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激変する日常
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朝、約束を違えず国王は家の前に来ていた。
インターホンを押す前に父と鉢合わせ、その髪の色に驚かれていた。
母も虫の知らせか異変に気付いて家から出てきたところで、
私が間に入りに行って、地毛であることを説明した。
ヤンキーであることは伏せてハーフだと伝えたら、
「いや、両親は共に日本人だ。」
と国王が、今言わないで!?と思わず目を剥く発言をして父が眉根を寄せた。
「それで何故、里紗を君が送っていくという事になっているんだ?」
「何かに巻き込まれてるの?」
父の質問に次いで母が尋ねる。
不良にしか見えない男子生徒が娘の家に押し掛けてきた。
露骨にそんな考えが透けて見える両親の対応だが、国王は嫌な顔ひとつせず受け答えする。
「林さんには今危険が…」
「文化祭委員一緒にやるから!です!」
馬鹿正直に前世云々の内容を両親に説明しそうなのを察知して、割り込む形で遮った。
「…ああ、そういえばそんな時期か。」
交際しているとかの理由でないとわかると一気に空気のピリつき具合が和らいだ。
特に父親は笑顔になり、ほっと安堵のため息を漏らすなど、わかりやすく安心している。
「けど、朝からやることなんてあるの?」
「朝のホームルームでアンケート配ろうと思ってて、
ほら、皆の前じゃ言いにくい子とかもいるから…。」
と、その後も何を喋ったか全部は覚えていないが思い付きで喋り続け、
なんとか納得させて仕事へ送り出した。
両親が盛大な時間ロスで焦りながら出勤する背中を見送りながら、国王が
「意外と里紗はスラスラ嘘がつける方なのだな。」
と呟いた。
「語弊がある気がしますけど、国王様よりはよっぽど嘘付けると思いますね…。」
「国王と呼んではダメであろう。」
「国王様の話し方もおかしいですよ。」
互いに横目で見合いながら指摘する。
ぼーっと立っているわけにもいかないので荷物をまとめる。
「私達まで遅刻してはいけないので学校行きますけど、
くれぐれも気を付けて下さいね!」
「里紗もな。」
鍵を閉め、意外と汗だくになっていない国王と軽口をたたきながら一緒に自転車を漕ぎだした。
その後ろ姿を遠くから見ている人物に気付くことなく。
インターホンを押す前に父と鉢合わせ、その髪の色に驚かれていた。
母も虫の知らせか異変に気付いて家から出てきたところで、
私が間に入りに行って、地毛であることを説明した。
ヤンキーであることは伏せてハーフだと伝えたら、
「いや、両親は共に日本人だ。」
と国王が、今言わないで!?と思わず目を剥く発言をして父が眉根を寄せた。
「それで何故、里紗を君が送っていくという事になっているんだ?」
「何かに巻き込まれてるの?」
父の質問に次いで母が尋ねる。
不良にしか見えない男子生徒が娘の家に押し掛けてきた。
露骨にそんな考えが透けて見える両親の対応だが、国王は嫌な顔ひとつせず受け答えする。
「林さんには今危険が…」
「文化祭委員一緒にやるから!です!」
馬鹿正直に前世云々の内容を両親に説明しそうなのを察知して、割り込む形で遮った。
「…ああ、そういえばそんな時期か。」
交際しているとかの理由でないとわかると一気に空気のピリつき具合が和らいだ。
特に父親は笑顔になり、ほっと安堵のため息を漏らすなど、わかりやすく安心している。
「けど、朝からやることなんてあるの?」
「朝のホームルームでアンケート配ろうと思ってて、
ほら、皆の前じゃ言いにくい子とかもいるから…。」
と、その後も何を喋ったか全部は覚えていないが思い付きで喋り続け、
なんとか納得させて仕事へ送り出した。
両親が盛大な時間ロスで焦りながら出勤する背中を見送りながら、国王が
「意外と里紗はスラスラ嘘がつける方なのだな。」
と呟いた。
「語弊がある気がしますけど、国王様よりはよっぽど嘘付けると思いますね…。」
「国王と呼んではダメであろう。」
「国王様の話し方もおかしいですよ。」
互いに横目で見合いながら指摘する。
ぼーっと立っているわけにもいかないので荷物をまとめる。
「私達まで遅刻してはいけないので学校行きますけど、
くれぐれも気を付けて下さいね!」
「里紗もな。」
鍵を閉め、意外と汗だくになっていない国王と軽口をたたきながら一緒に自転車を漕ぎだした。
その後ろ姿を遠くから見ている人物に気付くことなく。
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