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強国も弱国も共通の悩み

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アーロ殿下の型破りな発想に戸惑う私だった。しかしながら兵の募集に苦戦しているのは確かだ。
「ハンド―ラも兵の募集に苦労しているし、どうすれば十分な兵が集められるのかは陛下もお悩みだ。傭兵を雇うのもいいが忠誠心がないから安心できないから」
「ボールドも同じ悩みをもっています。年齢による徴兵制を議論したこともあります」


リカルド隊長が神妙な面持ちで手を挙げる。
「部下たちのほとんどはお見合いでの結婚になります。現実は結婚の継続に問題が発生しています。軍人の妻には多くの負担を強いているので、軍人の妻の会なども立ち上げ悩みを共有する取り組みをしていますが家庭のトラブルは減らなくて困っています」
「そうですか。軍人の妻への噂が下がることで兵士も集まってこないのは我が国もボールド国も共通の悩みでもありますか。この問題を今後の国の末を踏まえて何とかしなければならない!と陛下と自分の最近の課題なのです」
「アーロ殿下は見合いではなくて恋愛結婚での家庭の方が軍人の妻を続けてもらえるとお考えですか?」
「アンドレア殿下。我々王家や貴族の結婚とは異なり、好きなもの同士の家庭の方が強い絆で家庭がまとまるのではないか?親同士の都合でお見合いさせられているので嫌々ながらの家庭も多くなると思うのです。まだ我が陛下には提案していませんが、先ほどのボールドの兵士の言葉でバラバラになっていたパズルが噛み合った気がしました」



テーブルのまわりに座る全員が納得することで、しばし考え込んでしまった。次の発言はラウラからはじまった。
「女性からの意見として聞いていただけるといいのですが、私は二十一歳で結婚適齢期になります。ウィードの小隊長を預かる身分ですのでお見合いは断っています。私の母はお見合いして十九歳で結婚して三人の母親をしています。私見ですが、同じ王宮軍の兵と結婚できれば出産でウィードを一時離れても夫から常に最新の情報をもらえるので復帰もしやすいと考えます。アーロ殿下のお話しには共感致します」
「ラウラ殿、ありがとう。大変参考になるよ」


wunit隊長ケイトが手を挙げる。
「殿下、ラウラ小隊長と私も一緒です。ただ違うのは私二十三歳ですのでさすがにお見合いを断るのは限界で、家庭は持ちたい、でも早くwunitには隊長でなくていいので戻りたいが本音です。女性から男性に声をかけることはさすがにできませんし困っています」
「ケイト、ありがとう。もしもだが、気に入った男性がいるのであれば俺が仲介するくらいは協力するよ」
「ええ!!本当ですか?」
ケイトが思わず立ち上がり・・・赤面する・・・
「ケイトあとで二人の時間とるから聞かせて」
顔立ちの揃った綺麗な顔なのだが、おでこから頬まで真っ赤にしてボソッとつぶやく。
「はい。ありがとうございます」



アーロ殿下はこの件を殿下に報告して宰相や大臣と早急に動くと説明していた。私もボールドに持ち帰り陛下と相談することをアーロ殿下に告げ両国で問題を共有して解決していこうとなりこの場は解散した。王宮軍に指導もケイト隊長とラウラが主導して新しい座学も実習も両方ありの新システム化することで方向性は決まった。


兵士たちの合同訓練の再開だ。
今日のところは座学を終わらせて、五つのうちの使う機会の少ない二つの魔法を実践していく。
・入れ替わりの魔法=ペアカミ
・防御の魔法=マルディ
を実践で体験させてもらうことになる。私の想像では描ききれない行動になるのだろう。



wunitのケイトから秘密文書の印がある魔法書が渡された。陛下に拝見していただいてのちに公文書の最重要機密書類として管理する文書になる。

・入れ替わりの魔法=ペアカミは最近のオータスでのハンド―ラ国王と皇太子の襲撃事件で活躍したことを聞いて最近の便利な魔法だと認識した次第だ。
 ・拘束される人間は人並みの魔力をもつこと(魔力がゼロの人は国内の人間にだけ伝わる魔力の武具を携帯すること)
 ・事前に行動を魔法使い部隊wunitに報告しておくこと。
つまりwunitと打ち合わせることができて、自分自身が魔力を持っていることで入れ替わりすることが可能になる。wunitはなぜ入れ替わることが可能なのか?ケイトが新しく作り出した入れ替わりの魔法で認識できた魔力は半径五キロ以内が探索可能で入れ替わる魔法使いは拘束された本人と同じ姿で恰好も同じで入れ替われるのである。前回のオータスでの入れ替わりはオプションを利用して国王と皇太子殿下を入れ替わった後は人質の魔法使いも戻ることが可能なのでそれを利用してもぬけの殻の演出が可能となった。


・防御の魔法=マルディは緊急時にしか利用しないと定められている。理由は防御魔法では防御した人数分の魔法量を使用するからで、例えば十人の部隊の全員への攻撃をカバーすると防御魔法を使用した魔法使いは防御魔法を一人前の十倍の魔法量を消費するわけである。もしそこで十一人を助けなくてはならなくなって、魔法量の限界を超えて魔法を使ってしまうと・・・その魔法使いは自分の生命から足りない分の魔法を使ってしまうことになる。命を顧みない行動は認めることはできないとはっきりとハンド―ラ国は法律で決めてある。
この事情を伝えるわけだからボールドも国王陛下と宰相と協議して利用して欲しいとのことである。


この後の実践でボールドの王宮軍とアンドレアとルカは度肝を抜かれることとなる。




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繫忙期が終わりました。
更新を再開します。
今後ともよろしくお願いいたします。虎徹周磨


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