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異世界転生!?
元の世界
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青木 雛乃(14)は、この度人生初の彼氏をゲット致しました!
早いって?いやいやいや、6年近く片思いしてきた幼馴染なんだから、遅いくらいですよ。
その念願の彼氏は、東条 譲。同じく14歳。
家は隣同士で同じ中学校だから登下校も毎日一緒にしてきた。
これで今まで全く何も無かったんだから、ある意味凄い。
「ねぇ、ゆず!」
「ひな、あれって…。」
雛乃が話しかけるのをぶった切って指差す譲の視線の先には
「えっ、自殺!?」
雛乃が言うが早いか、ホームから飛び降りた中年のおじさん。
現実にこんな事あるんだ!って思わずフリーズしたけど、ほっとくわけにはいかない。
譲と雛乃はすぐに転落箇所に向かって駆け出す。
下を見て確認したところ、おじさんは「う~ん、いてて…」と呟いていて、酔っぱらっている様子。
下校時刻からちょっと寄り道したけど、せいぜい16時半くらい。泥酔するような時間帯じゃない。
田舎だし、ホームに他に人はいない。
とりあえず電車が来るまで8分しかないから何とかしないと。と降りようとしていたのを譲が止めた。
「ボタン押しといたから大丈夫。駅員さんが来るよ。」
と、落ち着き払った様子で告げる。
そして、雛乃をホームの真ん中へ引っ張ると、自分は線路の上にいるおじさんの方に歩いて行って、
「おじさん、大丈夫ですか?
今駅員さん呼んだのですぐに助けに来るとは思いますが、
もうすぐ電車が来てしまうので、起き上がれそうであれば
ホーム下のスペースまで移動してもらえますか?」
と声をかけに行く。
「あ?なんだガキが偉そうに!お前みたいななぁ…」
と顔を真っ赤にしたおじさんが後半呂律の回っていない様子で何かを叫ぶのが聞こえるが、譲は相手にするでもなくホームの内側へ退がる。
まもなく駅員がやってきて、無事におじさんはホームに上がってこれた。
電車が来るまであと2分だったので雛乃はヒヤヒヤした。
「よかったー。電車も止まらなくて済むのかな?」
電車停めちゃうと高くつくって話だけは知っていて、その面でも心配だったので譲に尋ねる。
「多少遅れは出るだろうけど、多分賠償とかにはならないんじゃない。」
答える譲の横顔のその奥に電車の姿が見え始めた。
駅員も注意するだけで階段を登っていき、ほっと胸を撫で下ろしながら黄色の線に近づいた時、
「おい待てクソガキ!俺を見下しやがって!俺はなぁ!お前らみたいに…」
と、大声で捲し立てながら、千鳥足に目の焦点も合っていないおじさんが譲の肩を掴んだ。
「え?」
「ちょっと…」
予想外の出来事で呆然とする雛乃と、嫌そうに肩にかかった手を払おうとする譲。
だが、力の入っていた手を払われた事でおじさんはバランスを崩し、「おっと」と反射でもう片方の手を前に突き出し、意図せず横に並んでいた雛乃を突き飛ばしてしまった。
「ひな!」
50がらみのおじさんの力とはいえ、受ける方もまだ14歳の細い体だ。
呆気なく、ほんの一瞬でホームから落ち、咄嗟に助けようと手を伸ばした譲も線路へ。
非常事態は過ぎ去ったものとしていた運転士が慌ててブレーキをかけたところで、間に合うはずもなかった。
早いって?いやいやいや、6年近く片思いしてきた幼馴染なんだから、遅いくらいですよ。
その念願の彼氏は、東条 譲。同じく14歳。
家は隣同士で同じ中学校だから登下校も毎日一緒にしてきた。
これで今まで全く何も無かったんだから、ある意味凄い。
「ねぇ、ゆず!」
「ひな、あれって…。」
雛乃が話しかけるのをぶった切って指差す譲の視線の先には
「えっ、自殺!?」
雛乃が言うが早いか、ホームから飛び降りた中年のおじさん。
現実にこんな事あるんだ!って思わずフリーズしたけど、ほっとくわけにはいかない。
譲と雛乃はすぐに転落箇所に向かって駆け出す。
下を見て確認したところ、おじさんは「う~ん、いてて…」と呟いていて、酔っぱらっている様子。
下校時刻からちょっと寄り道したけど、せいぜい16時半くらい。泥酔するような時間帯じゃない。
田舎だし、ホームに他に人はいない。
とりあえず電車が来るまで8分しかないから何とかしないと。と降りようとしていたのを譲が止めた。
「ボタン押しといたから大丈夫。駅員さんが来るよ。」
と、落ち着き払った様子で告げる。
そして、雛乃をホームの真ん中へ引っ張ると、自分は線路の上にいるおじさんの方に歩いて行って、
「おじさん、大丈夫ですか?
今駅員さん呼んだのですぐに助けに来るとは思いますが、
もうすぐ電車が来てしまうので、起き上がれそうであれば
ホーム下のスペースまで移動してもらえますか?」
と声をかけに行く。
「あ?なんだガキが偉そうに!お前みたいななぁ…」
と顔を真っ赤にしたおじさんが後半呂律の回っていない様子で何かを叫ぶのが聞こえるが、譲は相手にするでもなくホームの内側へ退がる。
まもなく駅員がやってきて、無事におじさんはホームに上がってこれた。
電車が来るまであと2分だったので雛乃はヒヤヒヤした。
「よかったー。電車も止まらなくて済むのかな?」
電車停めちゃうと高くつくって話だけは知っていて、その面でも心配だったので譲に尋ねる。
「多少遅れは出るだろうけど、多分賠償とかにはならないんじゃない。」
答える譲の横顔のその奥に電車の姿が見え始めた。
駅員も注意するだけで階段を登っていき、ほっと胸を撫で下ろしながら黄色の線に近づいた時、
「おい待てクソガキ!俺を見下しやがって!俺はなぁ!お前らみたいに…」
と、大声で捲し立てながら、千鳥足に目の焦点も合っていないおじさんが譲の肩を掴んだ。
「え?」
「ちょっと…」
予想外の出来事で呆然とする雛乃と、嫌そうに肩にかかった手を払おうとする譲。
だが、力の入っていた手を払われた事でおじさんはバランスを崩し、「おっと」と反射でもう片方の手を前に突き出し、意図せず横に並んでいた雛乃を突き飛ばしてしまった。
「ひな!」
50がらみのおじさんの力とはいえ、受ける方もまだ14歳の細い体だ。
呆気なく、ほんの一瞬でホームから落ち、咄嗟に助けようと手を伸ばした譲も線路へ。
非常事態は過ぎ去ったものとしていた運転士が慌ててブレーキをかけたところで、間に合うはずもなかった。
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