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6話:反撃
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六田からの妨害があったものも、黒岩のお陰で追放することができた。
反対派の職員はその一件で妨害が優しくなったものも、練習は過酷さを極めていた。鶴海はそれを見て本番に間に合わせる為、一人一人の動きを見てはそれぞれの課題を出す。
苦手な振り付けなどは高部と山本が、守山は太鼓を叩く人にリズム確認と新しく考えたものまでを反復しながら音の確認をした。
「昨日までは職員からの目が冷たかったけど今日は変に何の妨害もないし、平和だね」
山本はその違和感を感じていた。
他の団員もその一言に何も感じなかったが、引っかかる何かがある。六田を追放したという事実で普通なら自宅での謹慎処分という形であったのに、なぜ追放する必要があったのかというのが大きな論点に。
練習終了後、団員は女子更衣室へ向かいそれぞれ着替えた。山本、守山、高部、鶴海は残って自分たちのパート練習をする。それは4人が最上級生でもあり、最後の演舞を意味するものでもあった。動画を撮っては確認して動きの修正や場所を見直しての繰り返しを行い、正確さを重視する。
「山本は本当に自分と向き合って練習してるね!本当に感心するよ。その証拠に足の傷前よりひどくなってない?」
高部の一言に守山たちはすぐにその足から出てる血で練習の壮絶さを感じた。
同級生という縁もあったので守山は山本をおんぶして団員が着替えて帰宅した女子更衣室へと運ぶ。山本はその行為に笑ったものも、その行動に暖かく感じた。
「なみ、ありがとう。なんかなみらしくないよ?どうしたん?」
「いや、その足を見てて痛めてるんだなって思って歩くの辛いでしょ?だからおんぶしたの。いつも無理しちゃうんだから!」
守山の心遣いに、山本は彼女の親切心とともに仲が良いからこその行動だと察した。
そんな中、3人の女性が校門で待っていた。守山は3人に挨拶した。
「お久しぶりです先輩!皆さんにお会いできて嬉しいです!今日はよろしくお願いします」
彼女たちは歴代女子応援団団長を務めた簡単に言うとOBだ。
背が高く髪を染めているのは守山七海の姉、守山紗耶香だ。昨年度の団長で卒業式にてなみを団長にすると断言した凄腕の団長。当時の団員からも愛されていてその演舞は形も全て美しい。
ショートヘアで小綺麗なメガネをかけているのはその紗耶香の前に団長を務めた小山夏菜子だ。小山は小柄で目立つような人柄ではなかったが、演舞で才能が開花して2年目で左翼長、最終年の3年目で団長という史上稀に見る天才だ。
その隣にいる、ミニスカートを着用して三つ編みの髪型をしてる人が小山の前に団長を務めた白石蘭だ。肌も白く、当時の団員でも花が咲いていると言われるほどモテモテで中心にいるだけで女子団員の士気が上がったとも言われる。教え方や怒号が鳴り響くことから白鬼団長と恐れられるほど。
先輩方は守山が事前に呼んでいて、食事会をしようと計画をしていた。もちろん、歴代団長3人がご馳走するという特典付き。4人は歴代団長に連れられて、お洒落なレストランへ向かう。
それぞれ注文を済ませると、話は六田の件から始まった。
「六田って元々応援団反対派の人間だよね。自分から自爆してくれたからなんか良かった」
小山が話すと山本たちは頷く。
しかし、小山は忠告の意味で続けた。それは六田以外にもまだ反対派が存在するという事実だ。
「六田はまだ反対派の中では下っ端の数学教師だけどそれを統括してる人がうちらの学校の中にいるはず。そして、その人は若い先生ではなく歳を取った先生を説得して応援演舞を中止にしようとしている。何か企んでるな」
小山の推測に彼女たちの考えは膨らむばかり。
そんな空気を守山紗耶香は、話を変えようとテンションを上げた。
「まぁまぁ、料理きたから食べましょ!冷めないうちに食べないとね!私たちの奢りだから好きなだけ食べてね」
それぞれ美味しい料理を取り皿に分けて食べる中話は練習の質について3人は守山へ質問する。まず、姉の紗耶香が質問した。
「練習の方はどう?裸足で血を流してるところ見てるからさ…あまり無理しないでよね!団長だからって気を張りすぎたらダメだから。お姉ちゃんがいるから!」
「練習はもう最後のところまで進んだよ!でもニュアンスは理解してるのに詰めが甘いからか、気が抜けてる後輩がいるからちょっとね…うん…」
守山の心配は団員の練習に対する熱が感じない、そして勢いはあるのにやってみるとすぐにボロが出てくるという事だった。その話をして白石が案を出す。
「私の知り合いにテレビ局の人いるからその人に願い入れしてさ、取材してもらうのはどう?こんな機会だし元気を全国の人たちにさ見せて演舞は素晴らしいものだって証明しましょうよ!そしたら職員もそうだし、団員の練習に対する考え方も変わると思うの」
その考えに一同はなるほどだと思った。
テレビ出演すれば考えも思うように発言が可能であり、ここで素晴らしさを話せば反対派の職員を黙らせることができると守山たち4人は考えた。
楽しい食事会が終わった後、いつものように山本は自分の動きを確認する。お風呂に入ってる時も行い、自分の部屋でも確認した。テレビに出るという思いが強かったのか、いつも以上に泣いた。
"失敗したくない"
その一言で必死だ。布団の中へ入ると独り言を語った。
「テレビ出て反対派の職員の考えをぶっ壊すのは名案だけど私は、足引っ張って失敗しそうだよ…。なみ、鶴海、高部…私…心が折れそうだよ…」
弱音を吐きながら山本は就寝した。その目は涙で枕がぐっしょりと濡れるほどのものだった。
翌日、守山は早朝にテレビ出演の話を団員に話した。話をした後、団員の練習に誠実な動きが見え始める。何事においても全力で取り組んでいる彼女たちを見て守山は白石先輩に心の中で感謝した。
早朝の練習を終えて1日分の授業を受けた後、放課後練習に白石と小山が駆けつけてくれた。
取材確定の連絡を教えにきた。
「生放送緊張するかもしれないけど頑張ってね!」
「これから一人一人正しく動けているか見るから。ダメ出し言うからそのつもりで」
小山のエールと白石の激励によって団員は引き締まる。
最初は守山、嘉藤、山本、鶴海、高部が先陣を切った。一通り終わった後、守山たちは何も言われずに済んだが嘉藤だけ残された。
「よし、守山とそこの3人は練習続行して!嘉藤は残れ。話がある」
嘉藤は何か失敗したのか心配になった。白石はすぐに最初のダメ出しを放つ。
「君、次の団長になるんでしょ?なのに何なの?あの腑抜けた動き。副団長としての自覚あるの?守山が任命した理由はあなたの動きが良かったから任命してるのよ。なのに、先輩たち最後の勇姿に泥を塗ってどうするの?話にならないもう辞めてくれないかな?」
白石の怒号に嘉藤は泣きながら拒否した。
「嫌です!次こそ必ずちゃんとしますから…だから…」
「次なんてないよ!本番は一度きり。先輩の勇姿もこれが最後。嘉藤、君は後一回あるから良いけれども先輩はもう最後なの。ちゃんと自覚を持って練習しなさい!今日私が様子見るから最後まで練習して下さい」
嘉藤は自分のしてきた事も含めて悔やんでいた。泣きながら練習する。白石の見えるところで動きに動いた。
その後も白石は他の団員たちの練習を見た。酷い団員には男子応援団を比較対象に罵倒しまくる。
「あなたそれでも女子応援団の団員なの?まだ男子の方が優ってるよ!それくらい誰でもできるのになぜあなたはそれくらいのことが出来ないの?明日からもう来ないで。迷惑だから」
白石の激怒に現場の空気は凍る。その隣では白石の様子を見て頷く小山がいた。流石の守山たちも久々の怒号を聞いて気持ちが引き締まる。山本も胸を張って自信を付けた。練習が終わると女子応援団団員の顔とその姿は日焼けで黒くなり、足も血混じりになっていた。白石は取材の日程を話してそのまま解散した。山本も流石に疲れたのか、自販機でスポーツドリンクを購入して一気飲みした。高部と話をしながら女子更衣室へ向かって歩く。
「久々に怒号聞いたねー。他の人たち泣いてたけど私たちにとっては懐かしいって思った」
「それなー。でもやっぱり私たちもそれがあったから乗り越えれたし、最後まで自分の弱い心鍛えれたからさ」
談笑を続けると着替え終わった黒岩がそこにいた。2人を見かけるとサヨナラを言って元気よく帰宅した。それを見て黒岩の心も精神も確実に成長しているようだと山本と高部は思った。
着替えながらグループチャットを確認すると取材の日とその内容が送られていた。
「今日から2週間後か…。確かにこの日なら練習も良い感じになってるから楽しめそう。悔いを残さないように頑張らなきゃ…」
高部と山本はそう話した。翌日は休日で練習もお休みでもあったためか、山本は帰宅して家族の人らが眠りについたところを見て1人お風呂を楽しんだ。
いつもならお風呂に入ってる時でも動きを確認する山本だったが、休みを目前に流石の元気印である山本も充電数%にまで減っている。ゆっくり入った後、クラスメートとのチャットをして眠った。
今日の出来事もあってか、山本の目に涙は無かった。
反対派の職員はその一件で妨害が優しくなったものも、練習は過酷さを極めていた。鶴海はそれを見て本番に間に合わせる為、一人一人の動きを見てはそれぞれの課題を出す。
苦手な振り付けなどは高部と山本が、守山は太鼓を叩く人にリズム確認と新しく考えたものまでを反復しながら音の確認をした。
「昨日までは職員からの目が冷たかったけど今日は変に何の妨害もないし、平和だね」
山本はその違和感を感じていた。
他の団員もその一言に何も感じなかったが、引っかかる何かがある。六田を追放したという事実で普通なら自宅での謹慎処分という形であったのに、なぜ追放する必要があったのかというのが大きな論点に。
練習終了後、団員は女子更衣室へ向かいそれぞれ着替えた。山本、守山、高部、鶴海は残って自分たちのパート練習をする。それは4人が最上級生でもあり、最後の演舞を意味するものでもあった。動画を撮っては確認して動きの修正や場所を見直しての繰り返しを行い、正確さを重視する。
「山本は本当に自分と向き合って練習してるね!本当に感心するよ。その証拠に足の傷前よりひどくなってない?」
高部の一言に守山たちはすぐにその足から出てる血で練習の壮絶さを感じた。
同級生という縁もあったので守山は山本をおんぶして団員が着替えて帰宅した女子更衣室へと運ぶ。山本はその行為に笑ったものも、その行動に暖かく感じた。
「なみ、ありがとう。なんかなみらしくないよ?どうしたん?」
「いや、その足を見てて痛めてるんだなって思って歩くの辛いでしょ?だからおんぶしたの。いつも無理しちゃうんだから!」
守山の心遣いに、山本は彼女の親切心とともに仲が良いからこその行動だと察した。
そんな中、3人の女性が校門で待っていた。守山は3人に挨拶した。
「お久しぶりです先輩!皆さんにお会いできて嬉しいです!今日はよろしくお願いします」
彼女たちは歴代女子応援団団長を務めた簡単に言うとOBだ。
背が高く髪を染めているのは守山七海の姉、守山紗耶香だ。昨年度の団長で卒業式にてなみを団長にすると断言した凄腕の団長。当時の団員からも愛されていてその演舞は形も全て美しい。
ショートヘアで小綺麗なメガネをかけているのはその紗耶香の前に団長を務めた小山夏菜子だ。小山は小柄で目立つような人柄ではなかったが、演舞で才能が開花して2年目で左翼長、最終年の3年目で団長という史上稀に見る天才だ。
その隣にいる、ミニスカートを着用して三つ編みの髪型をしてる人が小山の前に団長を務めた白石蘭だ。肌も白く、当時の団員でも花が咲いていると言われるほどモテモテで中心にいるだけで女子団員の士気が上がったとも言われる。教え方や怒号が鳴り響くことから白鬼団長と恐れられるほど。
先輩方は守山が事前に呼んでいて、食事会をしようと計画をしていた。もちろん、歴代団長3人がご馳走するという特典付き。4人は歴代団長に連れられて、お洒落なレストランへ向かう。
それぞれ注文を済ませると、話は六田の件から始まった。
「六田って元々応援団反対派の人間だよね。自分から自爆してくれたからなんか良かった」
小山が話すと山本たちは頷く。
しかし、小山は忠告の意味で続けた。それは六田以外にもまだ反対派が存在するという事実だ。
「六田はまだ反対派の中では下っ端の数学教師だけどそれを統括してる人がうちらの学校の中にいるはず。そして、その人は若い先生ではなく歳を取った先生を説得して応援演舞を中止にしようとしている。何か企んでるな」
小山の推測に彼女たちの考えは膨らむばかり。
そんな空気を守山紗耶香は、話を変えようとテンションを上げた。
「まぁまぁ、料理きたから食べましょ!冷めないうちに食べないとね!私たちの奢りだから好きなだけ食べてね」
それぞれ美味しい料理を取り皿に分けて食べる中話は練習の質について3人は守山へ質問する。まず、姉の紗耶香が質問した。
「練習の方はどう?裸足で血を流してるところ見てるからさ…あまり無理しないでよね!団長だからって気を張りすぎたらダメだから。お姉ちゃんがいるから!」
「練習はもう最後のところまで進んだよ!でもニュアンスは理解してるのに詰めが甘いからか、気が抜けてる後輩がいるからちょっとね…うん…」
守山の心配は団員の練習に対する熱が感じない、そして勢いはあるのにやってみるとすぐにボロが出てくるという事だった。その話をして白石が案を出す。
「私の知り合いにテレビ局の人いるからその人に願い入れしてさ、取材してもらうのはどう?こんな機会だし元気を全国の人たちにさ見せて演舞は素晴らしいものだって証明しましょうよ!そしたら職員もそうだし、団員の練習に対する考え方も変わると思うの」
その考えに一同はなるほどだと思った。
テレビ出演すれば考えも思うように発言が可能であり、ここで素晴らしさを話せば反対派の職員を黙らせることができると守山たち4人は考えた。
楽しい食事会が終わった後、いつものように山本は自分の動きを確認する。お風呂に入ってる時も行い、自分の部屋でも確認した。テレビに出るという思いが強かったのか、いつも以上に泣いた。
"失敗したくない"
その一言で必死だ。布団の中へ入ると独り言を語った。
「テレビ出て反対派の職員の考えをぶっ壊すのは名案だけど私は、足引っ張って失敗しそうだよ…。なみ、鶴海、高部…私…心が折れそうだよ…」
弱音を吐きながら山本は就寝した。その目は涙で枕がぐっしょりと濡れるほどのものだった。
翌日、守山は早朝にテレビ出演の話を団員に話した。話をした後、団員の練習に誠実な動きが見え始める。何事においても全力で取り組んでいる彼女たちを見て守山は白石先輩に心の中で感謝した。
早朝の練習を終えて1日分の授業を受けた後、放課後練習に白石と小山が駆けつけてくれた。
取材確定の連絡を教えにきた。
「生放送緊張するかもしれないけど頑張ってね!」
「これから一人一人正しく動けているか見るから。ダメ出し言うからそのつもりで」
小山のエールと白石の激励によって団員は引き締まる。
最初は守山、嘉藤、山本、鶴海、高部が先陣を切った。一通り終わった後、守山たちは何も言われずに済んだが嘉藤だけ残された。
「よし、守山とそこの3人は練習続行して!嘉藤は残れ。話がある」
嘉藤は何か失敗したのか心配になった。白石はすぐに最初のダメ出しを放つ。
「君、次の団長になるんでしょ?なのに何なの?あの腑抜けた動き。副団長としての自覚あるの?守山が任命した理由はあなたの動きが良かったから任命してるのよ。なのに、先輩たち最後の勇姿に泥を塗ってどうするの?話にならないもう辞めてくれないかな?」
白石の怒号に嘉藤は泣きながら拒否した。
「嫌です!次こそ必ずちゃんとしますから…だから…」
「次なんてないよ!本番は一度きり。先輩の勇姿もこれが最後。嘉藤、君は後一回あるから良いけれども先輩はもう最後なの。ちゃんと自覚を持って練習しなさい!今日私が様子見るから最後まで練習して下さい」
嘉藤は自分のしてきた事も含めて悔やんでいた。泣きながら練習する。白石の見えるところで動きに動いた。
その後も白石は他の団員たちの練習を見た。酷い団員には男子応援団を比較対象に罵倒しまくる。
「あなたそれでも女子応援団の団員なの?まだ男子の方が優ってるよ!それくらい誰でもできるのになぜあなたはそれくらいのことが出来ないの?明日からもう来ないで。迷惑だから」
白石の激怒に現場の空気は凍る。その隣では白石の様子を見て頷く小山がいた。流石の守山たちも久々の怒号を聞いて気持ちが引き締まる。山本も胸を張って自信を付けた。練習が終わると女子応援団団員の顔とその姿は日焼けで黒くなり、足も血混じりになっていた。白石は取材の日程を話してそのまま解散した。山本も流石に疲れたのか、自販機でスポーツドリンクを購入して一気飲みした。高部と話をしながら女子更衣室へ向かって歩く。
「久々に怒号聞いたねー。他の人たち泣いてたけど私たちにとっては懐かしいって思った」
「それなー。でもやっぱり私たちもそれがあったから乗り越えれたし、最後まで自分の弱い心鍛えれたからさ」
談笑を続けると着替え終わった黒岩がそこにいた。2人を見かけるとサヨナラを言って元気よく帰宅した。それを見て黒岩の心も精神も確実に成長しているようだと山本と高部は思った。
着替えながらグループチャットを確認すると取材の日とその内容が送られていた。
「今日から2週間後か…。確かにこの日なら練習も良い感じになってるから楽しめそう。悔いを残さないように頑張らなきゃ…」
高部と山本はそう話した。翌日は休日で練習もお休みでもあったためか、山本は帰宅して家族の人らが眠りについたところを見て1人お風呂を楽しんだ。
いつもならお風呂に入ってる時でも動きを確認する山本だったが、休みを目前に流石の元気印である山本も充電数%にまで減っている。ゆっくり入った後、クラスメートとのチャットをして眠った。
今日の出来事もあってか、山本の目に涙は無かった。
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