天使様はいつも不機嫌です

白鳩 唯斗

文字の大きさ
上 下
39 / 41
二章

三十九話

しおりを挟む
 アイスを渡して毬藻を帰らせてから体育館に向かう。ちなみに買ったお菓子はレジ袋六袋分。全部高級品で俺の自腹だ。

「ねぇ天使ちゃん。一袋だけでも持ってくれない? 流石に重いんだけど········」

「は、嫌に決まってるだろ」

「·········腕ちぎれそう」

 チッ、荷物運びなんだから文句言うなよ。ゴム奢ってやっただろうが。グチグチと煩い寮長から二袋奪い取って早足で歩く。

 ──ズキッ

「ッ······歩くの遅いんだよ。さっさと動けカス」

「え、持ってくれるの? 天使ちゃん優しいね」

「·········殺すぞ」

 ヘラヘラ笑うな気色悪い。別にお前の為じゃないわ。さっさと帰って寝たいんだよ。



 ──体育館

「·········はぁ······やば······」

「凄いねぇ······」

 俺が居ない間に何があったんだよ。体育館の扉を開けると目測800程の椅子が並べられていた。寮長と館内を見渡して居ると先輩達が駆け寄ってくる。

「心湊様! 見てください!」

「僕達頑張ったんです!」

「「褒めてください!」」

「···············」

 急になんなんだこいつらは。勝手に褒め合ってれば良いだろ。

 キラキラと目を輝かせる先輩達に結翔直伝の『誰でも即堕ちスマイル』とか言う笑顔を作る。

「「///(ドキドキ)」」

「先輩の皆さん···············














 これでも食って黙ってろ」

「「!!!!????」」

 なんで俺がお前達を褒めないといけないんだよ。こっちは毬藻の相手で疲れてるんだ。寮長から袋を奪って投げ捨てる。

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!」」

「チッ·······うっさいな」

 ついさっき言ったこともう忘れたのか。黙れって言ってるだろ。

「天使様から褒美が!!!!」

「永久保存永久保存永久保存永久保存··········」

「今夜のおかずにしなきゃ」

「全部俺のだ触んじゃねぇ!!!!」

「あ、これ僕の好きなやつだ。まさか心湊様僕の好みを知って········」

 はぁ······マジで煩い。ノルマ達成したみたいだしもう帰って良いよね。笑顔を作ったまま寮長を振り返る。

「冴島先輩、後はお願いします」

「え、ちょ、天使ちゃん!?」

 これ以上ここに居る理由も無いだろ。寮長にこの場を押し付けて俺は自室に向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

無自覚な

ネオン
BL
小さい頃に母が再婚した相手には連れ子がいた。 1つ上の義兄と1つ下の義弟、どちらも幼いながらに イケメンで運動もでき勉強もできる完璧な義兄弟だった。 それに比べて僕は周りの同級生や1つ下の義弟よりも小さくて いじめられやすく、母に教えられた料理や裁縫以外 何をやっても平凡だった。 そんな僕も花の高校2年生、1年生の頃と変わらず平和に過ごしてる それに比べて義兄弟達は学校で知らない人はいない そんな存在にまで上り積めていた。 こんな僕でも優しくしてくれる義兄と 僕のことを嫌ってる義弟。 でも最近みんなの様子が変で困ってます 無自覚美少年主人公が義兄弟や周りに愛される話です。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

学園生活は意外と大変

白鳩 唯斗
BL
毎年恒例の親族達の日帰り旅行で、事故が起きた。家族を全員失った魁星は、葬式に参加する。 そこで、唯一生き残った親族、はとこの雪人の存在を知ることになる。 権利争いが起きないようにと、魁星が雪人を養子に迎えることになり、父親になってしまう。 15歳の魁星は高校に通いながら、6歳のはことの面倒を見ることになる。 面倒見の良い優しい主人公です。 シリアスは少なめかもしれません。

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

処理中です...