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11話:涙とその行方
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連絡を待つ山本だったが、結局連絡どころか件数すらも表示されなかった。
「まぁ、そんな日もあるよね。大山君に聞けば分かるよね」
大山に連絡するとすぐに返信が来た。
「おう!あいつは理系だ。仲間だぞ!」
「ありがとう!よろしくね!」
仲間の大切さに2人は手を組む。いつものように演舞の練習をしてそのまま眠り、朝を迎えた。その朝は何故か騒がしい鳥の鳴き声で山本は気持ちの悪い目覚めをする。
「うるさいなぁ…どうしたのかな。それよりも件数が40件も来てるのは何故?」
山本は愚痴をこぼしながらもその連絡を見る。
「えっと…公式アプリと、担任から事故のお知らせ、演舞の練習内容…そんなもんか。ん?事故のお知らせ!?」
寝ぼけていた顔が一気に目が覚めた。すぐに開けるとその内容は悲惨なものだった。
「18時15分頃に前宮涼太君が自転車の事故により病院へ搬送されました。容態は一刻を争う最悪な状態です。現在は心臓の弁修復手術を終えて、ICUにて懸命に生きています。復帰は分からないです」
あの時連絡が来なかったのは事故が起きていたことで返信を待っても何もしなかった、山本はただ唖然とせざるを得なかった。動揺を隠しきれない中、制服に着替えて学校へと向かう。朝入ると話題はその事故で持ちきりだった。
「なぁ聞いたか?担任今日休みだってよ」
「あんなバカのためにお見舞いとか、この学校も腐れてるわ」
元々いじめられていた前宮は多くの人たちからバカにされて心に傷を負って、一部の教師からも嫌われていた。そのせいで心も病み精神も壊れて何度か山本のもとで相談を受けている。
「まゆっち!今日元気ないね。どうかしたの?」
「なみ…いや昨日前宮君に連絡して全然来ないなと思っててその時間自転車の衝突事故が起きてたなんてと信じられなくて」
不安そうな顔をする山本に守山は明るく声をかける。
「大丈夫だよ。他人ではあるけど、担任もちゃんと言ってたじゃん。修復手術受けて懸命に生きてるって。今は演舞のことに集中しようよ」
「そう…だよね。先生も大丈夫と言ってたから帰ってくるの待とう!」
山本は悲しみを心の奥底へ押し殺し、自分のするべきことをした。
その頃、担任は病院のICU前でガラス越しに懸命に生きようとする前宮の様子を伺う。前宮は心臓の三尖弁が衝撃で損傷を起こし、形成術を受けていた。胸中切開のためその傷はとても大きい。
「自転車衝突でこんなことになるなんて…。でも、心電図は動いてるから問題無さそう。私もそろそろ学校へ戻ろうかな。みんな待ってるだろうから試験の範囲は狭めれないからね」
何も出来ず、担任は背中で語り学校へと向かった。何も言えないのもそのはず、前宮の心音が回復するまで何度も電気ショックが行われ、形成後も複数回電気ショックを行って脈拍回復したからだ。
一方その頃…
「もっと足開いて!期間外だからって容赦しないよ」
「痛いよ…これ以上足を開けたら見えちゃうから嫌だ!」
「文句言わないの!まゆっちはそんなところがあるから成長しないんだから」
守山とのマンツーマンで演舞の練習に励んでいた。しかし、一つの練習ごとに涙が込み上がる。その涙一粒流す度にに守山は鞭を打つ。
「泣く暇なんてあるか!泣くから出来ない。いくじなし、弱虫、何してもダメ。そんなんじゃ成功するはずもない」
「もう嫌だよ…泣くくらいいいじゃん…。なんで泣いたらダメなのさ」
精神壊れる山本。泣きながらの練習が終わると守山は抱きつく。
「怒ってごめん。でもあんなに泣いてたの初めて見た…。やっぱり心配なの?」
「うん…」
山本の心境が分からず、自分がした事が正解なのかどうか分からない守山だった。
「まぁ、そんな日もあるよね。大山君に聞けば分かるよね」
大山に連絡するとすぐに返信が来た。
「おう!あいつは理系だ。仲間だぞ!」
「ありがとう!よろしくね!」
仲間の大切さに2人は手を組む。いつものように演舞の練習をしてそのまま眠り、朝を迎えた。その朝は何故か騒がしい鳥の鳴き声で山本は気持ちの悪い目覚めをする。
「うるさいなぁ…どうしたのかな。それよりも件数が40件も来てるのは何故?」
山本は愚痴をこぼしながらもその連絡を見る。
「えっと…公式アプリと、担任から事故のお知らせ、演舞の練習内容…そんなもんか。ん?事故のお知らせ!?」
寝ぼけていた顔が一気に目が覚めた。すぐに開けるとその内容は悲惨なものだった。
「18時15分頃に前宮涼太君が自転車の事故により病院へ搬送されました。容態は一刻を争う最悪な状態です。現在は心臓の弁修復手術を終えて、ICUにて懸命に生きています。復帰は分からないです」
あの時連絡が来なかったのは事故が起きていたことで返信を待っても何もしなかった、山本はただ唖然とせざるを得なかった。動揺を隠しきれない中、制服に着替えて学校へと向かう。朝入ると話題はその事故で持ちきりだった。
「なぁ聞いたか?担任今日休みだってよ」
「あんなバカのためにお見舞いとか、この学校も腐れてるわ」
元々いじめられていた前宮は多くの人たちからバカにされて心に傷を負って、一部の教師からも嫌われていた。そのせいで心も病み精神も壊れて何度か山本のもとで相談を受けている。
「まゆっち!今日元気ないね。どうかしたの?」
「なみ…いや昨日前宮君に連絡して全然来ないなと思っててその時間自転車の衝突事故が起きてたなんてと信じられなくて」
不安そうな顔をする山本に守山は明るく声をかける。
「大丈夫だよ。他人ではあるけど、担任もちゃんと言ってたじゃん。修復手術受けて懸命に生きてるって。今は演舞のことに集中しようよ」
「そう…だよね。先生も大丈夫と言ってたから帰ってくるの待とう!」
山本は悲しみを心の奥底へ押し殺し、自分のするべきことをした。
その頃、担任は病院のICU前でガラス越しに懸命に生きようとする前宮の様子を伺う。前宮は心臓の三尖弁が衝撃で損傷を起こし、形成術を受けていた。胸中切開のためその傷はとても大きい。
「自転車衝突でこんなことになるなんて…。でも、心電図は動いてるから問題無さそう。私もそろそろ学校へ戻ろうかな。みんな待ってるだろうから試験の範囲は狭めれないからね」
何も出来ず、担任は背中で語り学校へと向かった。何も言えないのもそのはず、前宮の心音が回復するまで何度も電気ショックが行われ、形成後も複数回電気ショックを行って脈拍回復したからだ。
一方その頃…
「もっと足開いて!期間外だからって容赦しないよ」
「痛いよ…これ以上足を開けたら見えちゃうから嫌だ!」
「文句言わないの!まゆっちはそんなところがあるから成長しないんだから」
守山とのマンツーマンで演舞の練習に励んでいた。しかし、一つの練習ごとに涙が込み上がる。その涙一粒流す度にに守山は鞭を打つ。
「泣く暇なんてあるか!泣くから出来ない。いくじなし、弱虫、何してもダメ。そんなんじゃ成功するはずもない」
「もう嫌だよ…泣くくらいいいじゃん…。なんで泣いたらダメなのさ」
精神壊れる山本。泣きながらの練習が終わると守山は抱きつく。
「怒ってごめん。でもあんなに泣いてたの初めて見た…。やっぱり心配なの?」
「うん…」
山本の心境が分からず、自分がした事が正解なのかどうか分からない守山だった。
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