ただの悪役令息の従者です

〜8歳〜

13話

　王子様の治療に来たって言っても、信じて貰えそうにない。どうしたものでしょうか。

「もしや、貴族派が送り込んできた暗殺者だなッ！」

「えぇ······！？」

　なんか、あまり良くない方向に誤解されている気がします！

「あ、間違えた······」

「ッ！？　な、何をしている！」

　焦って弁解しようと動いたら、バランスを崩して剣刀が首に触れた。深くは刺さっていないものの、ダラダラと血が垂れてくる。

「間違えました！　剣を汚してしまい申し訳ございません！」

「え、あ·······」

　急いで地に頭を着けて、土下座する。

　確か、カーマインの剣は、騎士の父が王子を守る為にと、初めて贈った剣だったはずだ。

　そんな大切な剣を、俺みたいなモブの血で汚してしまうなんて──弁解のしようがありません！

「先立つ不孝をお許しください」

「！？　や、辞めろッ！」

「あ······」

　いつも腰に携えている剣で切腹しようとしたら、剣を弾かれた。

　本当に刺すつもりは無かったのですが──カーマイン様、お優しいです！

「お、お前、頭おかしいぞ······」

「褒め言葉として受け取っておきます」

　頭がおかしいなんてよく言われます！　褒め言葉ですよ。