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三つの国の国王集結す

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宰相アーサー殿からの質問に戸惑っていた。
国の将来を左右する問題に皇太子の身分で何も決めることはできない。そんな存在で王宮軍の精鋭に説明して理解を得られるだろうか?アーロ殿下も同じ考えをお持ちだろうか?


「僭越ながら申しあげます。皇太子の身分では国の重要事項への決定をできる権限は持ちようもなく、その身分での精鋭の王宮軍への説明では理解が得られないと思われます」


「アンドレア殿下、ありがとうございます。アーロ殿下も同様の意見でしてフルナールのルカ殿下の意見をいただこうかと思っていたところでした。アンドレア殿下の意見を反映致しますと皇太子での説明ではなく、国王陛下での説明を考慮したいと思います」
「陛下三人に来ていただくわけですか?」
「そうなりますが、三国の将来となりますので過去にあり得ないことでも実施すべきことと判断しております。我が陛下も同様の意見をお持ちであります」
「そう。アンドレア殿下の意見に動かされ申した!感謝するぞ!」



隣国の陛下にお礼を頂いた。
「陛下ありがとうございます。勝手なことを申し上げて申し訳ございません。我が国でしたら父上に参加するように私の命を持って尽力致します」
「礼を言うぞ。アンドレア殿下。フルナールへはわしとアーロでなんとかするから心配するな」
「ぜひともよろしくお願いいたします。今日中に父上に話しますのでこれで失礼いたします」
「アンドレア殿下、国内は護衛をつけますのでお気をつけてください」



ルカと二人ハンド―ラの王宮軍の顔見知りの精鋭に同行してもらって南へとボールドへ疾走する。国境まで無事に到達すると精鋭が声をかける。
「私らができるのはここまでです。ボールドの陛下のご参加を私ごときではなんですが、ぜひともご協力いただけますようにお願い申し上げます」
精鋭三人が頭を下げて帰路につく。



訓練場を出発する前に渡してもらった軽食と飲み物で軽い休憩を取る。パンに軽い物を挟んだお気に入りの軽食と気分が明るくなる果実水を頂いてハンド―ラの首都ホーストに向かって疾走する。早馬での連絡が届いた影響で迎えの騎馬隊も次々に増えて気がつけば三十騎になっていた。ホーストに入るとあまりの軍勢の勢いに民衆の注目を浴びてしまった。


到着すると宰相以下留守を預かる王宮軍の出迎えをうけた。
「火急の用のために急いで戻った次第だ。陛下へ至急つないでいただきたい」
「承知いたしました。連絡はうけております。陛下は執務室でお待ちしております」
「そうか。ありがとう」


「陛下、お忙しいところ失礼いたします」
「やっとわしも参加できるか。なあ宰相!」
「芝居も必要です。陛下、殿下もそのためにわざわざ戻ってきたのですから、ご承知おきくださいませ」
「すまんな。アンドレア火急の要件とはなんだ」
「ご存知ですね。フルナールも合同訓練に参加しますのでその時に兵士に重大発表を行う予定です。当初の予定では三か国の皇太子で説明を行う予定でしたが、皇太子の意見により国王陛下からの説明がよろしいかとなりました。ハンド―ラ国王陛下の要請でボールド国王とフルナール国王がハンド―ラのセントアイでの合同訓練の場に集まって頂いて国の将来を決定づける案件故に参加いただきたいとの由にございます」
「了解だ。それでフルナールの陛下へは誰が頼むのだ?」
「ハンド―ラの陛下とアーロ皇太子殿下で動かれる様でございます」
「わしからも親書で要請しておこう。断る理由はあるまいて。宰相頼むぞ」
「承知いたしました。陛下道中お気をつけてください。警備は万全にお願いいたします」
「そうじゃが、今回は馬で迅速に移動するので王宮軍の三十名程度でいいだろう。ハンド―ラ側では五十名体制での警護になるじゃろうからな」



ハンド―ラの皇太子アーロは護衛を連れてフルナール国との国境の町ウェスローに向かっていた。陛下からフルナールのラファエル二世陛下に親書がそろそろ届いているころだ。俺はウェスローに待機してフルナールの国王陛下へ謁見の許可を待つ。停泊する宿に到着して一息つくことができた。セントアイからウェスローまでハンズ―川の橋のために少し遠回りするので約一日かかる行程だ。


ノックする音がする「殿下?殿下?」
一時間ほど、うたた寝をしていたらしい。
「どうした?」
「フルナールからの使いの者が見えまして手紙を預かりました」
「了解」


フルナールの宰相アンドレ殿からの手紙で皇太子ノアは王宮軍と一緒にボールド経由でセントアイに向かいましたので第二皇子ピエールが国境までお迎えにあがります。そのあと首都フリシュまで案内しますのでご同行願います。到着次第ラファエル二世にお取次ぎ致します。


「使いの者に国境まで連れて行ってもらえるか聞いてくれ。すぐに移動する」
「承知いたしました」


使いの者と一緒に国境まで移動すると王子だと思われる男性が馬上で待っていた。馬を降りて迎えてくれた。こちらも馬を降りる。
「ハンド―ラ国のアーロ殿下でいらっしゃるか?私はフルナールの第二王子ピエールと申す」
「お迎えに感謝いたします。ハンド―ラの皇太子アーロと申します。火急の件につきわが父からの要請にお答え頂いてハンド―ラとしてお礼を申し上げます」
「私はまだ十五ゆえに事情が深くわかっていないのですが、五年以内に国の存亡をかけた決戦が起きると伺っております。それまでには一人前になって決戦に参加する所存であります」
「ピエール殿下はしっかりしていらっしゃる。我が弟などとは違う。ご同行お願いいたします。道中に私の知っている限りのことはお伝えします」
「ありがとうございます。殿下。では皆の者、出発するぞ」



途中二度ほど休憩はしたが、飲み物も食べ物も用意して頂いていてピエール殿下とも話をすることができた。首都フリシュの大きな町にある存在感のある王宮に到着した。宰相アンドレ殿のお迎えを受けて謁見の間に案内された。待っていたかのようにラファエル二世と王妃エマ三世が入場する。俺の心臓が緊張で高鳴る。


「ハンド―ラの皇太子アーロであるか?サイラス三世陛下とボールドのアレッサンドロ五世からの親書は誠であるか?」
「謁見の許可をいただき誠に感謝いたします。ハンド―ラの第一王子のアーロと申します。親書の内容は真実でございます」
「やはりな。宰相、王妃よ。アーロ殿下がわざわざいらしたのだからこちらもそれ相応に答えなくてはならない。しばらく留守にするが頼むぞ」
「感謝いたします。陛下」
頭を下げたまましばらく上げることができなかった。目がじんわりと赤くなっていたのだ。



ラファエル二世の行動は早かった。小一時間も立たない間で目立たない一騎士の恰好で馬上の人となっていた。王宮軍の守備隊の副隊長と俺の護衛も合流して四十人程度の規模での移動となる。二日後にはセントアイに到着する。すでにボールドの国王陛下も移動されていると連絡があった。



今後の三つの国を左右する重大発表のために三人の国王と三人の皇太子と精鋭王宮軍が集まる。


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