37 / 52
35話:心の拠り所
しおりを挟む
体育祭本番まであと4週間と迫っている中、教室へ入ると殴られたはずの下森と栗原がいた。
ホームルームが始まると鮭谷は、体育祭の説明から始める。
「えーマスゲームは復活させる事にしました。理由なのですが、前宮君が作ったと思われるこの紙を栗原さんたちに貰い受けました。職員会議では承認されました。しかし、事故を起こすということまで計算に入れた事だっだという点とその事で守山さんが2人を殴ったということも本人たちから聞きました。通常なら停学なのですが、反省をしているようなのでこの件は終わりになりました。という事で全体練習頑張っていきましょう」
訳の分からない説明だった。なぜ2人を許したのか山本は理解に苦しむ。
全体練習には前宮は参加できないので車椅子に座りながらただ眺めるという特等席を噛み締めた。
「なんか…地味に罪が重いな。仕方ないとはいえ何か手伝いたい」
前宮がそう呟いた時、放送部から誘いが来た。それは良い仕事だ。
「じゃ、本番も含めて放送しない?良い感じな人数になるしさ」
「良いの?ならお言葉に甘えてしようかな」
前宮は、放送部に加入する事となった。流石のその姿を見た山本と大山は爆笑する。
「仕事割り振られてるやないかい。というか、顔も嬉しそうだから貢献してるよ!」
「せっかくなら演舞の紹介文を読んで貰おうよ!だって…前宮君はこの応援団を救ってくれたヒーローだから」
粋なアイデアに全員一致の賛成だった。しかも続けて山本は言う。
「円陣組むからその時中心に来なよ!放送が終わった後に、私が遠隔マイク渡すからそれを通してやってみようよ」
前宮の顔に余裕が無くなった。
噛むことも許されない緊張感をどこまで倒すことができるか、という課題だ。放課後の練習が終わり山本から誘いが来た。
「この後、時間ある?良かったら食事しない?2人で食べたいなって思ってさ」
「なるほど…同行しようかな」
2人は学校から近い、行きつけのお店へと向かう。そのお店は唐揚げの専門店で店主と前宮は仲の良い常連だ。
「ここに来るのは大山とだけどまゆっちと食べるのは初かな」
「そうかもね…。話がしたくて誘ったの。時間やばくなったら遠慮なく言ってね」
「時間なら問題ないよ。安全に帰ってきんしゃい!って言われてるくらいの事だから」
唐揚げの定食が来た後、2人は美味しそうに熱々を頬張る。食べ終わった後山本は自分の悩みを話した。
「この練習が終わったら私たちは解散だけど、この後の将来ってどうするべきなのかな…。本当の努力って何なのか分からないし、もっと言えばこのままの山本真由で良いのかなって思うの。また、何かしらの理由で病んで誰かに迷惑かけるの嫌だからさ」
「自分がしたいようにするのが1番だと思うよ。自由を求める1人の旅人として進む以外方法はないかな…。迷惑なんて思ってないよ。まゆっちもそう僕に言ってたじゃないか、心のそばに僕がいると思って欲しい。なぜならまゆっちの心とその命を守るのは僕だから」
誓いを語る。その誓いに動かされたのか、店を出た後ハグした。
「涼太君がそう言ってくれるなら私ももっと頑張れるよ。私にとっての涼太君は大切な人だもんっ!全てを肯定する所が1番だし、それ以上に笑顔が可愛いもん」
「笑顔かい(笑)でも僕もまゆっちの笑顔が好きかな。忘れられないもの!さて、文章考えながら頑張ろうか」
車椅子を押しながら山本は、前宮の手を握って歩き進んだ。
列車に乗る山本とは違う道なのでまた明日と声をかけてそのままそれぞれの家へ帰宅する。
「さて、涼太君の明るさを取り入れていつも通りの練習しようかな!このネックレス、本番まで着用しとこうかな。大切な人との思い出でもあるし…それに、涼太君は私が守る大切な人だから」
自主練は勢いがありながらも、精密な動きを継続することができていた。動きに動いて満足するまで行う。
「涼太君、出会ってくれてありがとう!神様に感謝しなくっちゃ…ね。守れるならずっとこの先守り続けたい」
山本は、安心した表情でぐっすり眠った。
ホームルームが始まると鮭谷は、体育祭の説明から始める。
「えーマスゲームは復活させる事にしました。理由なのですが、前宮君が作ったと思われるこの紙を栗原さんたちに貰い受けました。職員会議では承認されました。しかし、事故を起こすということまで計算に入れた事だっだという点とその事で守山さんが2人を殴ったということも本人たちから聞きました。通常なら停学なのですが、反省をしているようなのでこの件は終わりになりました。という事で全体練習頑張っていきましょう」
訳の分からない説明だった。なぜ2人を許したのか山本は理解に苦しむ。
全体練習には前宮は参加できないので車椅子に座りながらただ眺めるという特等席を噛み締めた。
「なんか…地味に罪が重いな。仕方ないとはいえ何か手伝いたい」
前宮がそう呟いた時、放送部から誘いが来た。それは良い仕事だ。
「じゃ、本番も含めて放送しない?良い感じな人数になるしさ」
「良いの?ならお言葉に甘えてしようかな」
前宮は、放送部に加入する事となった。流石のその姿を見た山本と大山は爆笑する。
「仕事割り振られてるやないかい。というか、顔も嬉しそうだから貢献してるよ!」
「せっかくなら演舞の紹介文を読んで貰おうよ!だって…前宮君はこの応援団を救ってくれたヒーローだから」
粋なアイデアに全員一致の賛成だった。しかも続けて山本は言う。
「円陣組むからその時中心に来なよ!放送が終わった後に、私が遠隔マイク渡すからそれを通してやってみようよ」
前宮の顔に余裕が無くなった。
噛むことも許されない緊張感をどこまで倒すことができるか、という課題だ。放課後の練習が終わり山本から誘いが来た。
「この後、時間ある?良かったら食事しない?2人で食べたいなって思ってさ」
「なるほど…同行しようかな」
2人は学校から近い、行きつけのお店へと向かう。そのお店は唐揚げの専門店で店主と前宮は仲の良い常連だ。
「ここに来るのは大山とだけどまゆっちと食べるのは初かな」
「そうかもね…。話がしたくて誘ったの。時間やばくなったら遠慮なく言ってね」
「時間なら問題ないよ。安全に帰ってきんしゃい!って言われてるくらいの事だから」
唐揚げの定食が来た後、2人は美味しそうに熱々を頬張る。食べ終わった後山本は自分の悩みを話した。
「この練習が終わったら私たちは解散だけど、この後の将来ってどうするべきなのかな…。本当の努力って何なのか分からないし、もっと言えばこのままの山本真由で良いのかなって思うの。また、何かしらの理由で病んで誰かに迷惑かけるの嫌だからさ」
「自分がしたいようにするのが1番だと思うよ。自由を求める1人の旅人として進む以外方法はないかな…。迷惑なんて思ってないよ。まゆっちもそう僕に言ってたじゃないか、心のそばに僕がいると思って欲しい。なぜならまゆっちの心とその命を守るのは僕だから」
誓いを語る。その誓いに動かされたのか、店を出た後ハグした。
「涼太君がそう言ってくれるなら私ももっと頑張れるよ。私にとっての涼太君は大切な人だもんっ!全てを肯定する所が1番だし、それ以上に笑顔が可愛いもん」
「笑顔かい(笑)でも僕もまゆっちの笑顔が好きかな。忘れられないもの!さて、文章考えながら頑張ろうか」
車椅子を押しながら山本は、前宮の手を握って歩き進んだ。
列車に乗る山本とは違う道なのでまた明日と声をかけてそのままそれぞれの家へ帰宅する。
「さて、涼太君の明るさを取り入れていつも通りの練習しようかな!このネックレス、本番まで着用しとこうかな。大切な人との思い出でもあるし…それに、涼太君は私が守る大切な人だから」
自主練は勢いがありながらも、精密な動きを継続することができていた。動きに動いて満足するまで行う。
「涼太君、出会ってくれてありがとう!神様に感謝しなくっちゃ…ね。守れるならずっとこの先守り続けたい」
山本は、安心した表情でぐっすり眠った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
First Light ー ファーストライト
ふじさわ とみや
青春
鹿児島県の女子高生・山科愛は、曾祖父・重太郎の遺品の中から一枚の風景画を見つけた。
残雪を抱く高嶺を見晴るかす北国らしき山里の風景。その絵に魅かれた愛は、絵が描かれた場所を知りたいと思い、調べはじめる。
そして、かつて曾祖父が終戦直後に代用教員を務めていた街で、その絵は岩手県出身の特攻隊員・中屋敷哲が、出撃の前に曽祖父に渡したものであることを知った。
翌年、東京の大学に進学した愛は、入会した天文同好会で岩手県出身の男子学生・北条哲と出会い、絵に描かれた山が、遠野市から見上げた早池峰山であるらしいことを知る。
二人は種山ヶ原での夏合宿あと遠野を訪問。しかし、確たる場所は見つけられなかった。
やがて新学期。学園祭後に起きたある事件のあと、北条は同好会を退会。一時疎遠になる二人だったが、愛は、自身の中に北条に対する特別な感情があることに気付く。
また、女性カメラマン・川村小夜が撮った遠野の写真集を書店で偶然手にした愛は、遠野郷に対して「これから出合う過去のような、出合ったことがある未来のような」不思議な感覚を抱きはじめた。
「私は、この絵に、遠野に、どうしてこんなに魅かれるの?」
翌春、遠野へ向かおうとした愛は、東京駅で、岩手に帰省する北条と偶然再会する。
愛の遠野行きに同行を申し出る北条。愛と北条は、遠野駅で待ち合わせた小夜とともに「絵の場所探し」を再開する。
中屋敷哲と重太郎。七十年前に交錯した二人の思い。
そして、たどり着いた〝絵が描かれた場所〟で、愛は、曾祖父らの思いの先に、自分自身が立っていたことを知る――。
※ この話は「カクヨム」様のサイトにも投稿しています。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ノーパン派の沼尻さんが俺にだけ無防備すぎる
平山安芸
青春
クラスメイトの沼尻(ヌマジリ)さん。ちょっとミステリアスな雰囲気が魅力の美少女。
クールビューディー、学校のアイドル、高嶺の花。そんな言葉がよく似合う、文句のつけようがない完璧な女子高生。
ただし露出狂である。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
トゥルードリーム〜自由と束縛の愚者〜
saiha
青春
この小説はトゥルードリーム〜努力と掴んだ夢〜につながる物語。
高校1年生を目前にしている山本真由だったが、イマイチ刺激が足りていなかった。所属する部活もガチ勢がいる事なく半分遊びのような感覚で過ごしていた。しかし、1人の友人から誘われた事で青春に対する考えはガラリと変わる!本当に過ごすべき青春は何なのか?自分にとっての楽しみは何なのか?全てがここに凝縮!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる