ただの悪役令息の従者です

〜8歳〜

18話

　レイン様のお部屋に着いたその瞬間、空から女性が降ってきた。闇魔法で姿を隠していた、カミエさんだ。

「報告です。レイン様が剣術の先生を解雇しました」

「えぇ、マジか······」

　驚きの情報で、思わず素が出る。カミエは、気にせず姿を消して去っていった。





「剣術の先生を解雇されたと小耳に挟んだのですが、本当ですか？」

　レイン様のお部屋に入って、事実確認を行う。答えは知っていても、本人の口から聞きたい。

「ふんっ······お前のせいで恥をかいたからな！　僕のせいじゃない！」

「俺のせい、ですか······？」

「あ、あぁ。お前のせいで解雇する事になったんだ！」

「そうですか······」

　堂々と告げられて、思わず額を抑える。

　俺は、レイン様が嫌な事はして欲しくないし、大抵のわがままは聞く。

　でも、剣術だけは絶対に辞めさせられない。

　レイン様の死因──天災は、この世界にある7つの月が満月になる度に現れる。

　そして、全ての月が満月となった時、魔王の封印が解け、世界の破滅が始まる、という設定だ。

　本当は、俺がお守りする事が出来たら良いんだけど──クロードはレイン様の、メインキャラ達の敵だから、仕方が無い。

　いつかは、皆様と協力して、俺を、そして天災を殺して頂かなければならない。

　その時に備えて、レイン様を強く育てる必要があった。