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第1章
覗き魔くんは面白い
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「うーん、やっぱり学生が使うにしては広い部屋だね」
広い部屋の一室、そんな声が響き渡る。
やばいやばい······。これ、絶対死んだ。
そんな中、白髪赤眼の美男子がシロくん、と呼んだ生物の上で、冷や汗を流す人物が居た。
俺、これからどうなんだろ。というか何っ! 狩るってなんだよ! 確かに理事長と転入生が知り合いだったり家族だったりするのは王道だけれどもっ! 処分って?! 殺っちゃったってなに!? え、俺もう死んでる? いぃぃやぁぁぁ! まだ王道見てない! なんの為に入学したと思って······グスン···。
シロくんの背中の上で悲壮感を漂わせる雷斗。
幸か不幸か、雷斗は理事長室に着くと同時に意識を取り戻していた。
状況がいまいち掴めず、少し困惑している間に理事長と美男子との、悪魔の会談、或いは死刑宣告とも取れるあの会話を、雷斗は聞いてしまっていた。
「今日は疲れたしお風呂入ろっと」
雷斗がメソメソしていると、突然美男子が服を脱ぎ始める。
え、何この展開。今なら逃げれるんじゃ······。
雷斗はシロくんの上から少しずつ身体を動かし、脱出を図る。
よし、あと少し。バレて無いよね?
確認の為、美男子に目を向けた雷斗は、その姿を見て、思わず絶句した。
雷斗の目の前、そこには──上半身裸の美男子が居た。
「ブフォッ!?」
え、ちょっと待って、服着てて全然分からなかったけど筋肉凄ッ! 写真撮りたいんだけど、というか同人誌のモデルにさせて下さいっ! これはタチ? いや、ネコか?! どっちか分からんっ! リバに可能性も──。
「ねぇ、同人誌?ってなに?」
「ッ!?」
美男子の言葉に雷斗は凍り付いた。
この人心も読めるの?! 人間辞めちゃってる系男子ですか!? もしかしてほんとに悪魔?! いや、ここは夢魔の可能性も──ぐ腐腐腐腐。
「······君、覗き魔より何倍もやばい、ただの変態だったみたいだね···」
美男子に冷たい視線を向けられる。
「ちが、こ、これはですねぇ·····あはは···ココロヲヨムナンテスゴイナー」
「うん、全部声に出てたしね」
そう言って雷斗の目の前で美男子がニコリと笑う。
あぁ、俺絶対死にました······。
今、僕の目の前では覗き魔くんが、何故か土下座をしている。
はて、どうしたのだろうか?
僕の裸を見ていきなり鼻血垂らしたり、変なこと言い出したり。顔を真っ青にさせたと思ったら急に謝りだしたり······。
「ふっ·······あははっ!」
「はぇ?」
覗き魔くんが唖然とした表情で僕を見つめる。
だ、ダメだ。よく考えたら可笑しくて笑えてきた。
「いや、だから君おかしっ···ふふっ、面白いなって」
「あ、ありがとうございます?」
首を傾げる覗き魔くん。
あ、ありがとうございますってっ 、ふふっ···。今までこんな人見た事ないよ。この子とは是非お友達になりたいな。
「あ······」
「?」
急に真顔になった僕を、覗き魔くんが不思議そうに見上げる。
そうだった。僕はこっち側の人間じゃないんだ。よく考えたら最初から友達になんてなれっこないや·····。
ま、仕方ないよね、別にもう慣れてるし。最初から覚悟してた事だからね。僕の大切な──の為に、頑張らないと。
「ど、どうしたの? 急に変な顔して」
覗き魔くんに指摘されてしまう。
僕は情報屋でもあるから潜入調査だってするし、ポーカーフェイスは完璧な筈なんだけどなぁ。少し浮かれすぎたみたい。
「なんでもないよ。君の真似してみただけ。面白いでしょ? 覗き魔くん」
「なっ、俺は覗き魔なんかじゃ······え、あれ? 俺のやってること、良く考えたら覗き魔と同じじゃ···」
「うん、同じだと思うよ」
「きゃあああぁぁ!」
笑顔で肯定したら、覗き魔くんは顔を真っ赤にして部屋から出ていってしまった。
「もしかして、自覚無かったのかな?」
広い部屋の一室、そんな声が響き渡る。
やばいやばい······。これ、絶対死んだ。
そんな中、白髪赤眼の美男子がシロくん、と呼んだ生物の上で、冷や汗を流す人物が居た。
俺、これからどうなんだろ。というか何っ! 狩るってなんだよ! 確かに理事長と転入生が知り合いだったり家族だったりするのは王道だけれどもっ! 処分って?! 殺っちゃったってなに!? え、俺もう死んでる? いぃぃやぁぁぁ! まだ王道見てない! なんの為に入学したと思って······グスン···。
シロくんの背中の上で悲壮感を漂わせる雷斗。
幸か不幸か、雷斗は理事長室に着くと同時に意識を取り戻していた。
状況がいまいち掴めず、少し困惑している間に理事長と美男子との、悪魔の会談、或いは死刑宣告とも取れるあの会話を、雷斗は聞いてしまっていた。
「今日は疲れたしお風呂入ろっと」
雷斗がメソメソしていると、突然美男子が服を脱ぎ始める。
え、何この展開。今なら逃げれるんじゃ······。
雷斗はシロくんの上から少しずつ身体を動かし、脱出を図る。
よし、あと少し。バレて無いよね?
確認の為、美男子に目を向けた雷斗は、その姿を見て、思わず絶句した。
雷斗の目の前、そこには──上半身裸の美男子が居た。
「ブフォッ!?」
え、ちょっと待って、服着てて全然分からなかったけど筋肉凄ッ! 写真撮りたいんだけど、というか同人誌のモデルにさせて下さいっ! これはタチ? いや、ネコか?! どっちか分からんっ! リバに可能性も──。
「ねぇ、同人誌?ってなに?」
「ッ!?」
美男子の言葉に雷斗は凍り付いた。
この人心も読めるの?! 人間辞めちゃってる系男子ですか!? もしかしてほんとに悪魔?! いや、ここは夢魔の可能性も──ぐ腐腐腐腐。
「······君、覗き魔より何倍もやばい、ただの変態だったみたいだね···」
美男子に冷たい視線を向けられる。
「ちが、こ、これはですねぇ·····あはは···ココロヲヨムナンテスゴイナー」
「うん、全部声に出てたしね」
そう言って雷斗の目の前で美男子がニコリと笑う。
あぁ、俺絶対死にました······。
今、僕の目の前では覗き魔くんが、何故か土下座をしている。
はて、どうしたのだろうか?
僕の裸を見ていきなり鼻血垂らしたり、変なこと言い出したり。顔を真っ青にさせたと思ったら急に謝りだしたり······。
「ふっ·······あははっ!」
「はぇ?」
覗き魔くんが唖然とした表情で僕を見つめる。
だ、ダメだ。よく考えたら可笑しくて笑えてきた。
「いや、だから君おかしっ···ふふっ、面白いなって」
「あ、ありがとうございます?」
首を傾げる覗き魔くん。
あ、ありがとうございますってっ 、ふふっ···。今までこんな人見た事ないよ。この子とは是非お友達になりたいな。
「あ······」
「?」
急に真顔になった僕を、覗き魔くんが不思議そうに見上げる。
そうだった。僕はこっち側の人間じゃないんだ。よく考えたら最初から友達になんてなれっこないや·····。
ま、仕方ないよね、別にもう慣れてるし。最初から覚悟してた事だからね。僕の大切な──の為に、頑張らないと。
「ど、どうしたの? 急に変な顔して」
覗き魔くんに指摘されてしまう。
僕は情報屋でもあるから潜入調査だってするし、ポーカーフェイスは完璧な筈なんだけどなぁ。少し浮かれすぎたみたい。
「なんでもないよ。君の真似してみただけ。面白いでしょ? 覗き魔くん」
「なっ、俺は覗き魔なんかじゃ······え、あれ? 俺のやってること、良く考えたら覗き魔と同じじゃ···」
「うん、同じだと思うよ」
「きゃあああぁぁ!」
笑顔で肯定したら、覗き魔くんは顔を真っ赤にして部屋から出ていってしまった。
「もしかして、自覚無かったのかな?」
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