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一章 10歳
魔術師の運命
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※操作を誤り削除してしまった為記憶を頼りに書き直しました。誤字や名前に間違えがあるかも知れません。
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放課後。私は急いで屋敷に帰宅しました。使用人達が集まってきましたが、片手で制して執務室へ向かいます。
父上にルークス公子の話をしなければなりません。私以外には話していないと仰っていましたが、調査する必要もありますね。
ダイン家の覚醒は数十年に一度起こります。時代にもよりますが、運が悪いと上位貴族に予知を利用される可能性もあります。13代前の当主は封魔反抵抗術式を刻み込まれて奴隷のように扱われたとか。恐ろしいですね。
執務室の前に到着すると、執事長のハーネスがその扉から出てくる。
ハーネスは目を見開いた後、すぐに顔を引き締めました。
「カイアス様。当主様は現在お取り込み中です」
「お相手は?」
「"クロ"です」
「ちっ、第一王子の犬か」
おっと、あまりにも不愉快で口調が崩れてしまいました。
正直会いたくありませんねぇ。リアム殿下のお兄様であられる第一王子ヴィルハルト殿下は非常に性格に難のあるお方なのです。あの方の側近は色で呼ばれます。クロは主に諜報や暗殺に特化した方たちですね。
「では言伝をお願いします。ダインが目覚めたと」
「承りました」
ハーネスに言伝を頼んだので、私は足早に自室へと向かいます。
お取り込み中。また懲りずに父上を暗殺でもしに来たのでしょう。私は平和主義なので巻き込まれるのは御免被りたいです。
歩いている途中にも爆発音が聞こえてきます。私は使用人に被害が出ないように外部不干渉隔離型結界で執務室を覆いました。
これで内側で何をしても外部に漏れることはありません。例え水一滴たりとも。
「はぁ······魔術を行使し過ぎました」
少し憂鬱な気分です。結界を維持するには膨大な魔力と精神をすり減らします。私が結界を発動して30分。やっと先程術を解くことが出来ました。
もう少し早く決着をつけて頂きたいものです。私でなければ発狂してますよ。
私はベッドに倒れ込み、気絶に近い形で眠りにつきました。
「あぁぁぁあああ!!! カイアスとキスしてしまったぁ!」
俺は学園での出来事を思い出し、ベッドの上で足をバタつかせる。
俺ことルークス・ダインは所謂転生者だ。カイアスを見た途端前世の記憶が蘇り、記憶の最後に残っていた乙女ゲームの世界に転生したことに気がついた。狂ったキャラしか居ない地獄のゲーム世界に。
本編開始はヒロインが16歳の時。ゲームの舞台は魔術が存在する世界。魔術を使うと体に瘴気が溜まり、精神を犯していく。正気を失った術者は獣のように暴れ狂い、殺す以外に助ける方法は無い。
そんな中、瘴気を浄化し癒すことの出来るヒロイン(ゲームの主人公)が学園に現れ、瘴気に苦しむ第一王子や攻略対象者達を癒していく。
攻略対象者達は平民のヒロインが貴族学校で健気に頑張る姿や、必死に瘴気を浄化する姿を見て徐々に心惹かれる。
第一王子の婚約者である公爵令嬢のフィオラ・スカーレットは嫉妬からヒロインをいじめだす。
最後には第一王子がフィオラを八つ裂きにし、好感度の高い攻略対象者に告白されて。悪者倒してハッピーってな感じで終わるゲームだ。
登場キャラはヤンデレサイコに溢れた狂ったゲーム。俺がそのゲームを買った理由はふたつあった。
ひとつ目は恋愛ゲームが好きだったから。周囲に恋する乙女かッてつっこまれる程には好きでした、はい。
もうひとつの理由はこのゲーム。主人公の周囲に男同士のカップルがめっちゃいるからだ。
俺は男女、男同士関係なく萌える守備範囲の広い男子。男同士大好物の腐った男子だ。
ヤンデレ攻めにハマっていた俺はこのゲームでダブルで楽しめると思ったんだ。NLとBLどっちも楽しめると。
なのに内容はモザイク必要な程グロいし登場キャラは全員瘴気でおかしなことになってるしでもう無理。特に可哀想だったのが今日俺にキスした相手、悪役令息のカイアス・フェルダンテ。
次期国王となる第一王子に、次期宰相として仕える。とんでもない過去とトラウマを持った黒髪赤目の悪魔のような容姿の美男子。
悪役令嬢フィオラと一緒にヒロインを虐めたとして冤罪を掛けられ。第一王子に差し出された紅茶が毒入りと知りながら平然と飲んで自害したキャラ。
「俺、どうすればいいんだろう」
このままカイアスが死ぬのを見ているのはちょっと嫌だ。今日会った感じ、腹は真っ黒そうだけど悪い人にも見えなかった。
それに──
「ファーストキス奪われたから責任取って貰わないと······」
これはもう俺にとって大事件! 前世含めて20超えてるけど初体験なんだよ? 初めては好きな人とって決めてたのに! 俺は男同士に偏見は無いし、カイアスに恋人がいる設定も無かったはず。もーこれは責任取って貰うしかない。
「よしっ、カイアスの死亡フラグをへし折るぞッ!」
俺はガッツポーズを決めて、今後に備えて睡眠をとることにした。
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放課後。私は急いで屋敷に帰宅しました。使用人達が集まってきましたが、片手で制して執務室へ向かいます。
父上にルークス公子の話をしなければなりません。私以外には話していないと仰っていましたが、調査する必要もありますね。
ダイン家の覚醒は数十年に一度起こります。時代にもよりますが、運が悪いと上位貴族に予知を利用される可能性もあります。13代前の当主は封魔反抵抗術式を刻み込まれて奴隷のように扱われたとか。恐ろしいですね。
執務室の前に到着すると、執事長のハーネスがその扉から出てくる。
ハーネスは目を見開いた後、すぐに顔を引き締めました。
「カイアス様。当主様は現在お取り込み中です」
「お相手は?」
「"クロ"です」
「ちっ、第一王子の犬か」
おっと、あまりにも不愉快で口調が崩れてしまいました。
正直会いたくありませんねぇ。リアム殿下のお兄様であられる第一王子ヴィルハルト殿下は非常に性格に難のあるお方なのです。あの方の側近は色で呼ばれます。クロは主に諜報や暗殺に特化した方たちですね。
「では言伝をお願いします。ダインが目覚めたと」
「承りました」
ハーネスに言伝を頼んだので、私は足早に自室へと向かいます。
お取り込み中。また懲りずに父上を暗殺でもしに来たのでしょう。私は平和主義なので巻き込まれるのは御免被りたいです。
歩いている途中にも爆発音が聞こえてきます。私は使用人に被害が出ないように外部不干渉隔離型結界で執務室を覆いました。
これで内側で何をしても外部に漏れることはありません。例え水一滴たりとも。
「はぁ······魔術を行使し過ぎました」
少し憂鬱な気分です。結界を維持するには膨大な魔力と精神をすり減らします。私が結界を発動して30分。やっと先程術を解くことが出来ました。
もう少し早く決着をつけて頂きたいものです。私でなければ発狂してますよ。
私はベッドに倒れ込み、気絶に近い形で眠りにつきました。
「あぁぁぁあああ!!! カイアスとキスしてしまったぁ!」
俺は学園での出来事を思い出し、ベッドの上で足をバタつかせる。
俺ことルークス・ダインは所謂転生者だ。カイアスを見た途端前世の記憶が蘇り、記憶の最後に残っていた乙女ゲームの世界に転生したことに気がついた。狂ったキャラしか居ない地獄のゲーム世界に。
本編開始はヒロインが16歳の時。ゲームの舞台は魔術が存在する世界。魔術を使うと体に瘴気が溜まり、精神を犯していく。正気を失った術者は獣のように暴れ狂い、殺す以外に助ける方法は無い。
そんな中、瘴気を浄化し癒すことの出来るヒロイン(ゲームの主人公)が学園に現れ、瘴気に苦しむ第一王子や攻略対象者達を癒していく。
攻略対象者達は平民のヒロインが貴族学校で健気に頑張る姿や、必死に瘴気を浄化する姿を見て徐々に心惹かれる。
第一王子の婚約者である公爵令嬢のフィオラ・スカーレットは嫉妬からヒロインをいじめだす。
最後には第一王子がフィオラを八つ裂きにし、好感度の高い攻略対象者に告白されて。悪者倒してハッピーってな感じで終わるゲームだ。
登場キャラはヤンデレサイコに溢れた狂ったゲーム。俺がそのゲームを買った理由はふたつあった。
ひとつ目は恋愛ゲームが好きだったから。周囲に恋する乙女かッてつっこまれる程には好きでした、はい。
もうひとつの理由はこのゲーム。主人公の周囲に男同士のカップルがめっちゃいるからだ。
俺は男女、男同士関係なく萌える守備範囲の広い男子。男同士大好物の腐った男子だ。
ヤンデレ攻めにハマっていた俺はこのゲームでダブルで楽しめると思ったんだ。NLとBLどっちも楽しめると。
なのに内容はモザイク必要な程グロいし登場キャラは全員瘴気でおかしなことになってるしでもう無理。特に可哀想だったのが今日俺にキスした相手、悪役令息のカイアス・フェルダンテ。
次期国王となる第一王子に、次期宰相として仕える。とんでもない過去とトラウマを持った黒髪赤目の悪魔のような容姿の美男子。
悪役令嬢フィオラと一緒にヒロインを虐めたとして冤罪を掛けられ。第一王子に差し出された紅茶が毒入りと知りながら平然と飲んで自害したキャラ。
「俺、どうすればいいんだろう」
このままカイアスが死ぬのを見ているのはちょっと嫌だ。今日会った感じ、腹は真っ黒そうだけど悪い人にも見えなかった。
それに──
「ファーストキス奪われたから責任取って貰わないと······」
これはもう俺にとって大事件! 前世含めて20超えてるけど初体験なんだよ? 初めては好きな人とって決めてたのに! 俺は男同士に偏見は無いし、カイアスに恋人がいる設定も無かったはず。もーこれは責任取って貰うしかない。
「よしっ、カイアスの死亡フラグをへし折るぞッ!」
俺はガッツポーズを決めて、今後に備えて睡眠をとることにした。
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