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〜8歳〜
12話
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公爵家には、表と裏がある。屋敷の中は、単純な作りに見えて、至る所に隠し扉やトラップが仕込まれているのだ。
紙に書かれていた場所は、その隠し部屋のひとつだった。
「確か、5段目の右から3番目の本棚を押し込んで、ここをああしてこうして──よし、開いた」
客間の一室。暖炉の横にある本棚を触って、隠し扉を開ける。
すると、暖炉の中から石が擦り合うような音が聞こえて、暗い直線の空洞が現れた。
埃っぽい、真っ暗な空洞を歩いて、隠し部屋へ向かう。後ろを振り返ると、既に光は無く、扉は閉まっていた。
今更だけど、帰る時どうやって出よう。
内側から扉を開ける方法をながら歩いていると、光が見えてきた。
「··········!?」
「お前、何者だッ」
同時に、小さな人影が見えたと思ったら、剣を向けられていた。
目を擦ってよく見てみると──王子様の未来の従者で、攻略対象者の一人、カーマイン・オルティスじゃないですか······!
「あの、剣を降ろして頂けると······」
「質問に応えろ」
両手を上げて、跪いて説得を試みるも、余計に剣が迫ってくる。このまま首切られたら、流石にショックです。
「俺はレイン様の従者、クロード・フォールと申します」
「クロード・フォール? フォール子爵の子息か。それで、何故従者がここに居る」
「えぇーと? 迷い込んで来ました?」
「そんな訳あるかッ!」
とても、8歳とは思えない程威圧感のある声で、怒鳴られた。完全に失言です。
紙に書かれていた場所は、その隠し部屋のひとつだった。
「確か、5段目の右から3番目の本棚を押し込んで、ここをああしてこうして──よし、開いた」
客間の一室。暖炉の横にある本棚を触って、隠し扉を開ける。
すると、暖炉の中から石が擦り合うような音が聞こえて、暗い直線の空洞が現れた。
埃っぽい、真っ暗な空洞を歩いて、隠し部屋へ向かう。後ろを振り返ると、既に光は無く、扉は閉まっていた。
今更だけど、帰る時どうやって出よう。
内側から扉を開ける方法をながら歩いていると、光が見えてきた。
「··········!?」
「お前、何者だッ」
同時に、小さな人影が見えたと思ったら、剣を向けられていた。
目を擦ってよく見てみると──王子様の未来の従者で、攻略対象者の一人、カーマイン・オルティスじゃないですか······!
「あの、剣を降ろして頂けると······」
「質問に応えろ」
両手を上げて、跪いて説得を試みるも、余計に剣が迫ってくる。このまま首切られたら、流石にショックです。
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「クロード・フォール? フォール子爵の子息か。それで、何故従者がここに居る」
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