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召喚獣の三つの条件

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魔法量の話をして召喚獣の呪文の話をして、次に面談を依頼してアーロ殿下は即決承認だった。でもしかしはフルナールのノア殿下だ。でも、僕ではなぁ~、しかしながら魔法分からないからな~、のらりくらりでこれが本性なのかも。マチアス殿に頼みますかと話を振るとマチアス!アンドレア殿下からの依頼だ、引き受けてくれるよな!とまあこんな調子でフルナールはマチアス殿での面談となる。



召喚獣の魔法はうまく思うように操ることができれば強大な戦力になる。召喚した獣が味方を攻撃することも十分にあり得るわけで油断がならない。それは召喚魔法を唱えて操っている魔法使いを信用できるかの判断になる。強力な召喚獣の魔法を伝えて最悪戦場で裏切ることがあったなら、確実にその戦いは負ける。今度挑もうとするルーシアとの決戦で裏切り行為が発生すれば三か国とも無くなるわけである。桁違いの魔法量を持つ魔法使いとは面談して十分な信頼関係を持たないといけないのだ。



私は二人が担当で一人ずつ呼び出して話をする。一人は男性二十六歳性格お調子者で面談をすると緊張した様子で先日の陛下三名の演説で国を思う気持ちが高まりボールドを守りたいと真剣な様子で話してくれた。もう一人は女性で十九歳性格は強い頑固な堅物で面談では真面目な様子で終始ボールドへの忠誠を語ってくれた。二人とも魔法切れの経験は一度もない。



面談の結果をルカに伝えて書類に起こしてもらう。アーロ殿下とマチアス殿も面談が終わり戻って見えた。うんざりしたような表情が含まれるような疲れた様子がうかがえる。
「お疲れ様です。いかがでしたでしょうか?ボールドではお調子者と真面目堅物でしたが召喚獣の対象になると思われました。後ほど皆さんで協議していただきたいと思います」



アーロ殿下は珍しく話しにくそうな雰囲気で口を開いた。
「二人はいいのだが、三人目の男性は過激な行動を取る可能性がある。思想が偏っている感じを受けた。力さえあれば何でもできる、可能にすると口走るのだ」
マチアス殿も重そうに口を開いた。
「フルナールでも二人は召喚獣の対象になると思われる人物ですが、一人は問題です。もとから単独行動が好きな勝手な行動をとる兵士で協調性がなく召喚獣の強力な魔法は与えるのは危険と感じます」



テーブルのまわりに座り重苦しい雰囲気の中にある人物が入ってきた。
「陛下からお土産をお持ちしましたぞ、アーロ殿下」
「お疲れ様です。宰相閣下。紹介する、ハンド―ラの宰相アーサー閣下です」
「アンドレア殿下とルカ殿、ノア殿下とマチアス殿よろしく」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
「召喚獣の魔法についての情報です。魔法量が三倍必要なのはフルナールからの情報共有をもらいました。感謝申し上げます。ハンド―ラの大魔法使いマクシミリアンの残した日記から情報を得ることができました。一般的な魔法と召喚獣の魔法の独特の組み合わせを解析してマクシミリアンは我が国でのトップの魔法使いに躍り出ました。そのマクシミリアンしか理解していなかった組み合わせを見破ったものが現れたのです」



「誰ですか?その人物は?」
「ハンド―ラに家族ごとルーシアから十五年前に逃げてきた魔法使い兼魔法研究者のアルジャーノンです。呪文を書き出して説明してもらった資料です」
「宰相閣下、失礼ながら信用できる人物ですか?」
「アーロ殿下はお会いしたことないですな。王宮軍の奥の部屋の研究している部屋にずっといますけどご存じないと思われます。リッキー隊長とケイト隊長はご存じですね」
「はい、いつも陰気な感じのする人物で最低限の会話しかしたことないですな」
「私も魔法のことは習いましたし何でも教えてくれる先生ですが、世間話は皆無です」
「なら信用します。ルーシアの出身が気になったので」
「気持ちはわかりますが、十五年前からルーシアとは縁が切れております故心配なかろうと判断いたしております」



「これで二つ目の条件が揃いました。あと一つですな」
「宰相?条件が三つとはいつそんな話になりましたか?」
「すまんの。こちらの話が先だった。一つ目は魔法量が三倍で二つ目がマクシミリアンの呪文で三つ目がボールドから情報を宰相マッティア閣下がお持ちになる予定だ」
「承知いたしました。ではいつ頃でしょうか?」
「今日出発されていらっしゃるから明日の朝には到着されるだろう。今日は夕飯にして終わろう。フルナールの宰相アンドレ閣下も明日の夕方には到着される予定だ」



部屋に戻りルカとのんびりしていると来客があった。マチアス殿がワインを持ってきていた。よろしければノア殿下もお連れしてよろしいでしょうかと聞くので構いませんよと、ただし、部屋の前に兵士はいてもらいますからと。身分からすれば当たり前だ。



「やあ!アンドレア!ワインとビールを持ってきた。グルートビールって知ってるか?」
「こんばんは。ノア殿。知りません」
「ノアって呼んでよ」
「義理兄になる方に呼び捨てはできませんよ」
「ノア兄にしよう。いい?それでグレートビールってハーブとかペパーミントや月桂樹を入れて苦みや風味を与えた酒で保存できる期間が長くなるのだ。僕のお気に入りはペパーミントなのだけど飲んでみて」
「ありがとうございます。ルカももらってみよう。ビールにハッカの感じがスッとして暑い時期にはいいかもですね」
「そう思う?よかった。アーロ殿下も誘ってみようぜ。お酒飲めるよな?」
「私が行ってきます」
「ルカ殿、なら私も行きます」
「ルカにマチアス殿頼めるか?」



ノア殿下と二人となった私は正直にノア殿下の妹で私の妻のアンナ王女への手紙が一向に進まないことを愚痴として聞いてもらっていた。セントアイに来てから手紙は五行で終わったまま。文章が書けなくなってしまったのかと悩むくらいに落ち込んでいた。ノア殿下は笑い飛ばし、あんなお転婆な女には強く書いてくれ、俺に惚れさせるから会うまで楽しみにしとけ!と書けば大丈夫だとやけに一人で盛り上がる。話半分に聞いておいて真剣に書かないといけない。



「アーロ殿下お見えになりました」
「今晩は。誘ってもらってありがとう」
「グルートビールって知ってる?僕はねペパーミントのが好きで飲んでみて」
「俺はハーブのが好きですね、これははじめてでスッとして美味しいな」
「また今度ハーブの飲ませてよ。今日はペパーミントのグルートビールとフルナールのワインはたくさん持ってきたからゆっくり飲んで話しようよ」
「皇太子三人の飲めるのは幸せですね。楽しみましょう。ルカにマチアス殿もここでは身分関係なしでいこうな!」
二人の殿下も右手を上げて賛成する。貴重な時間がスタートした。



話したり腕相撲したり歌を歌ったりと騒がしい時間を夜が更けるまで楽しんだ。満月の月が空のてっぺんに近くなりお開きを申し出たところノア殿下がまだまだと言い出した。想定内ではあるが、酔っ払いには難しいかもしれない。アーロ殿下にはお帰り頂いてここの三人で引き受けるか。アーロ殿下に話すると、五人で雑魚寝をしようと言い出した。みんなで寝れば解決するだろうとの決断は賛成だ!



「この部屋でみんな寝ようか!話足りないことは明日もあるから、今日はここで一緒に寝よう。夜具は用意してもらうけどいいか?」
「は~い」
ノア殿下も明日もあるからか一緒に寝るからかここで寝ることに同意した。
狭いけど酒臭いけど雑魚寝ははじめての経験だが寝よう、明日がある。



翌朝、目が覚めると狭いけど窮屈の中に一体感が生まれた。私が起きるとみんな起きだした。おはようをお互いにしながら、それぞれの部屋に帰っていった。




ボールドの宰相マッティアが召喚獣の三つ目の情報を持って到着した。



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