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49話:トゥルードリーム(後編)
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山本たちの体育祭は午後の部を迎える。
演舞を終えた応援団は成功を収めて緊張が解けたのか、疲労が一気にのしかかっていた。特に山本は大山との会話途中で、全てを出し尽くしたのかフラついてそのまま倒れてしまう。
救護にいる城島の元へ山本を運び、守山たちは山本の目が覚めるまで近くに座り込んだ。
「まゆっち本当に最後まで無理しちゃって…。全く、どうしようもない同級生だわ。でもよく頑張ったよ。ネックレスの飾りが割れるくらいだしさ」
「なみの言う通りだよ。誠也との会話中に倒れるなんて本当に緊張してたんだろうね。朝すごくいい匂いしたから、朝からお風呂入ってのかもしれない。身を清めるって意味で」
鶴海と守山は話す。高部は山本の横に座って寝顔を見ながら待った。
倒れてしまった理由が分からずだったが、その説明が城島から告げられる。
「3人とも演舞お疲れ様。とても綺麗でいい思い出になっただろう。山本なんだが、心配する程でもない。体の火照りとかも見受けたから熱中症に近い状態だろう。スポーツドリンクとかを飲ませたり、氷嚢で冷やせば元気になるはず。よく頑張ったと思う」
城島は拍手して感服した。暫くすると山本は目を覚ます。すぐに3人は抱きついた。
「まゆっちの馬鹿!あんなに無理はしないでって言ったのに最後の最後に倒れるなんて本当に心配したよ。全く…もう」
「なみの言う通りだよ。私もそうだし、特に最も近くにて座ってくれている高部さんも張り裂けるほど心配してたんだから」
守山と鶴海は泣きじゃくる。高部は山本の頭をポンポンとしながら笑顔になった。
「まゆっち本当に凄いや。もしかしたら亡くなった前宮の意志が本当に移ってたのかもしれないね」
亡くなった彼氏の名前を聞いた山本は、3人の前で興味深い話を始めた。
「実は、さっき夢の中で涼太君と話してたの。横には森田先生も居て私との会話を笑顔で見守ってくれてて、よく頑張ったと褒めてくれた。涼太は最後にこう言い残したよ。見届けることができずすまないって。夢の中だから何とも言えないけど、お守りのネックレスが割れちゃったのはそうかもしれない」
その話を聞いて守山と鶴海は気付く。
山本が倒れた後に見かけた2人は、本当に天から舞い降りた前宮と森田先生であったと改めて驚いた。守山はこう答える。
「もしかしたら、本当に来てたのかもね」
それはないだろと言わんばかりに3人はツッコミを入れる。
OBの白石と小山、守山紗耶香はそんな4人の和気藹々とした姿を見てにっこり笑った。3人も最後の演舞をした後も山本たちのように、楽しく話してた頃を思い出す。
「なんか懐かしいですね、白石先輩。小山先輩も結構泣いてましたよね」
「良い努力をしたからこそ、自分たちの手で得たものだよ。そんな感じで大学へ進学して夢を掴んでほしいよね」
守山紗耶香と小山は懐かしむ。白石も痛めた肩を触りながら、4人の演舞に感動した。全てのプログラムを終えると両応援団は集合してとあることを行った。
大山が率先して進める。
「よし、みんな集まったね。今から黙祷を捧げます。今回存続のために協力してくれたものも命を燃やし尽くした、2人の英雄に向けて執り行います。山本の彼氏になる前宮涼太、その恩師森田遼に捧げます。両応援団黙祷!」
大山の指示に応援団員は黙祷を捧げる。同志との別れ、その恩師との別れに涙する団員もいた。
黙祷が終わると、団員はそのまま解散した。家に帰宅した山本だがずっと泣き続ける。
「全て…終わったよ。あなたのおかげだから。本当にありがとう。涼太君」
割れたネックレスの飾りを見ながら今までのことを振り返る。存続の危機から始まり、教職員との言い争いと喧嘩。大切な人との出会いと別れ。全てに山本は感謝した。
苦楽を共にした守山や鶴海、高部との出会いも全てが奇跡だと山本は考える。
「3年目だからなのか分からないけど1年目と2年目よりとても泣ける。もう会えないってのは自分でも分かってるのに、まだ心のどこかで生きてるんじゃないかなって思うよ。明日参りに行くから待っててね」
手に持っていたのはペアで写真を撮ろうと予定して作っていた白い手袋。
そこにはイニシャルのY.MとM.Rが刺繍されていた。Y.Mの手袋は所々に血の跡が付いており、演舞練習の過酷さを物語っている。お風呂へ入った後、そのまま流れるようにして山本は眠った。
演舞を終えた応援団は成功を収めて緊張が解けたのか、疲労が一気にのしかかっていた。特に山本は大山との会話途中で、全てを出し尽くしたのかフラついてそのまま倒れてしまう。
救護にいる城島の元へ山本を運び、守山たちは山本の目が覚めるまで近くに座り込んだ。
「まゆっち本当に最後まで無理しちゃって…。全く、どうしようもない同級生だわ。でもよく頑張ったよ。ネックレスの飾りが割れるくらいだしさ」
「なみの言う通りだよ。誠也との会話中に倒れるなんて本当に緊張してたんだろうね。朝すごくいい匂いしたから、朝からお風呂入ってのかもしれない。身を清めるって意味で」
鶴海と守山は話す。高部は山本の横に座って寝顔を見ながら待った。
倒れてしまった理由が分からずだったが、その説明が城島から告げられる。
「3人とも演舞お疲れ様。とても綺麗でいい思い出になっただろう。山本なんだが、心配する程でもない。体の火照りとかも見受けたから熱中症に近い状態だろう。スポーツドリンクとかを飲ませたり、氷嚢で冷やせば元気になるはず。よく頑張ったと思う」
城島は拍手して感服した。暫くすると山本は目を覚ます。すぐに3人は抱きついた。
「まゆっちの馬鹿!あんなに無理はしないでって言ったのに最後の最後に倒れるなんて本当に心配したよ。全く…もう」
「なみの言う通りだよ。私もそうだし、特に最も近くにて座ってくれている高部さんも張り裂けるほど心配してたんだから」
守山と鶴海は泣きじゃくる。高部は山本の頭をポンポンとしながら笑顔になった。
「まゆっち本当に凄いや。もしかしたら亡くなった前宮の意志が本当に移ってたのかもしれないね」
亡くなった彼氏の名前を聞いた山本は、3人の前で興味深い話を始めた。
「実は、さっき夢の中で涼太君と話してたの。横には森田先生も居て私との会話を笑顔で見守ってくれてて、よく頑張ったと褒めてくれた。涼太は最後にこう言い残したよ。見届けることができずすまないって。夢の中だから何とも言えないけど、お守りのネックレスが割れちゃったのはそうかもしれない」
その話を聞いて守山と鶴海は気付く。
山本が倒れた後に見かけた2人は、本当に天から舞い降りた前宮と森田先生であったと改めて驚いた。守山はこう答える。
「もしかしたら、本当に来てたのかもね」
それはないだろと言わんばかりに3人はツッコミを入れる。
OBの白石と小山、守山紗耶香はそんな4人の和気藹々とした姿を見てにっこり笑った。3人も最後の演舞をした後も山本たちのように、楽しく話してた頃を思い出す。
「なんか懐かしいですね、白石先輩。小山先輩も結構泣いてましたよね」
「良い努力をしたからこそ、自分たちの手で得たものだよ。そんな感じで大学へ進学して夢を掴んでほしいよね」
守山紗耶香と小山は懐かしむ。白石も痛めた肩を触りながら、4人の演舞に感動した。全てのプログラムを終えると両応援団は集合してとあることを行った。
大山が率先して進める。
「よし、みんな集まったね。今から黙祷を捧げます。今回存続のために協力してくれたものも命を燃やし尽くした、2人の英雄に向けて執り行います。山本の彼氏になる前宮涼太、その恩師森田遼に捧げます。両応援団黙祷!」
大山の指示に応援団員は黙祷を捧げる。同志との別れ、その恩師との別れに涙する団員もいた。
黙祷が終わると、団員はそのまま解散した。家に帰宅した山本だがずっと泣き続ける。
「全て…終わったよ。あなたのおかげだから。本当にありがとう。涼太君」
割れたネックレスの飾りを見ながら今までのことを振り返る。存続の危機から始まり、教職員との言い争いと喧嘩。大切な人との出会いと別れ。全てに山本は感謝した。
苦楽を共にした守山や鶴海、高部との出会いも全てが奇跡だと山本は考える。
「3年目だからなのか分からないけど1年目と2年目よりとても泣ける。もう会えないってのは自分でも分かってるのに、まだ心のどこかで生きてるんじゃないかなって思うよ。明日参りに行くから待っててね」
手に持っていたのはペアで写真を撮ろうと予定して作っていた白い手袋。
そこにはイニシャルのY.MとM.Rが刺繍されていた。Y.Mの手袋は所々に血の跡が付いており、演舞練習の過酷さを物語っている。お風呂へ入った後、そのまま流れるようにして山本は眠った。
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