2 / 35
理系世界編
2話:グルコース
しおりを挟む
「あの兵隊さんなんでこんなに優しいんだろうね...。コバルトより優しいや」
その一言を聞いたプロパノールは、
「彼は、この国の王マーキュリー王を守る兵隊の団長なの。私が王水の泉に落ちそうになった所を助けてくださったのです。あの時の笑顔は忘れられませんわ。そして誰よりも私を愛し、私を守ってくださっています。その分、私は彼を支えますわ」
と言って、みたこともない機械に何かを書いて作っていた。2 人は不思議そうに見る。
「どうかしましたか?」
「いえ、プロパノールさんが使っているその機械なんだろうと思って...」
「この機械は、糖を作る機械ですの。彼の好きなグルコースを多く作っていますわ。次また戦争が起きるみたいなの...。そこで全ての部隊を 統括する、いわばこの国の隊長として戦うの」
2人は驚いた。
こんなにも化学の宝庫であるこの国が戦争をするなんて一体どうやって?と考えた。
「まぁとりあえず彼の好きなグルコースが出来たわ。良かったら紅茶を飲みませんか?この国では午後のティー タイムは絶対ですから」
コバルトは、素朴な質問をプロパノールに問いかけた。
「あの...この国はなぜ戦争をしなければならないのでしょうか?」
少々表情が暗くなったものも重い口を開いてくれた。
「この国以外にも色々とあって大きく分けると3カ国あるの。一つは物理の国ホイートストンブリッジ、一つは生物の国レセプター、そして、ここ化学の国シャルル国とあるの。元々は仲のいい国同士だったけどとある事件でホイートストンブリッジ国とレセプター国は戦争を起こすようになり、その行末をみてるの」
「でもさ、何でシャルル国も参加しなきゃダメなの?別に悪い事してないのに...。コバルトもそう思うよね?」
コバルトは黙り込んだ。
「コバルト君、もしかして気付いたかしら?この国がなぜ戦争に駆り出されてるのかが...」
「はい。もしかしてですがもう一カ国ありますよね?数学の国、ドモルガンが」
フラーレンはよく分からなかった。数学の国なんて現実世界じゃそもそも存在していないからだ。
「コバルト君、その通りです。なぜそのことを知ってるの?」
驚くことも無理は無い。この国に来てドモルガンの国を知る理由もなければそれとなる決定的な証拠もないのだから。
しかしコバルトは、
「そのヒントが1013hPa という数字です。これは気圧の問題ではよく出ますし、解答するにしても計算をしなければ話になりません。そしてこの国は理想気体で構成されており、それも緻密な計算が出来なければ無理なはずです」
その言葉を聞いて普通ならフラーレンも納得したはずだが、
「ねぇコバルト...君も食べようよグルコース。とても美味しいよ?早めに食べておこうよ。元気出るよ!」
「君は人の話を聞いてないから実験失敗するだろ!少しは自分を変えてよね」
それを聞いてプロパノールはクスッと笑った。
「2人は仲が良いね。若い時の私たちによく似てるよ。懐かしいわ」
グルコースを包みながら2人に言った。 しかし2人は何故か嬉しいではなく何かぽっかりと穴が空いたように感じた。
それもグルコースのように甘い、単純だけど深い何かを感じた。
その一言を聞いたプロパノールは、
「彼は、この国の王マーキュリー王を守る兵隊の団長なの。私が王水の泉に落ちそうになった所を助けてくださったのです。あの時の笑顔は忘れられませんわ。そして誰よりも私を愛し、私を守ってくださっています。その分、私は彼を支えますわ」
と言って、みたこともない機械に何かを書いて作っていた。2 人は不思議そうに見る。
「どうかしましたか?」
「いえ、プロパノールさんが使っているその機械なんだろうと思って...」
「この機械は、糖を作る機械ですの。彼の好きなグルコースを多く作っていますわ。次また戦争が起きるみたいなの...。そこで全ての部隊を 統括する、いわばこの国の隊長として戦うの」
2人は驚いた。
こんなにも化学の宝庫であるこの国が戦争をするなんて一体どうやって?と考えた。
「まぁとりあえず彼の好きなグルコースが出来たわ。良かったら紅茶を飲みませんか?この国では午後のティー タイムは絶対ですから」
コバルトは、素朴な質問をプロパノールに問いかけた。
「あの...この国はなぜ戦争をしなければならないのでしょうか?」
少々表情が暗くなったものも重い口を開いてくれた。
「この国以外にも色々とあって大きく分けると3カ国あるの。一つは物理の国ホイートストンブリッジ、一つは生物の国レセプター、そして、ここ化学の国シャルル国とあるの。元々は仲のいい国同士だったけどとある事件でホイートストンブリッジ国とレセプター国は戦争を起こすようになり、その行末をみてるの」
「でもさ、何でシャルル国も参加しなきゃダメなの?別に悪い事してないのに...。コバルトもそう思うよね?」
コバルトは黙り込んだ。
「コバルト君、もしかして気付いたかしら?この国がなぜ戦争に駆り出されてるのかが...」
「はい。もしかしてですがもう一カ国ありますよね?数学の国、ドモルガンが」
フラーレンはよく分からなかった。数学の国なんて現実世界じゃそもそも存在していないからだ。
「コバルト君、その通りです。なぜそのことを知ってるの?」
驚くことも無理は無い。この国に来てドモルガンの国を知る理由もなければそれとなる決定的な証拠もないのだから。
しかしコバルトは、
「そのヒントが1013hPa という数字です。これは気圧の問題ではよく出ますし、解答するにしても計算をしなければ話になりません。そしてこの国は理想気体で構成されており、それも緻密な計算が出来なければ無理なはずです」
その言葉を聞いて普通ならフラーレンも納得したはずだが、
「ねぇコバルト...君も食べようよグルコース。とても美味しいよ?早めに食べておこうよ。元気出るよ!」
「君は人の話を聞いてないから実験失敗するだろ!少しは自分を変えてよね」
それを聞いてプロパノールはクスッと笑った。
「2人は仲が良いね。若い時の私たちによく似てるよ。懐かしいわ」
グルコースを包みながら2人に言った。 しかし2人は何故か嬉しいではなく何かぽっかりと穴が空いたように感じた。
それもグルコースのように甘い、単純だけど深い何かを感じた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる