5 / 5
いつも後ろに
しおりを挟む
俺が考えている事くらい知ってる癖に、赤メッシュは後ろを着いてきた。
生徒会室には専用のカードキーが無ければ入れないのだが、マスターキーを所持している風紀委員長は軽々と入ってくる。
完全に職権乱用だ。演技なんて忘れて大きくため息を吐くと、赤メッシュは愉しそうに笑った。
「お前、敬語とか絶対向いてないだろ。変な演技してるから病むんだよ」
「······そうですか。人をメンヘラ扱いするのは辞めて欲しいですね」
「情緒不安定なのは確かだろ」
「·············」
元凶が一体何を言っているのだろうか。気を紛らわせる為に、赤メッシュを無視して仕事を始める。
そういえば先日、転校生がどうのと理事長が言っていた。風紀委員長ならば何か知ってるかもしれない。
さり気なく話題を切り替える為にも聞いてみるか。
「赤メ······風紀委員長。転校生について、何か知りませんか?」
危ない。つい癖で赤メッシュと呼びそうになってしまった。『転校生』という単語を聞くと、赤メッシュは怪訝そうな顔をした。
「転校生について聞かされていないのか。いや、そういう配慮なのか······」
「?」
一人ブツブツと呟く赤メッシュに、首を傾げる。"お前は"聞かされて居ないという事は、逆に言えば俺以外は聞かされているということになるのだが。
転校生は代々生徒会が迎えに行く慣習があると聞くので、おそらく俺だけ省かれて居るのだろう。
仕事に支障をきたす訳でも無いのでどうでも良いが、最低限の情報くらいは伝えて欲しかった。
「まぁ、お前は知らなくて良い。ていうかあまり関わるな」
「分かりました」
独り言を終えた赤メッシュが隣に座り、俺の手から書類を奪い取る。彼の優秀さは理解しているつもりだし、関わるなと言うなら素直に従った方が良いだろう。
そんな事より、今は奪われた書類を取り返すのが先だ。
「返してください」
「お前の仕事量多過ぎないか? 慎也と奏の分まで引き受けてるのか?」
「あなたには関係無いですよね。返してください」
本当に余計な事ばかりする奴だ。書類を取り返そうと腕を伸ばすと、そのまま掴まれる。
腕に力を入れてブンブン振り回すが、全く離してくれない。それどころか、そのまま空いた左手で書類を捌き始める始末だ。
その様子を見て、やっぱりこいつは俺より優秀なのだと再確認した。
生徒会室には専用のカードキーが無ければ入れないのだが、マスターキーを所持している風紀委員長は軽々と入ってくる。
完全に職権乱用だ。演技なんて忘れて大きくため息を吐くと、赤メッシュは愉しそうに笑った。
「お前、敬語とか絶対向いてないだろ。変な演技してるから病むんだよ」
「······そうですか。人をメンヘラ扱いするのは辞めて欲しいですね」
「情緒不安定なのは確かだろ」
「·············」
元凶が一体何を言っているのだろうか。気を紛らわせる為に、赤メッシュを無視して仕事を始める。
そういえば先日、転校生がどうのと理事長が言っていた。風紀委員長ならば何か知ってるかもしれない。
さり気なく話題を切り替える為にも聞いてみるか。
「赤メ······風紀委員長。転校生について、何か知りませんか?」
危ない。つい癖で赤メッシュと呼びそうになってしまった。『転校生』という単語を聞くと、赤メッシュは怪訝そうな顔をした。
「転校生について聞かされていないのか。いや、そういう配慮なのか······」
「?」
一人ブツブツと呟く赤メッシュに、首を傾げる。"お前は"聞かされて居ないという事は、逆に言えば俺以外は聞かされているということになるのだが。
転校生は代々生徒会が迎えに行く慣習があると聞くので、おそらく俺だけ省かれて居るのだろう。
仕事に支障をきたす訳でも無いのでどうでも良いが、最低限の情報くらいは伝えて欲しかった。
「まぁ、お前は知らなくて良い。ていうかあまり関わるな」
「分かりました」
独り言を終えた赤メッシュが隣に座り、俺の手から書類を奪い取る。彼の優秀さは理解しているつもりだし、関わるなと言うなら素直に従った方が良いだろう。
そんな事より、今は奪われた書類を取り返すのが先だ。
「返してください」
「お前の仕事量多過ぎないか? 慎也と奏の分まで引き受けてるのか?」
「あなたには関係無いですよね。返してください」
本当に余計な事ばかりする奴だ。書類を取り返そうと腕を伸ばすと、そのまま掴まれる。
腕に力を入れてブンブン振り回すが、全く離してくれない。それどころか、そのまま空いた左手で書類を捌き始める始末だ。
その様子を見て、やっぱりこいつは俺より優秀なのだと再確認した。
1
お気に入りに追加
54
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
悪役王子の幼少期が天使なのですが
しらはね
BL
何日にも渡る高熱で苦しめられている間に前世を思い出した主人公。前世では男子高校生をしていて、いつもの学校の帰り道に自動車が正面から向かってきたところで記憶が途切れている。記憶が戻ってからは今いる世界が前世で妹としていた乙女ゲームの世界に類似していることに気づく。一つだけ違うのは自分の名前がゲーム内になかったことだ。名前のないモブかもしれないと思ったが、自分の家は王族に次ぎ身分のある公爵家で幼馴染は第一王子である。そんな人物が描かれないことがあるのかと不思議に思っていたが・・・
学園生活は意外と大変
白鳩 唯斗
BL
毎年恒例の親族達の日帰り旅行で、事故が起きた。家族を全員失った魁星は、葬式に参加する。
そこで、唯一生き残った親族、はとこの雪人の存在を知ることになる。
権利争いが起きないようにと、魁星が雪人を養子に迎えることになり、父親になってしまう。
15歳の魁星は高校に通いながら、6歳のはことの面倒を見ることになる。
面倒見の良い優しい主人公です。
シリアスは少なめかもしれません。
気にしないで。邪魔はしないから
村人F
BL
健気な可愛い男の子のお話
,
,
,
,
王道学園であんなことやこんなことが!?
王道転校生がみんなから愛される物語〈ストーリー〉
まぁ僕には関係ないんだけどね。
嫌われて
いじめられて
必要ない存在な僕
会長
すきです。
ごめんなさい
好きでいるだけだから
許してください
お願いします。
アルファポリスで書くのめっちゃ緊張します!!!(え)
うぉぉぉぉぉ!!(このようにテンションくそ高作者が送るシリアスストーリー💞)
元生徒会長さんの日常
あ×100
BL
俺ではダメだったみたいだ。気づけなくてごめんね。みんな大好きだったよ。
転校生が現れたことによってリコールされてしまった会長の二階堂雪乃。俺は仕事をサボり、遊び呆けたりセフレを部屋に連れ込んだりしたり、転校生をいじめたりしていたらしい。
そんな悪評高い元会長さまのお話。
長らくお待たせしました!近日中に更新再開できたらと思っております(公開済みのものも加筆修正するつもり)
なお、あまり文才を期待しないでください…痛い目みますよ…
誹謗中傷はおやめくださいね(泣)
2021.3.3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続きがすごく気になります!
更新はもうそれないですか?