ボールド国年代記 史上初3D作戦誕生で世界は平和になる？

ボールド国の闇

翌日は豪華な晩餐に招待されルカと一緒に腹八分目を通り超える量のご馳走をいただいた。皇太子として太るわけにはいかないのでいつも腹八分目を心がけているのだが、こんな日は許してほしい。山の幸に海の幸に地元野菜の料理と贅沢極まりない。


さてもう一つのご褒美は晩餐の翌日の朝の陛下の謁見が終わり次第陛下の執務室での予定になった。きっと聞いたことのない内容に違いないと予想しているので心の準備が必要だと思っている。
「ルカ、陛下からの二つ目のご褒美だがどう思う？」
「アンドレアの予想通りだと思う。国の重鎮しか知らないシークレットな内容？」
「国民には知らせるわけにいかない内容だな」
「俺も知ってもいい？」
「陛下が判断されたことだから、そういうことだろう」



頭の中はぐるぐると駆け巡っているが、不安がきて期待が交代しているうちに陛下の謁見が終わったと使いのものがきた。


「アンドレアにルカ、座ってくれ。宰相以外は外で待機」
護衛の騎士二人と陛下の付き人も下がっていった。
「国を預かる者は国にかかわるすべてのことを知らなければならない。良いことも悪いことも真実を把握しておかないと正常な判断はできない。アンドレアは皇太子だから当然。ルカを呼んだのもアンドレアと一緒に国政にかかわって欲しいからだ。ルカどうだ？」
「陛下、ありがとうございます。謹んでお受け致します。アンドレアと一緒にやっていきます」
「アンドレアはどうだ？」
「今回の親書の返信の件でルカは頼りになります。心強い味方です」
「頼む。わしと宰相のように長いパートナーになれ」



「では始めようか。」
陛下の重苦しい口調で国民の知らない歴史が語られた。

「現在はイートス歴四九五年で約三十年前の頃に我が国も西のフルナール国に北のハンド―ラ国で国を揺るがす事件が発生したのだ。」
「詳しくは私からご説明いたします。陛下の父上のこともありますので。」
宰相は陛下を気遣って説明を代わられた。まさかおじい様が。


「お二人にはくれぐれも守秘義務をお守りくださいますように最初に申し上げます。イートス歴四百六十六年に二代国王ロレンツィオ様が急病でお隠れになりました。しかしながら宮廷医師の検死で疑問が生じたのです。疑問点は口の匂いです。何らかの毒を盛られた可能性があります。」
「そんな！！」
「アンドレア様、冷静にお聞きください」
「、、、」
「そこで当時の皇太子と私と近衛騎士などで捜索しました。宮廷内は厳戒態勢をとり徹底的に捜査範囲も広げて国内はすべて調査しました。一月後に何も手がかりにたどり着けずにみな悔しい思いをしたときに陛下と私である結論に到達したのです。隣国からの暗殺ではないかと」
「アンドレア、ルカ。証拠はないのだ。三人の商人が容疑者に上がったのだが行方はわからずじまい。今思い出しても悔しい」
「陛下、気持ちは私も今でも同じです。その三人の商人は我が国まで商売に来て置きながら売り上げがあまり上がっていなかったのです。帰りの旅費も稼げていないはずなのに用事ができたので切り上げて国に帰るとまわりに挨拶して帰っていきました」


「その三人の商人の可能性が高いが行方もわからず証拠もないのでそのまま迷宮入りですか。国民には急病で国葬されたわけですね」
「その通りだ。関係者には箝口令をしいて。わしも気持ちはスッキリするわけもないが国王不在の時間は作ってはいけないのでな、取り決め通りに七日後には戴冠式をして王位継承を公にした」



「、、、」
「、、、」
「これが我が国の秘密になります。あと二つは隣国になりますが、気持ちの余裕はございますか？」


宰相から話を振られてルカに視線を振ってみた。表情は固まっているが余裕がないように見える。
「宰相殿、休憩にしてもらうか、もしくは後日にお願いできませんか？」
「では陛下のスケジュールに合わせると一週間後になりますので、できれば今お茶を用意させますので一息ついてから再開ではいかがでしょうか？」
「私は結構です。ルカは？」
「少し休憩をいただければ大丈夫です」



「ではいつもの紅茶にいつもの茶菓子を用意させます。お待ちください」
いつも飲むとホッとする王家が好む紅茶にオレンジクッキーが用意された。オレンジを輪切りにして乾燥させクッキーに練りこんだ王宮近くの菓子屋が作った人気のクッキー。


美味しい組み合わせだが、口数は増えなかった。