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第1章. 動き始める時
11. 破壊の魔者アルド・ベリオール
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ミックスサンドを食べながら移動していると、遠くからグヴァァァァアアアアンという鳴き声と地鳴りが聞こえる。
「アルド・ベリオール……。すごく近いね」
その瞬間、周囲が影に覆われた。目の前で、黒い巨大な魔者が爪を立てている。
「来たよ」
レクロマは碧い目を見開いて結界魔法を使い、アルド・ベリオールの攻撃を防いだ。目を見開けば、多少の魔法は使える。アルド・ベリオールは大きな爪で何度も引っ掻いてくる。これじゃ結界は長くは持たない。レクロマは結界があるうちに急いでペスカトーレパスタサンドを飲み込んだ。
「降ろすよ。それじゃ、頑張って」
シアは落ち着き払って俺を降ろして右手を握り、剣となった。アルド・ベリオールの黒い鱗の前では、シアが放つ青い光が良く映える。
この3年間、走る練習だってしてきた。アルド・ベリオールの動きに付いて行くくらいはできるはずだ。
しかし、かなり大きい。全高は5メートルくらい、全長に関しては8メートル以上ありそうだ。黒い鱗が生えたオオカミのようだ。真っ黒い鱗なのに、眼だけは燃えるような赤色に光っている。
「大きい上に動きも速い。魔法で動きを止めてから攻撃して」
「あぁ、わかった」
俺はアルド・ベリオールの爪の攻撃を後ろに跳んで避けながら、手を開いて左腕を上から振り下ろした。
すると、どこからともなく現れた電雷がアルド・ベリオールを貫いた。一瞬動きを止めたが、無傷で何もなかったようにこっちに向かってくる。
「やっぱり強いな。あの雷を受けて怪我もしないのか」
色々試してみるしかないのか。
腕を右から左に振り払って火を放った。土の上でも燃え続けている。
アルド・ベリオールは熱そうに叫んだが、すぐに空高くに跳ね上がって岩の上に飛び乗った。そして、岩の上で俺たちを威嚇するように雄叫びをあげた。
グヴォォォオオオオオオオッ……
耳がっ……張り裂けそうだ。耳を塞いで防いでも、頭を突き刺すように響いてくる。
レクロマが左手を開いてアルド・ベリオールに向かって突き出すと、長さ1メートルもありそうな氷柱が10本空中に現れた。
「初めて魔法を使った時には小さな氷柱を2本出しただけで動けなくなってたのに、本当に成長したね、レクロマ」
「確かに、3年前は操作なんてできずに必死にもがいていただけだ。でも、今は違う。それに、今はレディンさんたちのためにも絶対に負けるわけにもいかない」
レクロマは左手の親指だけを折る。すると、空中に浮かんでいた10本の氷柱のうちの2本がアルド・ベリオールに向かって飛んで行った。飛んでいる氷柱の動きを操作して、アルド・ベリオールを追いかけていく。
アルド・ベリオールは氷柱に向かって行き、右前足で払い除けた。しかし、その前足には氷が付着している。アルド・ベリオールの動きは遅くなっている。氷が邪魔で右前足が動かなくなったようだ。
「このままいけば倒せるよ」
「気を抜いちゃだめよ。相手はあのアルド・ベリオールなんだから」
「わかってる。すごく強いのは感じるよ」
レクロマは氷柱の一つに飛び乗って、バランスを取る。左手の指を全て折り曲げ、拳を握った。すると残っていた8本の氷柱はアルド・ベリオールに向かって高速で飛んでいく。そしてシアを構えたまま、左手で氷柱の先端を掴んだ。
「これで、終わらせる」
俺は氷柱がアルド・ベリオールに当たる直前で飛び上がり、シアを両手で持って体を翻した。氷が弾けて光を拡散させていく。それがとても美しい。その魔法の美しさに魅入っていた。
氷柱は全て体に張り付いて動きが止まった。それでも氷が張り付いていない左前足でレクロマを握り潰そうと掴みかかって来る。
「くそっ、本当に強いな。ここで倒しきるつもりだったのに」
レクロマは空中で攻撃をかわして、シアで左前足を切り落とした。アルド・ベリオールは凍りついた体を必死に動かそうとしながら、弱々しい雄叫びをあげ続ける。
「これでもう動けないだろ」
それでもまだ、アルド・ベリオールは俺の方を向いて睨みつけてくる。
「レクロマ、気を付けて。まだ何か来る」
アルド・ベリオールは動かないはずの体をぎこちなく動かし始めた。後ろ足2本で立ち、両前腕を後ろに大きく広げて胸を張る。アルド・ベリオールの鱗は微小な振動を始め、飛び出した。しかも、ただ飛んでいるだけではない。全てがレクロマに向かって飛んで来ている。
「自分の意思で動かしているのか」
レクロマは急いで立膝になって左手を振り上げる。すると、地面が迫り上がって土の壁となった。アルド・ベリオールの鱗は次々と壁に突き刺さり、動きを止めてゆく。
「さすがに強いな。あんな手を残してるなんて」
「少し距離を取って。このままだと少し分が悪いよ」
「アルド・ベリオール……。すごく近いね」
その瞬間、周囲が影に覆われた。目の前で、黒い巨大な魔者が爪を立てている。
「来たよ」
レクロマは碧い目を見開いて結界魔法を使い、アルド・ベリオールの攻撃を防いだ。目を見開けば、多少の魔法は使える。アルド・ベリオールは大きな爪で何度も引っ掻いてくる。これじゃ結界は長くは持たない。レクロマは結界があるうちに急いでペスカトーレパスタサンドを飲み込んだ。
「降ろすよ。それじゃ、頑張って」
シアは落ち着き払って俺を降ろして右手を握り、剣となった。アルド・ベリオールの黒い鱗の前では、シアが放つ青い光が良く映える。
この3年間、走る練習だってしてきた。アルド・ベリオールの動きに付いて行くくらいはできるはずだ。
しかし、かなり大きい。全高は5メートルくらい、全長に関しては8メートル以上ありそうだ。黒い鱗が生えたオオカミのようだ。真っ黒い鱗なのに、眼だけは燃えるような赤色に光っている。
「大きい上に動きも速い。魔法で動きを止めてから攻撃して」
「あぁ、わかった」
俺はアルド・ベリオールの爪の攻撃を後ろに跳んで避けながら、手を開いて左腕を上から振り下ろした。
すると、どこからともなく現れた電雷がアルド・ベリオールを貫いた。一瞬動きを止めたが、無傷で何もなかったようにこっちに向かってくる。
「やっぱり強いな。あの雷を受けて怪我もしないのか」
色々試してみるしかないのか。
腕を右から左に振り払って火を放った。土の上でも燃え続けている。
アルド・ベリオールは熱そうに叫んだが、すぐに空高くに跳ね上がって岩の上に飛び乗った。そして、岩の上で俺たちを威嚇するように雄叫びをあげた。
グヴォォォオオオオオオオッ……
耳がっ……張り裂けそうだ。耳を塞いで防いでも、頭を突き刺すように響いてくる。
レクロマが左手を開いてアルド・ベリオールに向かって突き出すと、長さ1メートルもありそうな氷柱が10本空中に現れた。
「初めて魔法を使った時には小さな氷柱を2本出しただけで動けなくなってたのに、本当に成長したね、レクロマ」
「確かに、3年前は操作なんてできずに必死にもがいていただけだ。でも、今は違う。それに、今はレディンさんたちのためにも絶対に負けるわけにもいかない」
レクロマは左手の親指だけを折る。すると、空中に浮かんでいた10本の氷柱のうちの2本がアルド・ベリオールに向かって飛んで行った。飛んでいる氷柱の動きを操作して、アルド・ベリオールを追いかけていく。
アルド・ベリオールは氷柱に向かって行き、右前足で払い除けた。しかし、その前足には氷が付着している。アルド・ベリオールの動きは遅くなっている。氷が邪魔で右前足が動かなくなったようだ。
「このままいけば倒せるよ」
「気を抜いちゃだめよ。相手はあのアルド・ベリオールなんだから」
「わかってる。すごく強いのは感じるよ」
レクロマは氷柱の一つに飛び乗って、バランスを取る。左手の指を全て折り曲げ、拳を握った。すると残っていた8本の氷柱はアルド・ベリオールに向かって高速で飛んでいく。そしてシアを構えたまま、左手で氷柱の先端を掴んだ。
「これで、終わらせる」
俺は氷柱がアルド・ベリオールに当たる直前で飛び上がり、シアを両手で持って体を翻した。氷が弾けて光を拡散させていく。それがとても美しい。その魔法の美しさに魅入っていた。
氷柱は全て体に張り付いて動きが止まった。それでも氷が張り付いていない左前足でレクロマを握り潰そうと掴みかかって来る。
「くそっ、本当に強いな。ここで倒しきるつもりだったのに」
レクロマは空中で攻撃をかわして、シアで左前足を切り落とした。アルド・ベリオールは凍りついた体を必死に動かそうとしながら、弱々しい雄叫びをあげ続ける。
「これでもう動けないだろ」
それでもまだ、アルド・ベリオールは俺の方を向いて睨みつけてくる。
「レクロマ、気を付けて。まだ何か来る」
アルド・ベリオールは動かないはずの体をぎこちなく動かし始めた。後ろ足2本で立ち、両前腕を後ろに大きく広げて胸を張る。アルド・ベリオールの鱗は微小な振動を始め、飛び出した。しかも、ただ飛んでいるだけではない。全てがレクロマに向かって飛んで来ている。
「自分の意思で動かしているのか」
レクロマは急いで立膝になって左手を振り上げる。すると、地面が迫り上がって土の壁となった。アルド・ベリオールの鱗は次々と壁に突き刺さり、動きを止めてゆく。
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