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第3章. 親が子に、子が親に捧げる日々
46. 深い夜が明ける
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レティアはレイピアに鋭い風を纏わせ、真っ直ぐにヴァレリアに向けた。
「覚悟しなさい」
そう言ってレティアは飛び出し、ヴァルトを狙う。軽やかにジャンプして、空中回転しながら斬りつけた。
ヴァルトはエレスリンネで刃を受けて弾き飛ばし、そのまま左手を上に掲げた。すると、魔力が百萬の針状に固まり始める。
「貴様はセルナスト王族の血を引く者として相応しくない。消えろ!」
ヴァルトが手を思い切り振り下ろすと、針がレティアの方に向かっていった。
レティアは飛び上がってレイピアを振ると、風が巻き起こって針を切り裂き、消し去った。
「仲間は皆退避している。だから、これからは大規模な攻撃をしても問題ない」
さっと手を振って空中に、風の足場を作り出し、軽やかに駆け上がった。舞うように動き回っている。そして、竜巻のような鋭い風でヴァルトを攻撃する。
ヴァルトは風を避けながら、思い切りジャンプしてレティアに近づき、反撃している。
立体的な攻撃か、レティアのさすがの技術だな。美しい。
レクロマは、シアを両手で構えて魔力を注ぎ込んだ。
「普通に戦うだけではヴァルト・ヘイムとあの娘には勝てない。初めから全力で行く──シア、頼む」
「えぇ、暁光ね……」
シアがそう言うと、レクロマの姿は消えた。だが、レクロマの目の前にはもう一人のレクロマがいる。つまりは光の操作で分身を作り、そっちに気を取られている間に隠れて殺ってしまおうという作戦だ。
分身は走ってエリネの方へ向かっていた。その隙に、レクロマは4枚の翼を出して飛び上がった。魔力の翼では、羽ばたいても音は出ない。
レクロマは天高く舞い上がり、天に向けて思い切り左手を伸ばして、右手からシアに魔力を注ぎ込む。すると、周囲30メートルほどで光が瞬き始めた。
分身は真正面からエリネに向かっていき、剣を構えた。エリネは不審そうに周りを見回しながら、大事をとって一応受けの姿勢を取った。
「不審……胡乱……怪訝……」
レクロマが左手を天に向けて掲げると、どこからかこぼれ落ちた光の筋が幾重にも屈折して次第にまとまっていった。その光は時を経るごとに、次第に眩さを増していく。
エリネにもヴァルトにも見えていないようだ。エリネは、分身が剣を振り下ろすのに対して左手で受け止めようとしたが、剣は止まらずエリネの体を通り過ぎていった。
「幻影……錯覚……虚像……」
エリネは辺りを見回して、すぐにレクロマと目が合った。
あいつからは見えてないはずなのに。
「発見……敵人……処理……」
エリネは体中をポキポキと鳴らして、肩肘を張った。仰け反って背骨を鳴らした。手を使わずに、器用に首、肘、手の指、足の指を鳴らした。まるで踊っているかのようだ。
前傾姿勢になって右手を後ろに構えた。そのまま右手に魔力を集めて魔力の爪を作り出し、右手を後ろから前に振り下ろした。
「レクロマ! 避けて!」
シアが叫ぶと、レクロマは理由を考えることもなく瞬時に上に避けた。
「何が──」
その瞬間、魔力の斬撃がレクロマがいた場所を切り裂いた。
「すごいな……俺の場所は見えてないはずなのに。だが……俺の反撃の開始だ」
レクロマが手をエリネに向けて払い落とすと、光は瞬きを止め、完全に棒状へとまとまった。
「耀け──」
そのまま、超光速の何十本もの光芒がエリネへ向かっていった。
「覚悟しなさい」
そう言ってレティアは飛び出し、ヴァルトを狙う。軽やかにジャンプして、空中回転しながら斬りつけた。
ヴァルトはエレスリンネで刃を受けて弾き飛ばし、そのまま左手を上に掲げた。すると、魔力が百萬の針状に固まり始める。
「貴様はセルナスト王族の血を引く者として相応しくない。消えろ!」
ヴァルトが手を思い切り振り下ろすと、針がレティアの方に向かっていった。
レティアは飛び上がってレイピアを振ると、風が巻き起こって針を切り裂き、消し去った。
「仲間は皆退避している。だから、これからは大規模な攻撃をしても問題ない」
さっと手を振って空中に、風の足場を作り出し、軽やかに駆け上がった。舞うように動き回っている。そして、竜巻のような鋭い風でヴァルトを攻撃する。
ヴァルトは風を避けながら、思い切りジャンプしてレティアに近づき、反撃している。
立体的な攻撃か、レティアのさすがの技術だな。美しい。
レクロマは、シアを両手で構えて魔力を注ぎ込んだ。
「普通に戦うだけではヴァルト・ヘイムとあの娘には勝てない。初めから全力で行く──シア、頼む」
「えぇ、暁光ね……」
シアがそう言うと、レクロマの姿は消えた。だが、レクロマの目の前にはもう一人のレクロマがいる。つまりは光の操作で分身を作り、そっちに気を取られている間に隠れて殺ってしまおうという作戦だ。
分身は走ってエリネの方へ向かっていた。その隙に、レクロマは4枚の翼を出して飛び上がった。魔力の翼では、羽ばたいても音は出ない。
レクロマは天高く舞い上がり、天に向けて思い切り左手を伸ばして、右手からシアに魔力を注ぎ込む。すると、周囲30メートルほどで光が瞬き始めた。
分身は真正面からエリネに向かっていき、剣を構えた。エリネは不審そうに周りを見回しながら、大事をとって一応受けの姿勢を取った。
「不審……胡乱……怪訝……」
レクロマが左手を天に向けて掲げると、どこからかこぼれ落ちた光の筋が幾重にも屈折して次第にまとまっていった。その光は時を経るごとに、次第に眩さを増していく。
エリネにもヴァルトにも見えていないようだ。エリネは、分身が剣を振り下ろすのに対して左手で受け止めようとしたが、剣は止まらずエリネの体を通り過ぎていった。
「幻影……錯覚……虚像……」
エリネは辺りを見回して、すぐにレクロマと目が合った。
あいつからは見えてないはずなのに。
「発見……敵人……処理……」
エリネは体中をポキポキと鳴らして、肩肘を張った。仰け反って背骨を鳴らした。手を使わずに、器用に首、肘、手の指、足の指を鳴らした。まるで踊っているかのようだ。
前傾姿勢になって右手を後ろに構えた。そのまま右手に魔力を集めて魔力の爪を作り出し、右手を後ろから前に振り下ろした。
「レクロマ! 避けて!」
シアが叫ぶと、レクロマは理由を考えることもなく瞬時に上に避けた。
「何が──」
その瞬間、魔力の斬撃がレクロマがいた場所を切り裂いた。
「すごいな……俺の場所は見えてないはずなのに。だが……俺の反撃の開始だ」
レクロマが手をエリネに向けて払い落とすと、光は瞬きを止め、完全に棒状へとまとまった。
「耀け──」
そのまま、超光速の何十本もの光芒がエリネへ向かっていった。
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