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第1章
僕は無実です
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「あ、忘れてた」
そういえば木から落ちた覗き魔くんはどうなったんだろう? 銃で撃ったのは僕だし、一応確認するべきだね。
「シロくん、ちょっと待ってて」
シロくんにお座りの合図をして、覗き魔くんの元へ向かう。
それにしても、あんな所で覗いて何がしたかったんだろ。意味もなく覗かれるとかちょっと気持ち悪いんだけど···。
「あ、あの······だ、大丈夫ですか?···」
地面に倒れ伏す覗き魔くんをツンツンしてみる。
ついでに、この学園では演技の練習も兼ねて、声と話し方を変えてみる。
あちゃー、反応無いや。
どうしたものかな。僕が調べた限り、この学園は同性愛者が多いらしい。しかも強姦やら制裁やらのいじめ的な事も良く起こるらしい。
このまま放置したら覗き魔くんはあんなことやこんなことになっちゃうかもしれない訳だ。
覗き魔くん結構イケメンだしね。茶色の髪はサラサラしてるし、目は······ちょっと瞼開けるね。
「茶色か」
うん、これは絶対モテるね。めんどくさいけど運ぶしかないか。
「シロくんちょっと来て」
声をかけると、凄い速度でシロくんがやってくる。
「ガゥ!」
「はいはい、いい子いい子」
シロくんを少し撫でた後、その背中に覗き魔くんを乗せる。
「目指すは理事長室。スマホにマップ入ってるから急いで行くよ」
シロくんにそう声を掛け、走り出す。
この学園、広いな。周囲を見て思わずそう思う。門を抜けた先には噴水があり、その周りも綺麗な花に囲まれていた。
数百メートル先にある2つの建物はおそらく校舎と寮だろう。右側にある建物は優に10階はあるだろうし、左側にある校舎は金ピカで、勉強をする場である学校にそんなにお金を掛ける必要があるのか、と思わずツッコミたくなるくらい豪華だ。
理事長室なら校舎にあるだろう、と思い左側に向かう。
「失礼します」
校舎に着き、無事に理事長室を見つけたので、その扉をノックする。
「どうぞ」
返事を聞いて、シロくんとその上に居る覗き魔くんと共に理事長室に入る。
「お久しぶりですね」
そこに居たのは、笑顔で僕に軽く頭を下げる、見慣れた黒髪の男性だった。
「久しぶり」
僕がそう言うとどうぞ、と言ってソファーに座らされる。
覗き魔くんも連れて来ちゃったけど大丈夫かな? 置いていく訳にも行かなかったし仕方ないか。
「ところで、その生徒はどうされたんですか? まさか、初日早々、もう狩ってしまわれたのですか······?」
「いや、狩ってない狩ってない」
目の前の男性、楓鵺さんに疑いの目を向けられる。
酷いなぁ。僕だって流石に一般人に危害を加えたりしないよ。安心させるように、楓鵺さんに笑顔を向ける。
「この子は覗き魔だから、······仕方なくやっちゃったんだよ」
「ッ!? そ、そうですか······ち、ちょっと胃が···」
「えっ?」
楓鵺さんまだ24歳なのに胃痛? ストレスでも溜まってるのかな。
「こ、このカードキーを使えば学園の全ての部屋に入れます。あと学園内で販売している物は全て無料で買えますのでどうぞ。くれぐれも、これ以上、誰も殺さないで下さいね······お願いしますよ」
まるでもう誰か殺したみたいな言い方しないで欲しいな。
「分かってるよ、楓鵺さん。僕は今休暇中だからね」
「そ、そうですか。ところでそちらの生徒の処理は···」
処理? あー、覗き魔だから停学処分とか罰があるってことかな?
「それなら僕が殺っとくから大丈夫ですよ。あ、やっとくです。つい癖で」
舌を出しててへぺろっとしてみる。
「···キャラ変わりましたか?」
「ちょっと浮かれてるだけだよ。それにほら、休暇だからね」
「·················」
「じゃ、僕はそろそろ自室に向かわせて貰うね」
何故か黙って俯いてしまった楓鵺さんを尻目に、僕は自室へ向かった。
シロくんの上に居る人物の存在を忘れて。
そういえば木から落ちた覗き魔くんはどうなったんだろう? 銃で撃ったのは僕だし、一応確認するべきだね。
「シロくん、ちょっと待ってて」
シロくんにお座りの合図をして、覗き魔くんの元へ向かう。
それにしても、あんな所で覗いて何がしたかったんだろ。意味もなく覗かれるとかちょっと気持ち悪いんだけど···。
「あ、あの······だ、大丈夫ですか?···」
地面に倒れ伏す覗き魔くんをツンツンしてみる。
ついでに、この学園では演技の練習も兼ねて、声と話し方を変えてみる。
あちゃー、反応無いや。
どうしたものかな。僕が調べた限り、この学園は同性愛者が多いらしい。しかも強姦やら制裁やらのいじめ的な事も良く起こるらしい。
このまま放置したら覗き魔くんはあんなことやこんなことになっちゃうかもしれない訳だ。
覗き魔くん結構イケメンだしね。茶色の髪はサラサラしてるし、目は······ちょっと瞼開けるね。
「茶色か」
うん、これは絶対モテるね。めんどくさいけど運ぶしかないか。
「シロくんちょっと来て」
声をかけると、凄い速度でシロくんがやってくる。
「ガゥ!」
「はいはい、いい子いい子」
シロくんを少し撫でた後、その背中に覗き魔くんを乗せる。
「目指すは理事長室。スマホにマップ入ってるから急いで行くよ」
シロくんにそう声を掛け、走り出す。
この学園、広いな。周囲を見て思わずそう思う。門を抜けた先には噴水があり、その周りも綺麗な花に囲まれていた。
数百メートル先にある2つの建物はおそらく校舎と寮だろう。右側にある建物は優に10階はあるだろうし、左側にある校舎は金ピカで、勉強をする場である学校にそんなにお金を掛ける必要があるのか、と思わずツッコミたくなるくらい豪華だ。
理事長室なら校舎にあるだろう、と思い左側に向かう。
「失礼します」
校舎に着き、無事に理事長室を見つけたので、その扉をノックする。
「どうぞ」
返事を聞いて、シロくんとその上に居る覗き魔くんと共に理事長室に入る。
「お久しぶりですね」
そこに居たのは、笑顔で僕に軽く頭を下げる、見慣れた黒髪の男性だった。
「久しぶり」
僕がそう言うとどうぞ、と言ってソファーに座らされる。
覗き魔くんも連れて来ちゃったけど大丈夫かな? 置いていく訳にも行かなかったし仕方ないか。
「ところで、その生徒はどうされたんですか? まさか、初日早々、もう狩ってしまわれたのですか······?」
「いや、狩ってない狩ってない」
目の前の男性、楓鵺さんに疑いの目を向けられる。
酷いなぁ。僕だって流石に一般人に危害を加えたりしないよ。安心させるように、楓鵺さんに笑顔を向ける。
「この子は覗き魔だから、······仕方なくやっちゃったんだよ」
「ッ!? そ、そうですか······ち、ちょっと胃が···」
「えっ?」
楓鵺さんまだ24歳なのに胃痛? ストレスでも溜まってるのかな。
「こ、このカードキーを使えば学園の全ての部屋に入れます。あと学園内で販売している物は全て無料で買えますのでどうぞ。くれぐれも、これ以上、誰も殺さないで下さいね······お願いしますよ」
まるでもう誰か殺したみたいな言い方しないで欲しいな。
「分かってるよ、楓鵺さん。僕は今休暇中だからね」
「そ、そうですか。ところでそちらの生徒の処理は···」
処理? あー、覗き魔だから停学処分とか罰があるってことかな?
「それなら僕が殺っとくから大丈夫ですよ。あ、やっとくです。つい癖で」
舌を出しててへぺろっとしてみる。
「···キャラ変わりましたか?」
「ちょっと浮かれてるだけだよ。それにほら、休暇だからね」
「·················」
「じゃ、僕はそろそろ自室に向かわせて貰うね」
何故か黙って俯いてしまった楓鵺さんを尻目に、僕は自室へ向かった。
シロくんの上に居る人物の存在を忘れて。
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