王道学園は実に面白い

白鳩 唯斗

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第1章

生徒会と王道君②

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 双子庶務が王道君に自己紹介をし、どっちがどっちでしょうかゲームを始める。

 双子は普段、左右反対の頭にピンを付けているが、それを外した状態でくるくると回った。

「こっちが海でこっちが穹だ!」

「「正解!」」

 即答する王道君に、双子は驚く。偶然かと思った双子は、その後も数十回ゲームをするが、王道君は全問正解だった。

「僕達を~」

「見分けられるなんて~」

「「君のこと気に入っちゃった」」

 双子庶務が王道君に抱き着く。

「こらっ! 私の蒼葉から離れなさい!」

 それに気がついた副会長が、双子を引き離そうと引っ張る。

「お前ら趣味悪いな。こんな不潔毬藻のどこがいいんだ?」

「なんですって!?」

 会長の言葉に、副会長と双子庶務が抗議しようとすると、王道君が声をあげる。

「俺に不潔だなんて言っちゃダメなんだぞ! 謝れよ!」

「あぁ? なんで俺様がお前に従わなきゃならねえんだよ」

「俺の言うことは聞かなきゃダメなんだぞ!」

 そう言って、王道君が会長に殴りかかった。

「···ッ······」

 会長が後ろの机に吹き飛ばされる。

「「「きゃぁぁぁあああああああ!!!」」」

「あのクソ毬藻やりやがったな!」

「隊長、制裁の許可を下さい!」

「会長様に傷を······許せない許せない許せない──」

「今すぐに毬藻の駆除をッ!」

 そんな様子を見ていた親衛隊や生徒達は、罵詈雑言を浴びせる。

 生徒会とは、抱きたい、抱かれたいランキングで決まるものだ。つまり、人気投票で決まると言っても過言では無い。

 全校生徒の中で、人気者上位で構成された生徒会に怪我を追わせるなど、生徒達が黙っているはずは無かった。

「あなた達! 黙りなさ──」

 王道君に向けられた悪口に、副会長が止めようと声を上げようとしたが、あるひとつの笑い声と、それと同時に食堂中を満たした殺気に、全員の声がピタリと止まった。

「·······················ふふ、ふふふっ、あはっ、あはははは」

 飛ばされた生徒会会長の傍で笑う、白髪赤眼の男。

 生徒会に負けず劣らず、いやそれ以上に整った容姿の彼に、普通ならば歓声を上げるはずの生徒達も、この時ばかりは声を出すことも、身動きを取ることもできなかった。

「ふふ、これは僕に対する転入祝いかな? ふふふ、この飛んできた子、誰がやったのかなぁ?」

 琉翔が食堂中を睨みつける。その目は完全に瞳孔が開いており、口元は弧を描いていた。

「ッ······」

 まるで押し潰されているかのような、身体中蛇に巻き付かれたかのような感覚に、誰も言葉を返すことができなかった。

 琉翔が一歩前に踏み出す。その表情は、まるで仮面を被っているかの如く、1ミリの変化もなかった。

 食堂の生徒達が、嵐が過ぎ去るのを待つかのように息を潜めていると、『ガチャリ』と音を立てて、食堂の扉が開いた。

「秋月琉翔、最高級いちごだ」

 そこには、いちごを持った風紀委員長の涼雅が居た。
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