貧乏教会の懺悔室

Tsumitake

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「どうしてこの街は頭のおかしな奴ばかりなんだ!」

狭っ苦しい懺悔室を飛び出して力の限り、だけど消音で叫ぶ。

「神父さんが嘆かないでくださいよー。」

弥生は異常に肌が白く目が赤いので人前には滅多に出さない。
カラーコンタクトって結構高いし、経費の都合上。
うちは貧乏な教会だから街のいかれた悩み事を解決して寄付を集めるしかないのだ。
はぁっ、と溜息をついていると、

「ほら、神父様!お仕事ですよ!」

と肩を叩かれ、また懺悔室に押し込まれる。
弥生がやってくれればいいのに、と思いながら席について目を瞑る。
もう、ろくでもない話聞きたくない。

「失礼致します。」

その声が聞こえた瞬間目を開ける。
礼儀正しい純朴そうなご婦人がいらっしゃった。
ようやくまともな懺悔が聞ける!

「すみません、私の話を聞いていただけますか。」

控えめな声で婦人が尋ねた。

「勿論です。」

「あの、私…不倫をしてしまっているんです。」

おっと、見た目の割に。と意外に思いながら聞いていると、

「ワン!」

と低い大型犬の鳴き声がして驚く。

「あの、動物は…」

と言いかけると、婦人は犬を抱き上げて言った。

「この方と。」

「はい?」

婦人はうっとりした目で犬を見つめている。
どうやら聞き間違いではないらしい。
また変な人だったか。とガックリ肩を落とす。

「まあ、不倫といっても、一線は超えてないのでしょう?」

なんたって犬だし。

「それは…その、超えております。」

えええええ。

「それは犬…いえ、その方にとっては本意ではないのではないでしょうか?」

「最初は、どうだったかわかりませんけど。
 最近では彼の方から求めてくれるんです。」

いらん事覚えたな犬!とツッコミたくなるのを堪える。
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