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理系世界編
3話:滴定
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この世界からどのようにして元の世界へと戻るのか、その方法を考えながらプロパノールのお手伝いや商売などをしてお小遣いを稼いだ。
そうこうするうちに始まる戦争を前に...。
「見かけない顔だねぇ...ここで働いてるのかい?若い方よ」
1 人のお爺さんから声をかけられる。
使い込まれた杖とボロボロのリュックを背負いながらゆっくりと歩いていた。
「私たちは、別の世界から来た者です。どのようにして元の世界へ戻れるか模索しながらここで働きながら過ごしています」
食い気味に、コバルトはそのお爺さんへ話した。
「それはまた奇遇じゃのぉ...。ワシもお主らと同じなのじゃよ。元の世界へ戻れる方法なら知っておるぞ」
何という偶然だろうか...。徐ろにお爺さんのリュックからとある書物を取り出した。それもとびきり古い書物だ。
「この書物はとある貴族から貰ったものだ。ワシは当時その貴族の秘書としてやっていて今は違う事をしてワシは歳も相当だったからやめたのじゃ」
「ねぇコバルト、この書物なんか見覚えない?なんていうか...元の世界でも学校で使っていたようなそんな気がするの...」
そう言った途端、呼ばれたかのように古い書物から光が溢れ出る。 その中身は見た事のない綺麗な実験用具の数々と3つの液体があった。
「この液体は、とある魔神を呼ぶための儀式の品じゃ。しかしまだこれだけでは無くあと三つ必要としてるものがある」
このお爺さんの正体が何なのか分からずのまま淡々と話を進めていく。それも祖父と孫の関係のように。
「ねぇ、何故見ず知らずの私たちに元の世界へ戻る方法を教えるの? その方法しかないのなら何故お爺さんはその方法を試す事なく私達に教えてるの?」
「ワシはそれをする資格のあるものではないからじゃ。君たちはそれに 選ばれし本当の勇者なのじゃよ」
話が混乱する2 人の中にプロパノールが 2 人の帰りが遅いと思って店の場所へ駆け付けていた。
「あら、まだお客さん来てたのね♪今日は本当に繁盛しますね。2 人のおかげでこんなに稼げてますわ。ありがとうね」
「プロパノールさん、このお爺さんの話聞いてくれませんか?私達、理解が追いつけなくて...」
2人ではお手上げの話をプロパノールがお爺さんの話を一字一句聞き逃さず傍聴する。話を聞き終わったあと気が付けばプロパノールは2人を抱きしめていた。
「フラーレン、コバルト、あなたたちはこの国の勇者になれるかもしれません。もし宜しければ準備の足しになるものがあるのでついてきて下さい」
言われるがままついていくと大きな壁画が彼らを待ち受けていた。
そこにはおじいさんが見せた実験道具と酷似しており、2 人が見た事のあるものだ。
「これは中和滴定に使う器具じゃないですか?でも なぜ...ここは化学の楽園なのになぜ...」
そう思うのも無理はない。何故なら2 人がいる場所は、化学の贅を尽くした化学好きの化学好きによる化学好きのための楽園であるから。
そしてまたお爺さんの持つ実験器具の数々が光り出す。その光と同時に声が聞こえた。
「実験器具を持ちし者よ。汝らには3つの液体を用意せよ。一つはアル カリ王の持つ塩基国の水酸化ナトリウム、一つはアルミ王がいる王水 の都の塩酸、一つはアルコールの先祖が眠る地の酢酸を集めここに 集結せよ。さすれば道が開かれ、願い叶えられん」
「なーんだ、ただの中和滴定なら簡単じゃないか。すぐ集められるよフ ラーレン、準備して明日の早朝に出発しよう」
しかし、お爺さんとプロパノールは怯えていた。
「あのプロパノールさん、 そしてお爺さん、どうされましたか?何故そんなに震えているのですか?」
プロパノールは今にも泣き出しそうな勢いで話をした。
「この三つを求めて戦争を起こし、大変なことになった極悪の戦争が 1000 年前に起きてたの。酢酸については歴史も何もかも無くなり、そ もそも酢酸が手に入るかどうかも分からない。あとの王水の都とアルカ リ王のいる国は今もあるけど彼らは本当に大丈夫なのか誰も知らない」
「コバルト...どうする?情報集めてもまだ遅くはない。だからまだ慌てる時じゃ...」
「そうだね。今は多くの情報を集める必要がある。移動手段もないから考えなければならなさそうだ...」
2人は図書館へと足を運び、情報を集めることにした。
酢酸を手に入れる方法を本や古文書などで調べてみたものも出てくるのは滅亡の話、王水の都滅亡という情報以外全く出てこなかった。そんな中 、
「2人ともそこにいたのか。何を調べているんだい?探したぞ」
2人は 驚いた。なんとそこには右手を失ったアクリロニトリルが2人の前に姿 を現した。
「アクリロニトリルさん、いったい何が起きたのですか?そしてこの傷、とても酷い...すぐ手当てします。コバルト!プロパノールのところへ戻るよ!」
しかしアクリロニトリルは 、
「君たちに伝えなければならないことがある。この国は、もうすぐ戦争に巻き込まれる。王水の都に僕の友人夫妻が住んでいるからそこへプロパノールと一緒に行くんだ!塩酸による奇襲で腕を失ったがマーキュリー王を守る為盾となり戦う。君たちは今すぐここから避難するんだ!」
と言った次の瞬間図書館の壁が一気に溶けた。アクリロニトリルと2人はプロパノールの所へと向かう。
「あれだよね、プロパノールのいる所は...」
と言った途端、大きな悲鳴と飛び交う塩酸の砲弾で家中が溶けてしまった。
「プロパノール!」
アクリロニトリルが叫んで走る。
プロパノールは、 腹部を負傷して出血していた。
「アクリロニトリルさん...帰ってきたのね...助けてくれてありがとう。2 人も駆けつけてくれたのね」
「プロパノール、死ぬな!お前がいなくなったら俺はお前なしにどう生きなきゃいけないんだ!いなくなってしまったら俺は...俺は...」
泣き崩れたアクリロニトリルに、プロパノールはその涙を拭って頬に触れて
「私は大丈夫よ...貴方がいてくれたからこうやって楽しい一時を過ごすことができた。この傷はまだ治せる...。フラーレン...貴方の作ったグルコ ースを私に...」
と言ってグルコースをプロパノールの腹部へと当てた。するとどうしたことかグルコースが変貌して傷を塞ぎ血の気の無かったプロパノールの肌に生気が宿る。
「これで大丈夫よ。アクリロニトリルさん、これ...持ってて。あなたの右手失ってるけど治す暇無いよね...。でも私だと思ってこれをあなたの懐に持ってて欲しい」
「ああ、勿論だとも。君が居てくれるだけで元気になれるし回復できる。力が大いに湧いてくる。この戦争を終わらせる。フラーレンとコバルトたちで王水の都にいる僕の友人夫妻、ビニルとエタンのもとへ行くのだ!大丈夫。終わらせたらすぐ戻る」
衛兵がアクリロニトリルに戦況を伝え、前線へ戻った。
2 人は持てるものを持って馬車に乗り王水の都へ急ぐ。 それが元の世界へ戻るための鍵を求める旅の始まりとなった。
そうこうするうちに始まる戦争を前に...。
「見かけない顔だねぇ...ここで働いてるのかい?若い方よ」
1 人のお爺さんから声をかけられる。
使い込まれた杖とボロボロのリュックを背負いながらゆっくりと歩いていた。
「私たちは、別の世界から来た者です。どのようにして元の世界へ戻れるか模索しながらここで働きながら過ごしています」
食い気味に、コバルトはそのお爺さんへ話した。
「それはまた奇遇じゃのぉ...。ワシもお主らと同じなのじゃよ。元の世界へ戻れる方法なら知っておるぞ」
何という偶然だろうか...。徐ろにお爺さんのリュックからとある書物を取り出した。それもとびきり古い書物だ。
「この書物はとある貴族から貰ったものだ。ワシは当時その貴族の秘書としてやっていて今は違う事をしてワシは歳も相当だったからやめたのじゃ」
「ねぇコバルト、この書物なんか見覚えない?なんていうか...元の世界でも学校で使っていたようなそんな気がするの...」
そう言った途端、呼ばれたかのように古い書物から光が溢れ出る。 その中身は見た事のない綺麗な実験用具の数々と3つの液体があった。
「この液体は、とある魔神を呼ぶための儀式の品じゃ。しかしまだこれだけでは無くあと三つ必要としてるものがある」
このお爺さんの正体が何なのか分からずのまま淡々と話を進めていく。それも祖父と孫の関係のように。
「ねぇ、何故見ず知らずの私たちに元の世界へ戻る方法を教えるの? その方法しかないのなら何故お爺さんはその方法を試す事なく私達に教えてるの?」
「ワシはそれをする資格のあるものではないからじゃ。君たちはそれに 選ばれし本当の勇者なのじゃよ」
話が混乱する2 人の中にプロパノールが 2 人の帰りが遅いと思って店の場所へ駆け付けていた。
「あら、まだお客さん来てたのね♪今日は本当に繁盛しますね。2 人のおかげでこんなに稼げてますわ。ありがとうね」
「プロパノールさん、このお爺さんの話聞いてくれませんか?私達、理解が追いつけなくて...」
2人ではお手上げの話をプロパノールがお爺さんの話を一字一句聞き逃さず傍聴する。話を聞き終わったあと気が付けばプロパノールは2人を抱きしめていた。
「フラーレン、コバルト、あなたたちはこの国の勇者になれるかもしれません。もし宜しければ準備の足しになるものがあるのでついてきて下さい」
言われるがままついていくと大きな壁画が彼らを待ち受けていた。
そこにはおじいさんが見せた実験道具と酷似しており、2 人が見た事のあるものだ。
「これは中和滴定に使う器具じゃないですか?でも なぜ...ここは化学の楽園なのになぜ...」
そう思うのも無理はない。何故なら2 人がいる場所は、化学の贅を尽くした化学好きの化学好きによる化学好きのための楽園であるから。
そしてまたお爺さんの持つ実験器具の数々が光り出す。その光と同時に声が聞こえた。
「実験器具を持ちし者よ。汝らには3つの液体を用意せよ。一つはアル カリ王の持つ塩基国の水酸化ナトリウム、一つはアルミ王がいる王水 の都の塩酸、一つはアルコールの先祖が眠る地の酢酸を集めここに 集結せよ。さすれば道が開かれ、願い叶えられん」
「なーんだ、ただの中和滴定なら簡単じゃないか。すぐ集められるよフ ラーレン、準備して明日の早朝に出発しよう」
しかし、お爺さんとプロパノールは怯えていた。
「あのプロパノールさん、 そしてお爺さん、どうされましたか?何故そんなに震えているのですか?」
プロパノールは今にも泣き出しそうな勢いで話をした。
「この三つを求めて戦争を起こし、大変なことになった極悪の戦争が 1000 年前に起きてたの。酢酸については歴史も何もかも無くなり、そ もそも酢酸が手に入るかどうかも分からない。あとの王水の都とアルカ リ王のいる国は今もあるけど彼らは本当に大丈夫なのか誰も知らない」
「コバルト...どうする?情報集めてもまだ遅くはない。だからまだ慌てる時じゃ...」
「そうだね。今は多くの情報を集める必要がある。移動手段もないから考えなければならなさそうだ...」
2人は図書館へと足を運び、情報を集めることにした。
酢酸を手に入れる方法を本や古文書などで調べてみたものも出てくるのは滅亡の話、王水の都滅亡という情報以外全く出てこなかった。そんな中 、
「2人ともそこにいたのか。何を調べているんだい?探したぞ」
2人は 驚いた。なんとそこには右手を失ったアクリロニトリルが2人の前に姿 を現した。
「アクリロニトリルさん、いったい何が起きたのですか?そしてこの傷、とても酷い...すぐ手当てします。コバルト!プロパノールのところへ戻るよ!」
しかしアクリロニトリルは 、
「君たちに伝えなければならないことがある。この国は、もうすぐ戦争に巻き込まれる。王水の都に僕の友人夫妻が住んでいるからそこへプロパノールと一緒に行くんだ!塩酸による奇襲で腕を失ったがマーキュリー王を守る為盾となり戦う。君たちは今すぐここから避難するんだ!」
と言った次の瞬間図書館の壁が一気に溶けた。アクリロニトリルと2人はプロパノールの所へと向かう。
「あれだよね、プロパノールのいる所は...」
と言った途端、大きな悲鳴と飛び交う塩酸の砲弾で家中が溶けてしまった。
「プロパノール!」
アクリロニトリルが叫んで走る。
プロパノールは、 腹部を負傷して出血していた。
「アクリロニトリルさん...帰ってきたのね...助けてくれてありがとう。2 人も駆けつけてくれたのね」
「プロパノール、死ぬな!お前がいなくなったら俺はお前なしにどう生きなきゃいけないんだ!いなくなってしまったら俺は...俺は...」
泣き崩れたアクリロニトリルに、プロパノールはその涙を拭って頬に触れて
「私は大丈夫よ...貴方がいてくれたからこうやって楽しい一時を過ごすことができた。この傷はまだ治せる...。フラーレン...貴方の作ったグルコ ースを私に...」
と言ってグルコースをプロパノールの腹部へと当てた。するとどうしたことかグルコースが変貌して傷を塞ぎ血の気の無かったプロパノールの肌に生気が宿る。
「これで大丈夫よ。アクリロニトリルさん、これ...持ってて。あなたの右手失ってるけど治す暇無いよね...。でも私だと思ってこれをあなたの懐に持ってて欲しい」
「ああ、勿論だとも。君が居てくれるだけで元気になれるし回復できる。力が大いに湧いてくる。この戦争を終わらせる。フラーレンとコバルトたちで王水の都にいる僕の友人夫妻、ビニルとエタンのもとへ行くのだ!大丈夫。終わらせたらすぐ戻る」
衛兵がアクリロニトリルに戦況を伝え、前線へ戻った。
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