王道学園は実に面白い

白鳩 唯斗

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第1章

日本は朝から元気

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 男の娘くんを抱えて、保健室まで到着する。

 しかし、僕はその扉を開けられずに居た。

「朝からお盛んなことだね」

 もう少し、時と場所をわきまえた方がいいと思うけど。

 保健室からは──ベッドの軋むような音と水音が響き渡っていた。時々聞こえる吐息や声が、何をしているのかは容易に想像ができた。

「どうしようかなぁ」

 男の娘くんを置いていったらきっと巻き込まれちゃうよねぇ。

 正直、この子がどうなろうと僕の知った事じゃ無いんだけど、今は学生だからね。同じ学園の生徒として助け合わないと。

 それに、この学園の理事長は楓鵺さん。実質僕がこの学園を牛耳ってる様なものだし。

 ······ところで──

「ぐ腐腐、まじ最高っ! 保健医×チワワ良いっ!」

「··············やっぱり君は覗きが趣味だったんだね、覗き魔くん」

「へ?·········うわっ、なんでここに居るの!?」

「こっちが聞きたいよ」

 保健室の前でカメラを構えてる覗き魔くん。

 人の情事を盗撮するのは良くないと思うよ。覗きに盗撮······この子の将来が心配になってきた。

「覗き魔くん、見た目と中身のギャップすごいね」

「あ、あはは······良く言われまふ」

「無視出来ない程酷いもん」

 あ、しまった。つい本音が···。

「笑顔で言うのやめてっ!」

 覗き魔くんが大声で叫ぶ。

「そんなに大きな声出したら中の人に──」

 バレちゃうよ、と言葉を続けようとしたその時、勢い良く保健室の扉が開く。

「おい、盗み見とはいい度胸だな」

「ひえっ······!?」

「あーあ、だから言ったのに」

 扉から出てきたのは、汗びしょびしょ、服ははだけた状態のイケメンさんだった。

 多分このイケメンさんが保健医さんだよね。どうせなら男の娘くん見てもらおうかな。巻き込まれても僕には関係ないし。

「はじめまして、保健医さん。僕は本日からこの学園に通わせて頂くことになりました秋月 琉翔と申します。お楽しみのところすみません」

 イケメンさんに笑顔を向ける。

「あ、あぁ、俺は保健医の桐生 一颯だ。それで、なんの用だ」

 後半の方は覗き魔くんを見て保健医さんが言う。

「この子が突然倒れてしまったので、見て頂けませんか?」

「そういう事か。分かった、入れ。そこのお前もな」

「え、俺も?!」
 
 こっそり逃げようとしていた覗き魔くんを、保健医さんが睨みつける。

「これで何回目だと思ってる」

「······てへっ」

「··············」

「ちょっ、先生乱暴っ!」

 無表情の保健医さんに覗き魔くんが引きずり込まれている。

 これはこれは。覗き魔くんも加わるのかな? さっきは血走った目で見てたし──覗き魔くん、混ざれて良かったね。

 僕はおめでとうっと、覗き魔くんに微笑みかける。

「ち、ちょっと! た、助けてよ·····」

「うん、頑張ってね。邪魔しちゃいけないから僕はここでおいとまさせていただくよ。はい、この子よろしく」

「えっ、ちょっと待ってっ! 助け──ぎゃあああああ!!!」

 男の娘くんを預けて保健室を後にする。

 何か悲鳴が聞こえた気がするけど気のせい気のせい。
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