剣導部

全国大会本戦前、忍び寄る影

51話 愛の星と射手の天使さま

51話　愛の星と射手の天使さま


それからアッチ達は人生初のズル休みを満喫した。
変わったことがあるとすればそれはご飯作り担当はアッチになって布団をくっつけて寝るようになっただけ。他はいつも通りなんだ。

そして今日が約束の14日目。そのお昼時のことだった。

ねえあかりん、今日はその…お外で食べない？

アッチの料理に飽きちゃったの…？

違うわ、断じて。いつも作らせて申し訳ないから。いい？

うん、そういうことなら全然おっけー。どこで食べよっか？

うーんと…あの、あかりん？


ん？どしたかすみん、あっ！アッチにおまかせかな～？

そうそれ、それでお願いできる？

まかせてよ！ならいいところ知ってるからそこ行こう！少し歩くけどいい？


ええ平気よ。行きましょう。

アッチとかすみんは少し遠いけど美味しいお店、リーダーに教えてもらったお店に向かうことにした。


少し、とは聞いたけどこれは…結構遠くない？


ごっ、ごめん～。アッチもここまで遠いなんて……。

けどもう少しだから！ね？ね？？

うん、わかった。

（たしか普遍湊高校の近くって言ってたしもうすぐだよね…？）

得体のしれない不安に思考を支配されかけながらアッチとかすみんは歩いた。

それから10数分したところに、そのお店はあった。

ふぅぅ～！！着いたあっ！！

だね。早速食べよ？わたくしお腹空いちゃった。

アッチも～！ささっ、いこういこう！！

ガラガラガラ…

いらっしゃ～い。あれ？君たちあれじゃない？万条神住とその仲間

だよね？？


ええ。ですがわたくしのあかりん…明音のことをその他扱いはやめていただけると。それとわたくしは神住で結構です。姓は不要です。

おっと、すまない。
ウチは―――
伊刺末利（いさし　まつり）さんですね。

あれ～？ウチってば有名人？



ですね。少なくともわたくしは存じております。自由奔放な剣を振るう道化師だと。


あら、よく知ってるね～！けど道化師？ってのは褒め言葉ではないよね、おそらく

ええ。基より賞賛の意図はございませんので。
それはそれとして、末利さんはなぜ大会に出場なさらないのです？貴女ほどの実力があれば決勝進出も夢ではないのに。

あくまで優勝は逃すって言うのだね。う～んとねえ？興味がない、かな。勝つことではなく楽しむことを第一に剣導してるから、バチバチの立会はしたくないのよ～。ごめんね？


左様ですか。……いえ、お気になさる事ではありませんからそれは。

そう？ありがとね。あとさ？神住はなんで出ないの？大会
見てたけど立会に出てなかったよね～？なんでさ


わかりにくい事情がありますが一言で言えば出場停止です。会場へ向かう最中、傷害事件を起こしてしまい出場停止、それをネタに学校に退学処分を下されました。今は天神高校へ編入して授業と部活動に励んでおります。


うへえ…中々重い事情があったんだね…。なんかごめん


いえ、それもお気になさらず。父から距離を置くことができましたし、悪いことだけではありませんので。


そうなの？そこはよかったね。


ええ。

あっ、あの！！


ん？？何した彼女さん～？


ご飯食べに来たんだけど！注文いい？あとアッチは明音だよ～！


あっ！そうだったね～、ごめんごめん～！
何にする？美味しいのいっぱいあるよ！！


アッチ達のリーダー、春途が食べたのを食べたい！


おっけー！今作るからそこ座ってて～！
神住は？どうするよ

わたくしはお肉がいいです。


なら焼き肉定食とかどう？


それでお願いします！


おっけ！座って待っててね～

そういうと末利は厨房へ入っていった。


末利の末利によるかすみんとあかりんの為のくっきんぐ！

まつりん⭐くっきんぐ！！


イワシのお刺身定食

材料

イワシのブロック…あるてーど

千切りの大根…まあまあ

ごはん…大盛りでしょそれは

お汁もの…コンソメスープかな～

①　イワシをなあなあに切る！

②　大根を細くして更に盛り付ける

③　大根の上にイワシのお刺身を盛り付ける

④　ごはん盛り付けてコンソメスープも付ける

⑤　出来立てごはんとともに召し上がれ！


焼き肉定食

材料

豚肉…360g（今回は500g）

継足しの焼肉のタレ…お肉による

味噌汁…おかわり自由の自家製

ごはん…大盛り大盛り♪

①　フライパンに油を敷いて適当に肉入れて焼く！

②　焼けたら皿に移してタレを掛ける

③　ご飯よそって味噌汁フリーズドライして召し上がれ


さあどうぞ♪

いただきます。

いっただきまーすっ！！

もぐもぐもぐ…美味しい…。

はむっ、むふふ～♪美味しい～☆彡

美味い？よかった～

それで神住？


はい？どうかしましたか？

あのさ、明音と神住はラブラブなんでしょ？
いつからなの？最近？？

えっとそれは……恥ずかしいです…。

教えてよ～！お姉さん気になっちゃう♪

…きん


ん？なんて？？

……最近です。丁度、天神高校へ転入した頃です。
同棲はその少し前からしておりましたが、付き合い始めたのは最近ですよ。これでいいですか？



うんうん♪お熱いねえ！
キスはもうしたの～？


………………


え～？まだなのかい？全く！最近の若いのは………



しました。それ以上のことも、です。



……ほえ？それ以上のコト？？
熱々というかトロトロだねえ……。


さあ食べ終わったかな？なら会計ね……こっちおいで！

はい。今行きま――


ノンノン、神住じゃなくて明音だよ。ほらおいで


わかったー。行ってくるね神住

うん。あ、これ代金

ありがと～♪


ねえねえ明音？あの話マジ？


うん、そうだよ。したことあるっていうかほぼ毎日
テカテカのホカホカになるまで、いいや違うか。気を失うまで続ける日が多いかなあ。


…なんか切り出したウチが言うのもあれだけどさ？
ここ飯屋だよ？そんな話していいの？

ホントにそれ。言い出しっぺが言うのはアレだよホント


う～～ん………キスの話だけだったんだけども…。まあそうだね。ごめんありがとう、末永くラブラブしちゃってね～！


うんもちろん！

わたくしは何か。2人で盛り上がっているなと、認識するだけして踏み込まなかった。

そのせいか悶々とした状態でお店を出た。すると辺は茜色に染まり、周囲を染め上げていた。

間もなく辺を静寂の黒が支配することを告げているようにも思える。


帰ろっか、かすみん

ええ、あかりん


帰り道には星が、わたくし達を照らしている。それはまるで生涯離れることのない固い愛で結ばれた2人を祝福しているようだった。