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3品目:サクサク食感の違い
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古賀による妨害は終わりを告げた。蔵山の店には多くのスポンサーが立ち寄り、インフルエンサーによる宣伝によって不動の人気料理店へと進化した。
「開店前にこの雑誌読むのはどうかなと思ったけど、これ面白い!激戦区勝ち取ったらお祝いしなきゃね」
星川のオールスパイスが開店する30分前、山崎も合流し内容を伝える。
「今回どうしますか?星川シェフ」
「んー、今回は明治時代に名を馳せていた料理を出そうかな。週ごとに国を変えていく日替わりならぬ、週替わり料理店として!」
天才料理人の門出が華々しかった。開店したと同時に、天才料理人の味を楽しみたいというお客で行列が絶えない。
山崎は事前に作っていたメニュー表を席に着く1人1人のお客に、お冷を持って渡した。
「今週のメニュー表です。今週は日本料理和食ものになります」
「これはまたリーズナブルで面白い。なら、この料理を頼む」
開店前日。どうするか決まらない2人で今までにない提案を山崎は閃く。
「シェフ!日替わりならぬ週替わり料理ってどうでしょうか?国ごとに変えて多くのお客様に楽しんでもらうというものです。歴史も学べますし、もしかしたら僕の研究課題も進むかもしれない」
「山崎君らしい考えだね。私も多くの料理を学んだことだから、やってみようか!」
料理メニューには、明治時代に取り入れられた2つの肉料理が看板メニューとなっていた。
「すみませーん。牛鍋5個頼むわ!」
「かしこまりました!」
「牛カツ定食お願いね!」
星川が作る明治時代の料理は、この2つだ。この時代は肉を食べるという習慣が流行り、代表する肉料理としてこの2つが選ばれた。牛鍋は味噌ベースに砂糖を加えられており、日本料理の基本である"さしすせそ"を代表する一品だ。これが後に、すき焼きの先祖になるという革命的1品だ。
牛カツというのは、揚げて食べるという脂っこいものを嫌う日本人に食べやすさを追求したものだ。その当時は長期保存出来る食べ物が重宝されており、乾パンはその1つに属する。現代では、食パンを荒く削ったパン粉を利用するが明治時代初期で使われたのは乾パンで歯ごたえが残る一品だ。
この2つの肉料理は明治天皇が食して美味いと評したことで庶民へ流行り、今に至るというもので子供が好きな料理がこんな形で楽しめるというのも星川にとっては嬉しいことだ。
「すまない。締めにうどんをお願いしたい」
「かしこまりました!」
勿論、牛鍋には締めのうどん。牛カツはテイクアウトでカツサンドという忙しい人と最後まで楽しんでほしい人にも…という願いを込めて用意してある。
「シェフ!本日分の食材終わりました!」
「山崎君ありがとう!これで今日は店じまいかな」
開店して3時間後、仕入れた食材は使い切り予定以上の時間で売り切れた。
「さて、今日の売り上げ計算をしようか。牛鍋は1200円で定食だと1400円だから、うどん付きで1460円。牛カツは単品で1600円で定食だと1900円だから、サンドイッチで5個入り1500円の料金設定だから…」
「牛は高いですもんね…」
星川の手配した牛肉は、サシの入った上質な肉で部位にもこだわった最高品質だ。1頭買いしたのは良かったものも、売り切れる時間が早かったことに驚く2人。
山崎は、黙々と売り上げを計算をして驚愕の額に目ん玉をひん剥く。
「星川シェフ、売り上げの計算終わりました。本日の売り上げは75万5400円となります。牛カツよりも牛鍋が多く出てましたね」
「計算ありがとう山崎君。初日は良い滑り出しだね。明治時代リスペクトだわ」
星川はニンマリと笑顔になる。
1つ気になることを山崎に問う。それは、彼が研究する歴史学で何を専攻しているのかというものだ。
「山崎君って歴史学を学んでると思うけど、どこの国を学んでるの?」
「一応全世界は頭に叩き込んだのですが、今は自分にとって興味のある国がなくて課題に取り組めていないのです」
「そっか…私の繰り出す世界の料理で興味が湧く国、出てくると良いね」
次の食材を手配しながら星川は、山崎の課題に協力しようとする。
山崎の説明する明治時代の料理に、今度は洋風の料理を入れて対決させるという提案を星川に伝えた。
「洋風カツレツってとこかな。それも面白そう!あ、予算なら大丈夫だよ。優勝しまくって貯金は億を超えてるから」
翌日、明治牛カツにフランス発祥のカツレツ、コートレットが並んだ。
「本日は明治時代の牛カツに、フランス発祥のカツレツ、コートレットもございます!豚肉なので味もまた面白いですよ」
山崎は、入店する客にコートレットを薦める。
コートレットは今日本で食べられている、カツレツの起源で東京のフランス料理店で出されたのが始まりだ。フランスという国は革命も起きており、その革命に対して音楽を作曲した革命のエチュードはまさにこのコートレットに相応しい曲だ。
「限定になりますが、宜しければご賞味の方お願いします」
山崎の活躍で売り上げ額は、80万を突破した。
「サクサクとしたカツレツは、子供はともかく老若男女にウケましたね」
「人の笑顔見れるだけで嬉しいよ。蔵山シェフに食べさせようかな」
星川は、自身の持つ店で多くの人に愛されるという目標を持って次の国の料理メニューを考察する。
「開店前にこの雑誌読むのはどうかなと思ったけど、これ面白い!激戦区勝ち取ったらお祝いしなきゃね」
星川のオールスパイスが開店する30分前、山崎も合流し内容を伝える。
「今回どうしますか?星川シェフ」
「んー、今回は明治時代に名を馳せていた料理を出そうかな。週ごとに国を変えていく日替わりならぬ、週替わり料理店として!」
天才料理人の門出が華々しかった。開店したと同時に、天才料理人の味を楽しみたいというお客で行列が絶えない。
山崎は事前に作っていたメニュー表を席に着く1人1人のお客に、お冷を持って渡した。
「今週のメニュー表です。今週は日本料理和食ものになります」
「これはまたリーズナブルで面白い。なら、この料理を頼む」
開店前日。どうするか決まらない2人で今までにない提案を山崎は閃く。
「シェフ!日替わりならぬ週替わり料理ってどうでしょうか?国ごとに変えて多くのお客様に楽しんでもらうというものです。歴史も学べますし、もしかしたら僕の研究課題も進むかもしれない」
「山崎君らしい考えだね。私も多くの料理を学んだことだから、やってみようか!」
料理メニューには、明治時代に取り入れられた2つの肉料理が看板メニューとなっていた。
「すみませーん。牛鍋5個頼むわ!」
「かしこまりました!」
「牛カツ定食お願いね!」
星川が作る明治時代の料理は、この2つだ。この時代は肉を食べるという習慣が流行り、代表する肉料理としてこの2つが選ばれた。牛鍋は味噌ベースに砂糖を加えられており、日本料理の基本である"さしすせそ"を代表する一品だ。これが後に、すき焼きの先祖になるという革命的1品だ。
牛カツというのは、揚げて食べるという脂っこいものを嫌う日本人に食べやすさを追求したものだ。その当時は長期保存出来る食べ物が重宝されており、乾パンはその1つに属する。現代では、食パンを荒く削ったパン粉を利用するが明治時代初期で使われたのは乾パンで歯ごたえが残る一品だ。
この2つの肉料理は明治天皇が食して美味いと評したことで庶民へ流行り、今に至るというもので子供が好きな料理がこんな形で楽しめるというのも星川にとっては嬉しいことだ。
「すまない。締めにうどんをお願いしたい」
「かしこまりました!」
勿論、牛鍋には締めのうどん。牛カツはテイクアウトでカツサンドという忙しい人と最後まで楽しんでほしい人にも…という願いを込めて用意してある。
「シェフ!本日分の食材終わりました!」
「山崎君ありがとう!これで今日は店じまいかな」
開店して3時間後、仕入れた食材は使い切り予定以上の時間で売り切れた。
「さて、今日の売り上げ計算をしようか。牛鍋は1200円で定食だと1400円だから、うどん付きで1460円。牛カツは単品で1600円で定食だと1900円だから、サンドイッチで5個入り1500円の料金設定だから…」
「牛は高いですもんね…」
星川の手配した牛肉は、サシの入った上質な肉で部位にもこだわった最高品質だ。1頭買いしたのは良かったものも、売り切れる時間が早かったことに驚く2人。
山崎は、黙々と売り上げを計算をして驚愕の額に目ん玉をひん剥く。
「星川シェフ、売り上げの計算終わりました。本日の売り上げは75万5400円となります。牛カツよりも牛鍋が多く出てましたね」
「計算ありがとう山崎君。初日は良い滑り出しだね。明治時代リスペクトだわ」
星川はニンマリと笑顔になる。
1つ気になることを山崎に問う。それは、彼が研究する歴史学で何を専攻しているのかというものだ。
「山崎君って歴史学を学んでると思うけど、どこの国を学んでるの?」
「一応全世界は頭に叩き込んだのですが、今は自分にとって興味のある国がなくて課題に取り組めていないのです」
「そっか…私の繰り出す世界の料理で興味が湧く国、出てくると良いね」
次の食材を手配しながら星川は、山崎の課題に協力しようとする。
山崎の説明する明治時代の料理に、今度は洋風の料理を入れて対決させるという提案を星川に伝えた。
「洋風カツレツってとこかな。それも面白そう!あ、予算なら大丈夫だよ。優勝しまくって貯金は億を超えてるから」
翌日、明治牛カツにフランス発祥のカツレツ、コートレットが並んだ。
「本日は明治時代の牛カツに、フランス発祥のカツレツ、コートレットもございます!豚肉なので味もまた面白いですよ」
山崎は、入店する客にコートレットを薦める。
コートレットは今日本で食べられている、カツレツの起源で東京のフランス料理店で出されたのが始まりだ。フランスという国は革命も起きており、その革命に対して音楽を作曲した革命のエチュードはまさにこのコートレットに相応しい曲だ。
「限定になりますが、宜しければご賞味の方お願いします」
山崎の活躍で売り上げ額は、80万を突破した。
「サクサクとしたカツレツは、子供はともかく老若男女にウケましたね」
「人の笑顔見れるだけで嬉しいよ。蔵山シェフに食べさせようかな」
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