ダブルヒーロー

Tsumitake

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異世界転生!?

水の主人公

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雛乃の魂が入った短髪赤毛が腹に一撃入れられてのびた。
予想外の出来事だったから反応できず、3回瞬きするくらいの時間、理解できなかった。
だって痴女を殴ったのは俺だ。
何で雛乃が殴られる…?

倒れた雛乃のポケットから、カランと乾いた音を立てて主人公ヒーローパスとかいうふざけたものが転がり落ちた。

拾い上げて、ランプの色が赤から青に変わるのを確認しながら一人ごちる。
また女神のルールか。
そして、俺が原因なのか。

怒りと絶望が脳を支配した瞬間、右手に冷気を感じた。
見やれば手の周りに透き通った冷水が巻き付いている。

「お前っ、魔法が使えるのか!?」

と巨漢が驚きの声を漏らす。
魔法はほとんどの住人が使えない設定か何かか?と過ぎるが、
譲にとってそんな事はどうでもよかった。

「ブチのめす。」

言った瞬間に手を取り巻いていた水が、無数の針状に形を変えた。
そのまま瞬く間に巨漢の周囲を放射状に3重にとり囲むと、砂鉄の真ん中に磁石を置いた時のように一斉に中心に向かって集まり、巨漢を貫いた。

魔法って呪文の詠唱が必要なものだと思ってたけど、この世界は考えるだけで行使できるんだな。
と感心しながら、息すらしているか怪しいけど念のため軽く蹴って巨漢が完全に意識を失っていることを確認した。
その後、雛乃である赤毛の短髪青年の方へ向かった。

「ひな…、」

声をかけても反応しない雛乃を抱き上げようと頭の下に腕を回した途端、視界がぐらりと揺らいで、身体が傾いだ。
手をつくことも、声を出すことも出来ず倒れ、硬い床に顔をしたたか打ち付ける。
譲の焦点が合わなくなった視界に映り込んだ金色の正体を考える事も出来ず、瞼の重さに任せて目を閉じると、そのまま思考を放棄した。
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