバリウムのような色の白い自販を探せば良いのよ!そして、ここにあるアルミニウムは合金、つまりジュラルミンのこと。この学校の自販機は剣道部が使ってる部室の横、だとしたら…」
謎の解明に辿り着いた2人は走り出した。そして、剣道部の部室付近にある自販機を見て一つ開いてるものがあった。
「一気に開けて!」
「まかせろ」
鶴居の指示に左右田は万力を込めて自販機のドアを開けた。そこには口と足、手を紐で縛られた欅の姿があった。
「欅!お前何してんだよ。女に弱い野郎だなと言いたいところだけど、保健室へ連れて行くぞ」
「まだ生きてるね、私の演舞練習の時に来てたパーカーだけど体温戻す意味で着てて」
左右田と鶴居の活躍により、欅の居場所と奪還に成功したが欅は寒かったのか風邪を引いていた。保健室へと2人は抱えるようにして連れて行った。
「先生!欅君が…」
「とりあえず、ベッドが空いてるから寝かせましょう。体が相当冷えてるようね。体を温めないといけないからそこにあるタオルケットを数枚お願い」
保健室の先生の指導に従い、欅の体を温めて目が覚めるまで待つことにした。学校が閉まる10分前に欅は目を覚ました。
「…?あれ僕は確か、質問に答えてたけど誰かに眠らされて寒い場所へ連れてかれたような覚えがあるがなぜ保健室?」
謎の言葉を発していたが、鶴居は喜んだ。すぐさま欅と同じクラスの富林に連絡した。その富林もホッと胸を撫で下ろした。
「川原ってやつにやられたみたいだね。物理部の爪楊枝タワーを作るための部品も全てやられた。お前の帰りを待ってると言いたいが、もう既に帰ってるな…。俺の方から伝えておくから家に帰って休みな?」
左右田の言葉に甘えて欅は帰宅した。その翌日、欅の復帰に部員が喜んだ。
「お帰り欅!無事で何よりだ。ハーレムしてたか?」
「してねぇよ。自販機に閉じ込められて風邪引きかけて死にかけたわ」
富林とのやり取りを見ていつもの狂喜乱舞へと戻った。欅が戻ってきたということで、勝鬨を上げる意味で好物を寺野が用意していた。
「おい欅!戻ってきたことだから、これでも食おうぜ!糖分は力になるだろ?」
「あ、ありがとう寺野!よく分かったね。僕の好物シュークリームって」
人数分用意されたシュークリームを1個ずつ手に取り、勝利を願って食べた。しかし、食べ終わった後寺野は爆弾を置いた。
「あ、領収書は下原に払ってもらうよ!理由は喬林の借金ある訳だからその借金増やしたぜ」
「余計なことするなよフットクラッシャー…。お前もそう思うだろ?USBクラッシャー」
「俺を巻き込むなよ…あと下原君に言うけど、そのあだ名やめてよぉ」
寺野と下原、湯田は良いトリオなのか何なのか分からないが寺野の考え方に物理部一同は爆笑した。
「じゃ下原先輩ごちになります!」
「私も~!」
「僕ももらった事だからね」
加賀木、鶴居、左右田は美味しそうにシュークリームを食べた。石角は食べながら下原の借金を計算した。
「下原君の借金はこれで120万円ってとこか?割高なところから借りてるし、頑張れよー」
苦笑いせざるを得ない下原だったが、欅が戻ってきてくれた事で少し落ち着いていた様子だった。しかし借金額を聞いた事によって喬林の返金利息が地獄のように感じていた。
「借金は仕方ないけど欅が喜んで食ってくれた事だから全て良しだわ」
「ちなみにこのシュークリームいくらなん?」
「ん?俺買ってないから分からんけどレジに行ったのは寺野だし寺野に聞いたら?」
寺野は、その言葉を待ってたかのようにレシートを取り出した。長いレシートを見てどよめきが収まらなかった。
「物理部の爪楊枝タワー出場者分買ったから、全員で10人なのでこのシュークリームは限定品で一個あたり1500円なので15,000円ですね!」
一体何を使ったらそんな値段になるのか分からなかったが、寺野は続けた。
「クリームはマジの純粋なやつで、前桜がいるところで作られてるのさ。それも伝統的なやつ。だから高い!」
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