貧乏教会の懺悔室

１話

3

「彼に愛されて、私は初めて、愛される喜びというものを知ったんです。」

ご主人の立場ないなぁ。それとも政略結婚とかの冷め切った夫婦なんだろうか。

「ええと、その方は…」

「ジョンです。」

「ジョンさん、ですね、はい。」

そういう人みたいな名前を付けるから余計にこんな妙な問題になったんじゃないだろうか。

「ちなみに、今ご主人に愛情はありますか？」

「ありません。」

口調はゆっくりだけど、悩む時間は全くなかった。
完全に夫婦関係が冷め切っているらしい。

「きっと、ご主人も犬とあなたが親密な関係になっているなんて知ったら…」

「主人にも話しました。」

「え！」

流石にその度胸には驚く。が、婦人は涼しい顔だ。

「そしたら教会に行って懺悔してこいと。」

何でそうなる！

「あそこの教会の神父は何でも解決してくれるから。と言われまして。」

そういう職業じゃないんだけどな。

「いえ、そういう事は…」

「きっと、この教会は神様が近くにいらっしゃるのでしょうね。
　だから皆の願いを叶えて、悩みを解消してくれるんでしょう。」

えええええ。僕じゃなく神のおかげですか。そうきましたか。
そう言われると教会は何でも屋じゃないって言って追い払えないじゃないですか！
協会の威信にかけて。