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〜8歳〜

11話

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「クロードさん、大丈夫ですか?」

「えぇ、むしろご褒美でしたよ!」

「········相変わらずですね」

 部屋を出ると、カミエさんが待っていた。ちなみに、彼女はレイン様の侍女兼諜報員だ。

「それで、お話の続きですが。王子殿下は毒の塗られた短剣で腹部を刺されたそうです」

 廊下を並んで歩きながら、さっきの話の続きを聞く。

 毒、か······。浄化能力を持つ王子様なら、回復出来るとは思うけど──8歳なら、まだ、能力が覚醒していないはずだ。

「治療の方は?」

「神聖術で怪我の治療は済んでいるそうですが、毒の回りを止めることは出来ていない様です」

「では、すぐに薬師の方を呼んで解毒をした方が良いのでは?」

 神官が使う神聖術は、怪我を治したり、魔物を弱体化させたり出来る、神聖な力だ。

 しかし、毒は自然の草木で作られている純粋な物だから、神聖術では治すことが出来ない。

「それが、未知の毒薬を使われているそうで、解毒に使える薬草を探し出すのに最低でも三日は掛かるそうです」

「三日!?」

 そんなに毒を放置していたら、いくらメインキャラでも命が危ないはずだ。ましてや、まだ8歳の子供なら生き残れるかどうか······。

「カミエさん!」

「な、なんですか······」

 バッと振り返って、カミエさんの肩を掴む。

「王子殿下が何処に居るのか教えてください」

「······幾らクロードさんの頼みでも、機密なので──」

「責任は俺が取ります。教えてください、お願いします」

 カミエさんに頭を下げて、頼み込む。ただの使用人如きに王子様の居場所を教えるなんて、無理なのは分かっている。

 でも、未来のレイン様の恋人になるかもしれない方を、見殺しになんて出来るわけが無い。

「はぁ······分かりました。くれぐれも無理はしないでくださいよ」

「ありがとうございます!」

 頭を上げてお礼を言うと、小さな紙を渡される。よく見ると、屋敷の簡易型見取り図で、1箇所に赤マルがされていた。
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