27 / 52
25話:マスゲームの呪い
しおりを挟む
新しい担任が来るという話で山本の頭の中はいっぱいだった。
それは、また女子応援団と男子応援団を批判するようなことが起きるのではないかという心配と前宮に迷惑かけてしまうというものだ。
(大丈夫…。次の担任は信用できるはず!前宮や亡き恩師の森田先生がどうにかしてくれた事だから絶対大丈夫!だからこの動悸と不安な気持ちを抑えて真由!)
山本は通学する途中、不安で胸を抑えながら学校へ登校する。偶然なのか前宮とも合流した。
「お、まゆっちじゃないか!おはよう」
「涼太君…おはよう…」
顔色の悪い山本を見て前宮はすぐに手を繋ごうとした。山本はその行動に緊張が無くなった分、顔がぽっと赤くなる。
「涼太君やめて!恥ずかしいよぉ」
「お前な、そんな顔されたら僕も黙ってられないから。後で話聞くからさ」
教室へ向かい、ホームルームを待った。新たな先生は女性の若い人だ。しかし初めての挨拶からとんでもなかった。
「どうも、応援団について解散しろとか言われていたようですがはっきり答えますが解散はありません。山本さんと大山君かな?同志がこのような無礼をしてすいませんでした。その代わりマスゲームを中止にします。理由は、ダンスする理由が無いですしマスゲームの意味を理解していないからと指摘を受けました」
栗原と下森は、頭が真っ白になった。なぜマスゲームを無くさなければならないのかという疑問が一気に浮上する。
「あ、忘れてました。このクラスの担任そして校長を務めさせてもらいます鮭谷郷子です。臨時ですが、宜しくお願いします」
担任が教室を後にする。教室内はざわめいた。
特に山本は嬉しい反面どこか悲しいものがあった。
「ねぇ涼太君、マスゲームってさ今まであってもなくても良いやって思ったけど2人の背中見てると悲しく見えない?何か応援演舞は無いですと言われた後の私たちに見えるの…」
「なるほど…。確かにマスゲームって言えば集団行動やちょっとした女子ならではの競技、男子ならではの競技と言ったものになるな。でも、下森と栗原ってマスゲームリーダーだよな?流石に黙ってられないはずだよね」
偶然席が隣同士の山本と前宮だったが、不穏な違和感を2人は感じた。また教育委員会に出なきゃいけないのだろうかというあの恐怖を背筋が凍る。しかし、その違和感は現実となった。
「前宮君ってさ、廃止寸前の応援演舞を救ったって聞いたけどもし可能ならマスゲーム復帰を目指して協力要請しても大丈夫?」
栗原は前宮に話しかけたが、山本がその話に割り込んで前宮がどのようにして男女両応援団を救ったのかを涙ながらに説明した。
「涼太君はね、ODやリスカをしながらも体が壊れる寸前まで協力してくれたの!しかも恩師である森田遼さんにまで勧めてくれた。でも、森田さんは死んでしまった。そして涼太君は…肺炎になったり血が足りず貧血で下村と2人の男性教員を倒れながらも殴り飛ばしたの。でも問題がある度に、涼太君は自分の身を壊すまでしてくれるけどその分心配になる。だから、他の人に頼んで欲しい!もう涼太君の体に傷ひとつもつけたくな…涼太君!?手を離して!」
話をしてくれた山本の手を前宮が止める。
でもその手は力が無かった。
「まゆっち、大丈夫。心配してくれてるのは分かるけれども心配しすぎだ。僕は大丈夫。今も鉄剤を飲んで血を増やしたり免疫力を向上する為に栄養を摂るようにしている。完全じゃなくてもちゃんと守らなきゃいけないものがあるだろ?まゆっちが大切にしてる青春がその手に持ってるだろ!僕の事は問題無い。だから、行かせてくれないか?」
「涼太君…。分かったよ。でも、無理したり病院へ入院するような事はしないでよね!本当にそうしたらまた両足に錘を付けて演舞練習して壊れるまでするから」
「大丈夫、何度足が壊れようとも僕がまゆっちの足になる。それに錘をつける前にすぐ投げ捨てて怒ると思うけどな…」
2人は何故か笑ったが、どうするべきか決まったようだ。全ての授業を終えた後、山本はいつものように練習着に着替えて演舞の練習をする。
足の痛みはまだ残るものも、柔軟性が高くなりスムーズのようにも見える。
「いやまゆっち柔らかすぎでしょ!てかすげぇ開脚出来てる」
「バレリーナかってツッコみたくなるくらい柔らかすぎる…でも無理してない?」
守山と高部が心配する。
しかし、山本は黙々と練習をこなした。練習後、校門にいたのは前宮だった。付き合ってから下校時は2人っきりで帰ることが日課になっていた。
「ねぇ、本当に大丈夫なの?無理しすぎて体壊して最悪死なないでよね!」
「大丈夫だって!何でそんな心配するのさ」
「私の手を止めた時、涼太君の手の力が無かったから」
山本はあの時の違和感を話した。前宮はただ笑う事しかしない。
「まだリハビリ途中だし握力も前よりダメになってるから仕方ない。お!ちょうどコンビニがあるからお茶でも買って飲もうか」
2人はお茶を購入して飲みながらそれぞれ帰宅する。
山本は帰宅後前宮の様子が心配で仕方なかった。付き合い始めてから心配するだけで、胸を押さえるようにして苦い顔になることが多くなった。
(大丈夫だよね…私守れるよね?涼太君は私の大切なパートナー!こんな事で心配してたらダメだよ…でも、彼が死んだらどうしたらいいのか分からない!キツいけど守れるなら守ろう)
胸を押さえながらも自主練習して動きの確認をした後、何日ぶりか分からない涙を流しながら眠った。
それは、また女子応援団と男子応援団を批判するようなことが起きるのではないかという心配と前宮に迷惑かけてしまうというものだ。
(大丈夫…。次の担任は信用できるはず!前宮や亡き恩師の森田先生がどうにかしてくれた事だから絶対大丈夫!だからこの動悸と不安な気持ちを抑えて真由!)
山本は通学する途中、不安で胸を抑えながら学校へ登校する。偶然なのか前宮とも合流した。
「お、まゆっちじゃないか!おはよう」
「涼太君…おはよう…」
顔色の悪い山本を見て前宮はすぐに手を繋ごうとした。山本はその行動に緊張が無くなった分、顔がぽっと赤くなる。
「涼太君やめて!恥ずかしいよぉ」
「お前な、そんな顔されたら僕も黙ってられないから。後で話聞くからさ」
教室へ向かい、ホームルームを待った。新たな先生は女性の若い人だ。しかし初めての挨拶からとんでもなかった。
「どうも、応援団について解散しろとか言われていたようですがはっきり答えますが解散はありません。山本さんと大山君かな?同志がこのような無礼をしてすいませんでした。その代わりマスゲームを中止にします。理由は、ダンスする理由が無いですしマスゲームの意味を理解していないからと指摘を受けました」
栗原と下森は、頭が真っ白になった。なぜマスゲームを無くさなければならないのかという疑問が一気に浮上する。
「あ、忘れてました。このクラスの担任そして校長を務めさせてもらいます鮭谷郷子です。臨時ですが、宜しくお願いします」
担任が教室を後にする。教室内はざわめいた。
特に山本は嬉しい反面どこか悲しいものがあった。
「ねぇ涼太君、マスゲームってさ今まであってもなくても良いやって思ったけど2人の背中見てると悲しく見えない?何か応援演舞は無いですと言われた後の私たちに見えるの…」
「なるほど…。確かにマスゲームって言えば集団行動やちょっとした女子ならではの競技、男子ならではの競技と言ったものになるな。でも、下森と栗原ってマスゲームリーダーだよな?流石に黙ってられないはずだよね」
偶然席が隣同士の山本と前宮だったが、不穏な違和感を2人は感じた。また教育委員会に出なきゃいけないのだろうかというあの恐怖を背筋が凍る。しかし、その違和感は現実となった。
「前宮君ってさ、廃止寸前の応援演舞を救ったって聞いたけどもし可能ならマスゲーム復帰を目指して協力要請しても大丈夫?」
栗原は前宮に話しかけたが、山本がその話に割り込んで前宮がどのようにして男女両応援団を救ったのかを涙ながらに説明した。
「涼太君はね、ODやリスカをしながらも体が壊れる寸前まで協力してくれたの!しかも恩師である森田遼さんにまで勧めてくれた。でも、森田さんは死んでしまった。そして涼太君は…肺炎になったり血が足りず貧血で下村と2人の男性教員を倒れながらも殴り飛ばしたの。でも問題がある度に、涼太君は自分の身を壊すまでしてくれるけどその分心配になる。だから、他の人に頼んで欲しい!もう涼太君の体に傷ひとつもつけたくな…涼太君!?手を離して!」
話をしてくれた山本の手を前宮が止める。
でもその手は力が無かった。
「まゆっち、大丈夫。心配してくれてるのは分かるけれども心配しすぎだ。僕は大丈夫。今も鉄剤を飲んで血を増やしたり免疫力を向上する為に栄養を摂るようにしている。完全じゃなくてもちゃんと守らなきゃいけないものがあるだろ?まゆっちが大切にしてる青春がその手に持ってるだろ!僕の事は問題無い。だから、行かせてくれないか?」
「涼太君…。分かったよ。でも、無理したり病院へ入院するような事はしないでよね!本当にそうしたらまた両足に錘を付けて演舞練習して壊れるまでするから」
「大丈夫、何度足が壊れようとも僕がまゆっちの足になる。それに錘をつける前にすぐ投げ捨てて怒ると思うけどな…」
2人は何故か笑ったが、どうするべきか決まったようだ。全ての授業を終えた後、山本はいつものように練習着に着替えて演舞の練習をする。
足の痛みはまだ残るものも、柔軟性が高くなりスムーズのようにも見える。
「いやまゆっち柔らかすぎでしょ!てかすげぇ開脚出来てる」
「バレリーナかってツッコみたくなるくらい柔らかすぎる…でも無理してない?」
守山と高部が心配する。
しかし、山本は黙々と練習をこなした。練習後、校門にいたのは前宮だった。付き合ってから下校時は2人っきりで帰ることが日課になっていた。
「ねぇ、本当に大丈夫なの?無理しすぎて体壊して最悪死なないでよね!」
「大丈夫だって!何でそんな心配するのさ」
「私の手を止めた時、涼太君の手の力が無かったから」
山本はあの時の違和感を話した。前宮はただ笑う事しかしない。
「まだリハビリ途中だし握力も前よりダメになってるから仕方ない。お!ちょうどコンビニがあるからお茶でも買って飲もうか」
2人はお茶を購入して飲みながらそれぞれ帰宅する。
山本は帰宅後前宮の様子が心配で仕方なかった。付き合い始めてから心配するだけで、胸を押さえるようにして苦い顔になることが多くなった。
(大丈夫だよね…私守れるよね?涼太君は私の大切なパートナー!こんな事で心配してたらダメだよ…でも、彼が死んだらどうしたらいいのか分からない!キツいけど守れるなら守ろう)
胸を押さえながらも自主練習して動きの確認をした後、何日ぶりか分からない涙を流しながら眠った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
咲き乱れろスターチス
シュレッダーにかけるはずだった
青春
自堕落に人生を浪費し、何となく社会人となったハルは、彼女との待ち合わせによく使った公園へむかった。陽炎揺らめく炎天下の中、何をするでもなく座り込んでいると、次第に暑さにやられて気が遠のいてゆく。
彼は最後の青春の記憶に微睡み、自身の罪と弱さに向き合うこととなる。
「ちゃんと生きなよ、逃げないで。」
朦朧とした意識の中、彼女の最後の言葉が脳裏で反芻する。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる