ただの悪役令息の従者です

〜8歳〜

16話

　王子様の治療を終えて、3人で公爵様の元へ向かう。そういえば、王子様を襲撃した方は、捕まったのでしょうか。

　もしかしたら、この屋敷まで着いて来ていて、レイン様に危害を──なんて事も有り得る。

　王子様にトラウマでも残っていたら大変なので、先頭を歩くカーマイン様の耳元に口を寄せる。

「カーマイン様」

「ッ！？　お、驚かせるな！」

「何その反応、可愛い······」

　少しお話を聞こうと思っただけなのに、カーマイン様は顔を真っ赤にして耳を抑えた。想定外の反応に、思わず本音が溢れる。

「あはは！　カーマインが照れてる！」

「う、煩い！　急にこいつが話しかけて来るのが悪いんだ！」

　ケラケラと笑う王子様に、カーマイン様の額に青筋が浮かぶ。何故か俺は、恨めしそうにキッと睨まれた。

「君、クロードって言ったよね？　僕と友達にならない？」

「はい？」

　キラキラと眩しい笑顔で、爆弾発言を受ける。モブ如きの俺が、王子様と友達······？　絶対無理です！

「リオン！？　こんな奴を友達にするのか！？」

　驚きのあまり固まっていると、カーマイン様が叫ぶ。こんな奴······少しグサッと来ました。

「え、うん。だって楽しそうなんだもん」

「はぁ······お前の神経を疑うよ」

　カーマイン様が、諦めたように額を抑える。王子様は、ニコニコと笑っていた。