4 / 8
1話
4
しおりを挟む
「わかりました。ですが、おそらく婦人に必要なのは悪魔祓いでしょう。
隣町の教会に腕の立つエクソシストがいると聞いた事があります。」
邪険にする事は出来ないが、かといって僕1人ではどうにも扱いきれそうにない内容なので隣町の教会に丸投げさせてもらえないか試みる。
恋愛とかは後からこじれたりして苦情が来ることが多いし、どれが正しいか答えなのかわかりにくい。ましてや全く経験のない不倫や痴情の類は専門外だ。
とにかく隣街の教会のアドレスを書いて小窓から婦人に持たせると、婦人はすんなりと懺悔室を後にしてくれた。
その後は訪問者もなく無事に終わり、弥生の作る節約精進料理を食べて床についた。
ーーーーーー
翌日からはとくに大したことない問題の懺悔を解決して過ごして2週間ほどが経ち、またやって来たクイーンズ通りのマゾ女性にとにかく待ち続ければ理想の男性が来ると言って追い返し、一息つく。
僕の目論見はうまくいっている。
人目につく場所で立っている間は自傷行為が比較的治まるようで、痣や切り傷が徐々に減って、日に当たって来ない人生だったのか真っ白な肌がようやく見えるようになってきていた。
欲求不満で目が血走っていたけど。
治る気がしなかったけど。
「神父様、こないだの犬と不倫なさってる奥様の悪魔祓いの依頼がきています。」
「は?なんで僕に??」
すっかり忘れそうになっていた案件だ。
「隣町の教会の方々ではどうしようもなかったそうで。
まあ、この街の人間って時点でお断りされたのかもですけど。」
有り得る。
毎度毎度厄介な迷宮入り仔羊を送り飛ばしていたので、あちらも学習したのだろう。
「結局こうなるのか…。」
「予想して目深なフード用意してる辺り流石です。そういうところ好きですよ。」
クスクスと笑いながら弥生が言う。
見た目は可愛いけど、私は吸血鬼だからと産まれは日本なのに洋風の棺桶に入って眠りたがる変わり者。
寒くて暗い地下の棺桶で一緒に眠るのはごめんだ。
「住所はキングズ通りの3番地です。」
微笑む程度の笑みを浮かべながら、僕が訊く前に住所のメモを読み上げる。
吸血鬼でなければ連れて行きたいくらい優秀な部下だ。
「はぁ…行ってきます。…懺悔室頼みます。」
「はーい。」
念の為と、用意しておいてもらっていた薬瓶をポケットに入れて、他人事な弥生の明るい返事を背に婦人の家へと向かった。
隣町の教会に腕の立つエクソシストがいると聞いた事があります。」
邪険にする事は出来ないが、かといって僕1人ではどうにも扱いきれそうにない内容なので隣町の教会に丸投げさせてもらえないか試みる。
恋愛とかは後からこじれたりして苦情が来ることが多いし、どれが正しいか答えなのかわかりにくい。ましてや全く経験のない不倫や痴情の類は専門外だ。
とにかく隣街の教会のアドレスを書いて小窓から婦人に持たせると、婦人はすんなりと懺悔室を後にしてくれた。
その後は訪問者もなく無事に終わり、弥生の作る節約精進料理を食べて床についた。
ーーーーーー
翌日からはとくに大したことない問題の懺悔を解決して過ごして2週間ほどが経ち、またやって来たクイーンズ通りのマゾ女性にとにかく待ち続ければ理想の男性が来ると言って追い返し、一息つく。
僕の目論見はうまくいっている。
人目につく場所で立っている間は自傷行為が比較的治まるようで、痣や切り傷が徐々に減って、日に当たって来ない人生だったのか真っ白な肌がようやく見えるようになってきていた。
欲求不満で目が血走っていたけど。
治る気がしなかったけど。
「神父様、こないだの犬と不倫なさってる奥様の悪魔祓いの依頼がきています。」
「は?なんで僕に??」
すっかり忘れそうになっていた案件だ。
「隣町の教会の方々ではどうしようもなかったそうで。
まあ、この街の人間って時点でお断りされたのかもですけど。」
有り得る。
毎度毎度厄介な迷宮入り仔羊を送り飛ばしていたので、あちらも学習したのだろう。
「結局こうなるのか…。」
「予想して目深なフード用意してる辺り流石です。そういうところ好きですよ。」
クスクスと笑いながら弥生が言う。
見た目は可愛いけど、私は吸血鬼だからと産まれは日本なのに洋風の棺桶に入って眠りたがる変わり者。
寒くて暗い地下の棺桶で一緒に眠るのはごめんだ。
「住所はキングズ通りの3番地です。」
微笑む程度の笑みを浮かべながら、僕が訊く前に住所のメモを読み上げる。
吸血鬼でなければ連れて行きたいくらい優秀な部下だ。
「はぁ…行ってきます。…懺悔室頼みます。」
「はーい。」
念の為と、用意しておいてもらっていた薬瓶をポケットに入れて、他人事な弥生の明るい返事を背に婦人の家へと向かった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ハバナイスデイズ!!~きっと完璧には勝てない~
415
キャラ文芸
「ゆりかごから墓場まで。この世にあるものなんでもござれの『岩戸屋』店主、平坂ナギヨシです。冷やかしですか?それとも……ご依頼でしょうか?」
普遍と異変が交差する混沌都市『露希』 。
何でも屋『岩戸屋』を構える三十路の男、平坂ナギヨシは、武市ケンスケ、ニィナと今日も奔走する。
死にたがりの男が織り成すドタバタバトルコメディ。素敵な日々が今始まる……かもしれない。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
マトリックズ:ルピシエ市警察署 特殊魔薬取締班のクズ達
衣更月 浅葱
キャラ文芸
人に悪魔の力を授ける特殊指定薬物。
それらに対抗するべく設立された魔薬取締班もまた、この薬物を使用した"服用者"であった。
自己中なボスのナターシャと、ボスに心酔する部下のアレンと、それから…?
*
その日、雲を掴んだ様な心持ちであると署長は述べた。
ルピシエ市警察はその会見でとうとう、"特殊指定薬物"の存在を認めたのだ。
特殊指定薬物、それは未知の科学が使われた不思議な薬。 不可能を可能とする魔法の薬。
服用するだけで超人的パワーを授けるこの悪魔の薬、この薬が使われた犯罪のむごさは、人の想像を遥かに超えていた。
この事態に終止符を打つべく、警察は秩序を守る為に新たな対特殊薬物の組織を新設する事を決定する。
それが生活安全課所属 特殊魔薬取締班。
通称、『マトリ』である。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
八百万の学校 其の参
浅井 ことは
キャラ文芸
書籍化作品✨神様の学校 八百万ご指南いたします✨の旧題、八百万(かみさま)の学校。参となります。
十七代当主となった翔平と勝手に双子設定された火之迦具土神と祖父母と一緒に暮らしながら、やっと大学生になったのにも関わらず、大国主命や八意永琳の連れてくる癖のある神様たちに四苦八苦。
生徒として現代のことを教える
果たして今度は如何に──
ドタバタほのぼのコメディとなります。
【完結】あの伝説のショートギャグ 猫のおっさん
むれい南極
キャラ文芸
元ホームレスのおっさんが、金持ちの男の子に拾われた。どういうわけか、こちらを猫と勘違いしているらしい。
おっさんは生活のために猫のフリをするが、そのうちに、自分は本当に猫になってしまったのかと思い始める。
予期せぬトラブルが日常を狂気に変えていく。 軽く読めるハートフルコメディ、ときどき下ネタの物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる