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「わかりました。ですが、おそらく婦人に必要なのは悪魔祓いでしょう。
隣町の教会に腕の立つエクソシストがいると聞いた事があります。」
邪険にする事は出来ないが、かといって僕1人ではどうにも扱いきれそうにない内容なので隣町の教会に丸投げさせてもらえないか試みる。
恋愛とかは後からこじれたりして苦情が来ることが多いし、どれが正しいか答えなのかわかりにくい。ましてや全く経験のない不倫や痴情の類は専門外だ。
とにかく隣街の教会のアドレスを書いて小窓から婦人に持たせると、婦人はすんなりと懺悔室を後にしてくれた。
その後は訪問者もなく無事に終わり、弥生の作る節約精進料理を食べて床についた。
ーーーーーー
翌日からはとくに大したことない問題の懺悔を解決して過ごして2週間ほどが経ち、またやって来たクイーンズ通りのマゾ女性にとにかく待ち続ければ理想の男性が来ると言って追い返し、一息つく。
僕の目論見はうまくいっている。
人目につく場所で立っている間は自傷行為が比較的治まるようで、痣や切り傷が徐々に減って、日に当たって来ない人生だったのか真っ白な肌がようやく見えるようになってきていた。
欲求不満で目が血走っていたけど。
治る気がしなかったけど。
「神父様、こないだの犬と不倫なさってる奥様の悪魔祓いの依頼がきています。」
「は?なんで僕に??」
すっかり忘れそうになっていた案件だ。
「隣町の教会の方々ではどうしようもなかったそうで。
まあ、この街の人間って時点でお断りされたのかもですけど。」
有り得る。
毎度毎度厄介な迷宮入り仔羊を送り飛ばしていたので、あちらも学習したのだろう。
「結局こうなるのか…。」
「予想して目深なフード用意してる辺り流石です。そういうところ好きですよ。」
クスクスと笑いながら弥生が言う。
見た目は可愛いけど、私は吸血鬼だからと産まれは日本なのに洋風の棺桶に入って眠りたがる変わり者。
寒くて暗い地下の棺桶で一緒に眠るのはごめんだ。
「住所はキングズ通りの3番地です。」
微笑む程度の笑みを浮かべながら、僕が訊く前に住所のメモを読み上げる。
吸血鬼でなければ連れて行きたいくらい優秀な部下だ。
「はぁ…行ってきます。…懺悔室頼みます。」
「はーい。」
念の為と、用意しておいてもらっていた薬瓶をポケットに入れて、他人事な弥生の明るい返事を背に婦人の家へと向かった。
隣町の教会に腕の立つエクソシストがいると聞いた事があります。」
邪険にする事は出来ないが、かといって僕1人ではどうにも扱いきれそうにない内容なので隣町の教会に丸投げさせてもらえないか試みる。
恋愛とかは後からこじれたりして苦情が来ることが多いし、どれが正しいか答えなのかわかりにくい。ましてや全く経験のない不倫や痴情の類は専門外だ。
とにかく隣街の教会のアドレスを書いて小窓から婦人に持たせると、婦人はすんなりと懺悔室を後にしてくれた。
その後は訪問者もなく無事に終わり、弥生の作る節約精進料理を食べて床についた。
ーーーーーー
翌日からはとくに大したことない問題の懺悔を解決して過ごして2週間ほどが経ち、またやって来たクイーンズ通りのマゾ女性にとにかく待ち続ければ理想の男性が来ると言って追い返し、一息つく。
僕の目論見はうまくいっている。
人目につく場所で立っている間は自傷行為が比較的治まるようで、痣や切り傷が徐々に減って、日に当たって来ない人生だったのか真っ白な肌がようやく見えるようになってきていた。
欲求不満で目が血走っていたけど。
治る気がしなかったけど。
「神父様、こないだの犬と不倫なさってる奥様の悪魔祓いの依頼がきています。」
「は?なんで僕に??」
すっかり忘れそうになっていた案件だ。
「隣町の教会の方々ではどうしようもなかったそうで。
まあ、この街の人間って時点でお断りされたのかもですけど。」
有り得る。
毎度毎度厄介な迷宮入り仔羊を送り飛ばしていたので、あちらも学習したのだろう。
「結局こうなるのか…。」
「予想して目深なフード用意してる辺り流石です。そういうところ好きですよ。」
クスクスと笑いながら弥生が言う。
見た目は可愛いけど、私は吸血鬼だからと産まれは日本なのに洋風の棺桶に入って眠りたがる変わり者。
寒くて暗い地下の棺桶で一緒に眠るのはごめんだ。
「住所はキングズ通りの3番地です。」
微笑む程度の笑みを浮かべながら、僕が訊く前に住所のメモを読み上げる。
吸血鬼でなければ連れて行きたいくらい優秀な部下だ。
「はぁ…行ってきます。…懺悔室頼みます。」
「はーい。」
念の為と、用意しておいてもらっていた薬瓶をポケットに入れて、他人事な弥生の明るい返事を背に婦人の家へと向かった。
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